二階派・三反園訓衆院議員、「迂回寄附」の実態

東京地検特捜部は19日、政治資金パーティーの売り上げの一部を裏金化していた自民党安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)の事務所などを家宅捜索、政権政党への強制捜査に踏み切った。

「政治とカネ」の問題が岸田文雄政権を揺るがすなか、無所属ながら二階派に所属する三反園訓衆議院議員(鹿児島2区)による、脱法行為が疑われる資金移動の実態が明らかとなった。

◇   ◇   ◇

三反園氏の関連政治団体は、総務省届出の資金管理団体「みたぞのさとし後援会三訓会」(以下、三訓会)と鹿児島県選挙管理委員会届出の「みたぞのさとし後援会」(以下、後援会)の二つ。三訓会はカネ集めに特化した団体で、集めた政治資金の大半を、選挙区内で実働する後援会に寄附している。

2022年の両団体の収支を確認したところ、繰越金を除いた同年の三訓会の収入は2,398万円。支出は1,943万5,326円で、その約97%にあたる1,893万円が後援会に寄附されていた。問題は、この年に三反園氏本人が三訓会に行った「寄附」の扱いだ。

下は、三訓会が総務省に提出した政治資金収支報告書の中の記載。昨年、三反園氏は、1月7日の60万円を始まりに、12月1日の100万円まで計12回750万円を三訓会に寄附していたことが分かる。

 次が支出のページの内、三訓会から後援会へと移動した政治資金の額を記載した部分だ。

三訓会から後援会への寄附は計21回、1,893万円。前述の通り、この中の750万円が三反園氏個人の財布から出たものであることは明らかだ。実は、ここで『迂回寄附』の疑いが生じる。

まず、下の表が三反園氏本人による三訓会への寄附の日付と額。

次が、三訓会から後援会への寄附の日付と額。

黄色で区別した分は、三反園氏本人が三訓会に寄附し、同日中にそっくりそのまま後援会に寄附されていた。三反園氏から三訓会への12月1日の100万円は、70万円を加えた形で、やはり同日に後援会に流れていた。『迂回寄附』が疑われるのは言うまでもない。

無所属議員である三反園氏の場合、政治資金規正法の定めで資金管理団体への寄附の上限は1,000万円。しかし、資金管理団体以外の政治団体への寄附は150万円までだ。従って三反園氏は、鹿児島の後援会に対しては150万円を超える寄附ができない。そこで、いったん三訓会にカネを入れ、政治団体から政治団体への寄附の形をとることで法定上限を超える資金移動を行ったということだ。

寄附した同じ日に、寄付額をそのまま移動させるという分かりやすい迂回の手口。明らかな脱法行為だろう。国会の三反園事務所に確認を求めたところ、迂回を否定しながら、「見方によっては、おかしいと言われても仕方がない」と話している。

 

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