福岡県大任町が町外からの開示請求を拒絶|暴走する永原町政が条例改悪

ハンターの情報公開請求や取材によって永原譲二町長の独裁的な町政運営が明らかとなっている福岡県大任町が、情報公開条例を、町外の人間からの請求を拒否する内容に改悪したことが分かった。

ハンターは、同町への開示請求を通じて公共工事の実態を隠蔽しようとする永原町政の歪みを追及してきたが、この過程で、複数の関係筋から開示請求を取り下げるよう圧力がかかっていた。不当な要求を突っぱねたことへの対抗策であるのは明らかで、業者との関係や町発注工事を巡る不正が露見するのを恐れた町長サイドが、非常手段に出たものと考えられる。

◇  ◇  ◇

下は、田川郡大任町に公共工事の契約に関する文書の開示請求を行ったハンターの記者に、同町から郵送されてきた文書である。

 “今月3日に情報公開条例を改正して町外の人間からの請求は受けないことにしたので、13日付の請求は受け付けない”という内容だ。役所に説明責任を果たさせるための手段として情報公開の重要性が増した現代社会において、時代に逆行し、請求権者の範囲を狭めるというのだから呆れた自治体というしかない。「住民限定」から「何人も」に変更するケースが当たり前となっている中、大任町の条例改悪は異常と言うしかない。

大任町が2010年に制定した「大任町情報公開条例」は、開示請求権を「何人」にも与えたもので、すべての人に門戸を開いた形となっていた。ところが同町では、9月に入った頃から、条例の条文を変更し、「何人」を削除して請求権者を町内の在住者だけに限定しようとする動きが顕在化。ハンターにも、町の関係者から「情報公開条例を改正し、請求権者を町内の在住者だけに限定しようとする動きがあります。もちろん永原町長からの指示です。議会も賛成する見込みです」という情報が寄せられていた。

大任町総務企画財政課によれば、実際に条例が「改悪」されたのは先月3日。大任町議会の最終日に執行部が提案して承認され、即日公布したという。2016年に条例の一部を改正した際は、3月4日の議決で施行が約1カ月後の4月1日だったことから、永原町長がいかに急いでいたかが分かる。条例改悪を許した議会も、町長の暴走に手を貸したことになる。

条例改悪前、「何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対し、当該実施機関が保有する公文書の開示を請求することができる」となっていた条文は、次のように変更されている。

第5条 次に掲げる者は、実施機関に対して、公文書の開示を請求することができる。

(1) 町の区域内に住所を有する者(請求日から起案して1年以上住所を有する者に限る)

町民との議論はもちろん、周知期間も省いた形での条例改悪。ひた隠しにしてきたコロナ感染が暴かれるなど、追い詰められつつある町長の苛立ちが伝わってくる愚行だ。

情報公開請求権を町内在住者に限定した上「1年以上住所を有する」という条件まで加えたことについて、別の町関係者は「大任町の中に住所を移して開示請求するケースを恐れたからだろう」と話している。

町長周辺が、ハンターの情報公開請求を極端に恐れていたことは確かだ。記者が大任町に対し、1回目の開示請求を行ったのは6月14日。その翌日には、永原町長との親密な関係で知られる関係者などから、「請求を取り下げて下さい」という申し入れがきていた。

大任町の町政運営を巡っては、法律の規定に反して町発注工事の入札結果を非公開にしたり、公表済みの施工体系図や工事の実施体制を記した文書の開示を拒否するなど、露骨な隠蔽が常態化。背景にあるのは、公共事業絡みの不正であるとみられている。

全国町村会の副会長や福岡県町村会の会長を務める永原氏による、あってはならない暴走。ハンターは今年7月、浮上した疑惑について、永原町長に対し文書で以下の点を問い質していた。

大任町長 永原譲二殿

質問書

ご多忙のところ恐れ入りますが、取材のため以下の5点についてご質問いたします。ご回答いただきますようお願い申し上げます。

1 貴殿が、新型コロナウイルスに感染していたという情報があります。事実ですか?

2 事実であった場合は、なぜ公表しなかったのか、ご回答下さい。

3 感染が事実であったとすれば。感染した時期、感染経路、感染場所、濃厚接触者の有無についてご回答下さい。

4 貴殿が、賭け麻雀を行っていたという情報があります。事実ですか?

5 賭け麻雀を行っていたとすれば、その時期、場所についてご回答下さい。

6 言うまでもなく、賭け麻雀は違法行為です。実際に町長が賭け麻雀をやっていたとすれば、どのように責任をとりますか?

以上

質問書への回答はなかったが、先月27日に町長室で取材に応じた永原氏は、コロナ感染については「嘘だ」と完全否定。賭け麻雀については、「答える必要がない」と声を荒げてそっぽを向いた。

永原町長のコロナ感染が紛れもない事実であることは既報の通り(参照記事⇒「全国町村会副会長・永原譲二大任町長がコロナ感染を隠蔽|親密女性らと別荘滞在」)。もう一つの疑惑についても、近く詳細を報じる予定だ。

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