看護学院パワハラ教員残留問題|道は議会質問に異動明言せず

問題発覚から8カ月が過ぎる北海道立高等看護学院のパワーハラスメント問題で15日、道議会で8度目になる質問があり、関与教員の一部残留方針に追及の声が上がった。

答弁に立った道の担当課は「法令に基づく処分を検討する」としながらも当該教員の異動については言及を避け、改めて複数のハラスメント加害者を学校に留め置く意向を示した。

◆  ◆  ◆

問題が俎上に載ったのは、15日午前招集の北海道議会保健福祉委員会。前回・11月29日の同委員会で道保健福祉部は、パワハラ関与が認定された教員7人のうち2人について「異動は行なわない」と明言、被害学生らに大きな動揺を与えるに至っている。

15日の会議では同委の平出陽子委員(民主・函館市)が改めてこれを問題視し「関与教員が在籍するなら復学できないと訴える休学生がいる」と指摘、その思いを汲むことが学生の救済になるはずだと迫った。質問を受けた道の担当者は、当該2教員の扱いについて次のように答弁した。
「まずは法令に基づく処分を検討しつつ、当該教員から学生に対し誠意をもって心からの謝罪を行ない、再発防止のための再教育をしっかりと行ないます」

事実上、改めて異動を否定する見解。平出委員は委員会散会後、筆者の問いに「1人でも被害者がいる教員については、学校に残すべきではない」と道の姿勢に強い疑問を呈し、次のように指摘した。
「1人でも残ると、またハラスメントが再発する可能性があります。道は人手不足と言うが、きちんと教員採用の募集をかけてるんでしょうか」

同日の委員会ではまさに、この教員補充の件も追及されている。答弁に立った保健福祉部の三瓶徹部長は「年齢要件の緩和」や「退職者復職制度の利用」など具体的な複数の対応策を示したが、それぞれの現時点での進捗は明かされず、むしろ後手後手の対応が浮き彫りとなった。

個々の学生への被害対応が遅々として進まない中、現時点で処分に至っていないハラスメント関与教員らは去る10日、道職員として冬のボーナス(期末・勤勉手当)の支給を受けている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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