久留米市長選出馬を理由に任期途中で県議会副議長の職を放り出した十中大雅氏の陣営が、2019年(平成31年)4月に行われた福岡県議会議員選挙の際、県選管に提出した選挙運動費用収支報告書に虚偽の疑いがあることが分かった。
■後援会の支出を選挙収支に計上
下は、平成31年3月29日告示、4月7日投開票の日程で行われた福岡県議会議員選挙で、十中陣営が県選管に提出した選挙運動費用収支報告書の一部だ。ハンターは、印刷費支出のページに記載がある「チラシ・封筒」、「室内用ポスター リーフレット」に注目した(*赤い囲みはハンター編集部)
「チラシ・封筒」は契約日が2月1日で支出額は224,640円、支払い日は2月28日。「室内用ポスター リーフレット」も同じ契約日で支出額が437,400円、支払い日は2月22日となっている。
選挙期間中に掲示や頒布が認められている印刷物は限られており、選挙用ポスター、選挙用ビラ、選挙用はがき程度だ。公費負担となった選挙用ポスターとビラの印刷費は上掲のページに明記されているとおりで、それぞれ879,700円と115,360円である。
つまり、2月に支出された「室内用ポスター」や「チラシ」は、選挙用ではなかったということ。「リーフレット」は後援会活動用の印刷物とみられるが、いずれも選挙運動費用にカウントすることはできない。入手した領収書のコピーを確認したところ、あて名は「十中大雅後援会」となっていた。
明らかに後援会活動にかかったものと分かる支出はまだある。「演説会場費」として計上され、3月23日に久留米市内のホテルに支払いが実行された「207,900円」の領収書には、但し書に「「3/18」 会場費として」とある(下、参照)。これもあて名は「十中大雅後援会」。選挙の告示は3月29日で、18日に選挙の演説会をひらいたとすれば、違法な「事前運動」だったことになる。
■後援会の政治資金収支も虚偽の可能性
選挙運動費用とは思えない一連の支出は、どうみても後援会活動にかかったものだ。そこで、十中氏の資金管理団体「十中大雅後援会」が県選管に提出した2019年分政治資金収支報告書を確認したが、人件費や事務所費といった経常経費の記載があるだけで、政治活動費にかかる支出は「0」となっていた。同報告書には、本来記載されるべき印刷費などの記載がないことから、政治資金規正法上の不記載、あるいは虚偽記載の疑いがある。
十中陣営の選挙運動費用収支報告書は虚偽ではないのか――?県選管によれば、ハンターの記者が指摘した点について十中氏側に伝えたが、回答が返ってきていないという。違法状態の収支報告書は修正もされず、放置されたままとなっている。