昨年12月、佐々木允福岡県議会副議長(立憲民主党・田川市選出)の資金管理団体「佐々木まこと連合後援会」が開いたゴルフコンぺを巡り、県選管に提出した政治資金収支報告書に政治資金規正法上の不記載の疑いがあることや、大量の家電品などを賞品として配ったことで公職選挙法上の買収の疑いが浮上していることを報じた。
参照⇒『佐々木允福岡県議会副議長の資金管理団体に政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑い』
参照⇒『ゴルフコンペ「賞品」に大量の家電品など供与|佐々木允福岡県議会副議長に公選法違反(買収)の疑い』
その後、佐々木県議は報道機関の取材などに対し「後援会ではなく、実行委員会がやったこと」と主張しているが、事情を知った県内在住の男性が、同県議を政治資金規正法及び公選法違反の疑いで刑事告発するという事態になっている。実際のところはどうなのかー―。
■動かし難い「後援会主催」
決論から述べるが、佐々木氏の「実行委員会がやった」「後援会は関係ない」という言い分は通用しない。ハンターが入手したコンペの案内文は2枚。2022年に開催された「第5回『まこと杯』ゴルフコンぺのご案内」と2023年の「第6回『まこと杯』ゴルフコンぺのご案内」だ。
主催はいずれも「佐々木まこと連合後援会」であり、発出元も「佐々木まこと連合後援会 実行委員長」となっている。連絡先も「佐々木まこと連合後援会」だ。第5回の案内文には『連合後援会主催のゴルフ大会を、下記の通り開催いたします』とあり、第6回の案内文にも『今年も連合後援会主催のゴルフ大会を、下記の通り開催致します』と明記している。『ご不明な点につきましては、佐々木まこと連合後援会までお問い合わせください』も毎年同じだ(*画像中の赤いアンダーラインはハンター編集部)
実は昨年12月4日、ハンターの記者が佐々木氏の事務所を訪ね、事務担当者に取材していた。記者と担当者のやり取りの概要は、以下のとおりだが、当初「実行委員会がやった」と話していた担当者は、記者が見せたゴルフコンペの案内文をみて説明を聞くうち、「うんうん。なるほど」と後援会主催の形になることを納得し、賞品として配った家電品などについて、自分から「あ、それも全部(収支報告に)あげないといけないですよね、それだったら。寄附で。それは結局無償提供」と白状していた。
――後援会の収支報告を作成したのは、あなたですね?
担当者:はい。――会計責任者は佐々木一広さん?
担当者:はい。――こちらにはいらっしゃらない?
担当者:はい。――一広さんはお兄さんか何か?
担当者:佐々木(県議)の父です。――お父さん?
担当者:はい。――本当は会計責任者に聞きたいが、あなたの方が分かる?
担当者:はい。多分お父さんは何も分かりません。――ゴルフコンペをおやりになっていますよね。毎年。
担当者:はいはい。――元年もやって、2年間休んで昨年と今年にやった。これは連合後援会主催ということでいいか?
担当者:ええと、連合後援会主催というかですね、連合後援会の中の、なんていうんですかね。――後援会主催になっている。
担当者:はいはい。――ということで、明日うちは記事を書く。連合後援会主催であれば、収支報告書に事業報告をしなければならないのに、記載してない。
担当者:連合後援会主催というか、連合後援会ではないですね。――どういうことか?
担当者:実行委員会がしています。――案内文には後援会主催となっている。実行委員会がやったにしろ、主催したのは連合後援会。
担当者:うーん。――コンペのご挨拶の中でもそう言われてる。佐々木さんもご挨拶されていたはず。
担当者:まあ……。――写真もある。
担当者:はあ。――報告書への不記載じゃないですかという疑いがある。
担当者:実行委員会が主催していますんで。――実行委員会が主催したというが、案内文にはどこにも出てこない。佐々木まこと連合後援会実行委員長となっている。
担当者:はいはい。――『佐々木まこと連合後援会』主催。佐々木まこと連合後援会は政治団体で間違いないか?実態は参加者にも聞いている。
担当者:うんうん。なるほど。――もう一点確認。家電製品を配られている。
担当者:家電?――電気製品。
担当者:いつですか?――写真見たほうがいい。Facebookとかで写真をあげている。
担当者:はい。佐々木がですね。――電気製品とか賞品がいっぱい写っている。
担当者:はいはい。――75位とか、優勝とかいっぱい写っている。
担当者:はいはい。あ、それも全部あげないといけないですよね、それだったら。寄附で。それは結局無償提供。――無償で貰っているということでいいか?
担当者:結局、この、ここの(後援会の)実行委員がやっていることだから。――後援会として、賞品を買ったのか貰ったのか分からないが、それらを配っいる。貰っている人にも話を聞いている。
担当者:うんうん。――買収、ということだ。
担当者:……
佐々木氏が、どれだけ「後援会ではなく、実行委員会がやった」と言い張っても真実は一つ。主催は「佐々木まこと連合後援会」であり、開催実務を担ったのが「佐々木まこと連合後援会 実行委員長」が率いる後援会の関係者たちだったということだ。佐々木氏自身が、ネット上にその証拠を残していた。
佐々木氏は、どこまでも「実行委員会がやった」で推し通す構えだが、その主張はとうに破綻している。国会で裏金問題を厳しく追及している立憲民主党だけに、所属議員の疑惑に目をつぶることは許されまい。