【2020鹿児島知事選】現職不人気に焦る自民県連 無理難題に反発の声

任期満了に伴う今年7月の鹿児島県知事選挙に向けて、現職・三反園訓氏(62)の推薦を決めた自民党鹿児島県支部連合会(会長:森山裕国対委員長。以下、県連)が、身内の反乱に頭を痛めることになりそうだ。

■異例の名簿提出指令

知事選への対応を巡ってドタバタ劇を演じていた同党県連が、三反園推薦を決定したのが先月4日。その後、党本部も正式に県連の判断を追認したことで、一気に選挙機運が盛り上がるものとみられていた。

ところが同月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるため政府が緊急事態宣言を発令したため、表立った政治活動が自粛を余儀なくされる事態に――。集会や戸別訪問が事実上禁止されたことに加え、三反園知事が新型コロナ対応でもたついたことで、すっかり熱が冷めてしまったという。

あせった同党県連がやり始めたのは、所属県議への締め付け。先週末、下の印刷物が送られてきたという(*ハンター編集部が一部加工)。

 

簡単に説明すると、三反園知事を支援するため、各議員の地元で「三反園後援会」を組織し、さらにそれぞれの有力支援者をリストアップして差し出せということ。自前の後援会組織を持たない三反園氏のために、県議らが何年もかけて築き上げた財産を寄こせと言っているに等しいやり方だ。これには、多くの関係者が反発しており、「離党やむなし」と覚悟を決めている議員もいるという。

■「離党」匂わす声も

ある県議会関係者は、憤りを隠そうともせずこう話す。
「前代未聞。県連の焦りとしか思えない。三反園は、前回の知事選(2016年)で共産党を含む野党陣営が担いだ人間だ。そんなやつのところに、なんで必死に築いた人脈を献上しなければならんのか。三反園にそんな義理はない。公認候補の支援ならいざ知らず、しょせんは推薦だ。離反したら党議拘束だ、処分だ、なんて話が出ていたが、ハンターの取材に森山会長(裕・国会対策委員長)ご自身が党議拘束はないと認め、せいぜい『注意喚起ぐらい』と言ってる。名簿を出さないからといって罰を受けるような話ではない。そもそも、平気で人を裏切るようなやつに、自分の大切な人を紹介できるわけがない。どうしても(名簿を)だせというのなら、適当な名前を書いて提出するしかない。それをダメだというのなら、離党するまでだ」

別の県議会関係者は、「やり過ぎ」として上で、背景について次のように解説する。
「三反園さんの推薦を決めたものの、新型コロナで自粛を余儀なくされ、活発な運動ができていない。集会もダメ、戸別訪問もダメでは支持が広がらない。加えて、前回の知事選で三反園さんのために走り回った支持者の大半が、もちろん政策合意を反故にされた反原発派も含めてだが――“反三反園”になっている。知事の市部での人気は相当低く、かなり厳しい状況だ。県連としては「全会一致」なんて嘘までついて推薦を決めた以上、負けは許されない。自前の後援会組織を持たない知事のために、形だけ整えようという魂胆なんだろうが、うまくいくはずがない。(県連が)無理を通せば、本当に組織の瓦解を招くかもしれない」

取材に応じた関係者が言う通りで、県連所属の県議のすべてが、喜んで「自分の財産」を差し出すとは思えない。なにせ名簿の行き着く先は、政策合意を結んだ相手を平気で裏切った三反園氏。自分の後援会長も追放し、支援者を遠ざけて自民党に近づいた知事の姿を見てきた県議らが、「はい、そうですか」と県連の指示に従うはずがない。

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