久留米市長選出馬を表明し、今年6月に就任したばかりの福岡県議会副議長を11月に辞任した十中大雅氏が、10月に開いた政治資金パーティーのパーティー券を、課長級以上の県職員に買わせていたことが分かった。
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問題の政治資金パーティーは、県内のホテルで10月5日に開かれた「十中大雅副議長就任祝賀会」。6月に副議長に就任した十中氏が、コロナ禍の中、2万円会費のパーティー券を売りまくり、千万円単位の政治資金を集めたとみられている。
県関係者の話によれば、十中氏側からパーティー券を買うよう依頼があり、課長級以上の職員の多くが購入したという。パー券を購入した一人が、次のように憤る。
「副議長として県政を支えてくれるものと考え、パーティー券を購入しました。相手は副議長なんですから、頼まれれば断るわけにはいきません。まあ、実態はパー券の押し売りですよね。違法ではないので引き受けましたが、まさか祝賀会から1か月かそこらで副議長という重要な職を放り出されるとは思ってもみませんでした。怒っている職員は少なくないと思いますよ」
違法ではないとしても、役所を政治活動に利用するのは間違いだ。県職員のコメントにあるように、「頼まれれば断れない」という上下関係が存在するもの事実だろう。そもそも、県会議員の政治資金パーティーの会場に、多くの県職員が顔を出す光景は、決して好ましいものではあるまい。実際、問題の副議長就任祝賀会に参加した議会関係者は、県職員が大勢参加していることに気づいて呆れたと話す。
「毎年10月1日から、赤い羽根募金が始まります。一般の方々が赤い羽根をつけて歩き回ることはほとんどないと思いますが、この時期になると、率先して募金をつのる立場の県職員は襟元に赤い羽根をつけます。十中さんの祝賀会に出たら、赤い羽根をつけた人がゾロゾロ。“県職員だな”と眺めていると、部長級だけでなく、なぜか課長級もいる。“よくやるな”という感じでした。副議長の立場を利用したパー券の押し売りですね。それが、ひと月で辞任じゃ政治資金詐欺と言われても仕方がないでしょう」
ちなみに福岡市では1997年(平成9年)、自民党福岡市議団の創立40周年記念パーティーを巡って市議らが市交通局幹部にパーティー券販売の斡旋を依頼。地下鉄工事を受注した建設会社に割り当てていたことが表面化し、交通事業管理者が自殺する事態となる、いわゆる「パーティー券事件」が起きている。十中氏がどうやって県庁内部でパー券を売り捌いたのか調べる必要があるが、この元県議には規範意識が欠けているとしか思えない。