銃によるヒグマ駆除を自粛中の北海道・砂川市から、また新たなヒグマの映像が届いた。連日の目撃情報に対応する地元猟友会は市内に箱罠を設置して問題個体の捕獲にあたっているところだが、10月9日には相継いで2頭を捕獲することになり、その状況が映像で記録された。本年の捕獲数はすでに前年の累計数を超えているといい、当地では今後もしばらく緊張が続きそうだ。
◆ ◆ ◆
北海道猟友会砂川支部は現在、市内の計4カ所に箱罠を設置中。それぞれの具体的な場所などはあきらかにしていないが、目撃情報などから総合的に判断して設置場所を決めているという。9日午前6時ごろに支部長の池上治男さん(76)がこれらの見回りに行ったところ、その1つに体長170センチほどのヒグマの成獣が捕獲されていた。(以下の動画は音量にご注意ください。)
連日市街地で目撃されていた個体である可能性が高く、見回り時に撮影された映像からは興奮した様子で暴れまわる姿を確認できる。その2時間ほど後には別の箱罠にもさらに大きなヒグマがいるのを確認、こちらも終始唸り声を上げ、箱罠を壊しそうな勢いで暴れ続けていた。
野生のヒグマは動物愛護法に基づく愛護の対象ではないが、猟友会では動物愛護の精神を尊重し、捕獲したクマへ餌や水を与えるなどして虐待防止に努めている。今回捕獲されたクマもただちに駆除できなかったため、池上さんが様子を見に赴いて自ら給餌した。興奮気味だったクマも餌を口にしてからは少し落ち着いた様子だったという。
猟友会砂川支部ではこの翌日も市内の農園に出没していたとみられる個体を捕獲、本年の捕獲数が累計10頭に達し、すでに昨年1年間の実績(8頭)を上回った。同市一円に発出したヒグマ注意報を2度にわたって延長していた北海道は10月7日、発出期間の再々延長に踏み切り、11月7日まで注意報を継続することとなった。
本サイトでたびたび報告してきた池上治男さんの裁判(猟銃所持許可取り消し処分の撤回を公安委員会に請求)については、10月に入ってからも上告審の動きが伝わらないままだ。
(小笠原淳)
| 【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】 ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。 |















