鹿児島県医師会の非常識対応に知事も県議会も「NO」

「極めて不適切」「誠に遺憾」「同意の有無に関係なく不適切」「管理責任が問われる」「県医師会全体のコンプライアンスが厳しく問われる」――。新型コロナウイルス感染者の療養施設で起きた強制性交が疑われる“事件”に関する県医師会の対応についてのアンケート取材に、鹿児島県議会が厳しい批判の言葉で良識を示した。

男性職員の言い分だけを取り上げ「強姦といえるのか疑問」「(警察からは)事件には該当しないと言われている」などと非常識な言動を繰り返していたことが明らかとなった池田琢哉会長ら県医師会上層部の姿勢に、塩田康一知事に続いて県議会も「NO」を突き付けた形だ。

■回答した全員が「不適切」と批判

ハンターは今月、49名の鹿児島県議会議員全員に、以下の内容で見解を問うアンケート調査を実施した。

【事案の概要】
昨年8月から9月にかけ、鹿児島県が新型コロナウイルス感染者の療養施設に指定した鹿児島市内のホテルに用意された医師会職員用の部屋で、鹿児島県医師会の男性職員が、女性スタッフに複数回のわいせつ行為を行ったもの。

女性スタッフは「合意はなかった」として強制性交等罪で県警に刑事告訴したが、県医師会の池田琢哉会長らは、県医師会郡市医師会長連絡協議会の席上、「複数回の性行為」「合意があった」「強姦ではない」などと断言、池田会長は2月10日に県くらし保険福祉部を訪れ、同様の内容を発言していたことが、県への情報公開請求で入手した資料から明らかになっている。

【本サイトの報道姿勢】
本サイトは、合意のある、なしに関係なく、コロナ患者の命を守るという重要な使命を負った事業の現場で、患者をそっちのけで性行為に及んでいたという医師会職員の行為と、「合意」云々を喧伝し、管理監督責任について一切言及しない池田医師会長らの姿勢を厳しく批判する記事を配信している。
質問1 今回の事案の問題点はどこにあると思われますか?
質問2 テレビのニュース番組で、一連の池田県医師会長の対応に、塩田康一鹿児島県知事が怒りをにじませ「憤ってますよ」と答えていました。「合意があった」との説を喧伝することは、問題のすり替えに過ぎないと思料いたしますが、どう思われますか?
質問3 池田県医師会長の、「複数回の性行為があったから合意があった」という女性の人権を無視した一方的な見解について、どう思われますか?
質問4 その他、本件についてのお考えがあれば、お聞かせ下さい。

自民党県議団、公明党県議団、県民連合県議団は会派として一括回答。共産党の平良行雄議員は、1問ごと丁寧に見解を示す回答文だった。無所属の安楽ひでみ議員は、関係者が新型コロナの濃厚接触者となったことで回答が遅れたため、出稿締め切り後に回答を追加(22日11時50分追記)。以下、回答文をそのまま一覧にまとめた。

自民、公明の県議団は池田会長の非常識な姿勢について触れていないが、新型コロナの療養施設でわいせつ行為が繰り返されたことに対しては、「極めて不適切」と厳しい言葉で批判。党の有力支援団体である医師会に対し、自民県議団がここまで踏み込んだことに、ある同党の関係者は頷きながらこう話す。
「コロナ患者が苦しんでいる療養施設の中で、女性に性的行為を迫るなどもってのほか。県民を愚弄する行為だ。当然、医師会に責任がある。それを、合意がどうの、医師会の選挙がどうのと関係のない話でごまかそうという姿勢については、もっと厳しく批判してもいい。まあ、関係の深い医師会のことについて『極めて不適切』と断言したことだけは、評価してもらえると思う。来年は統一地方選がある。県民目線とズレるようでは当選がおぼつかなくなる。公明さんは自民党と同じ回答だが、相談した結果ということ。『極めて不適切』が同じだから、医師会の態度を苦々しく思っていることは確かだ。医師会はどうするつもりかね」

一方、野党系会派である県民連合は、自公と同様に今回の事案を「同意の有無に関係なく不適切な行為」だと指摘。さらに、「(池田)医師会長の『強姦といえるのか、疑問』等の発言は、被害を訴えている女性への配慮は微塵もなく、信じがたいもの」として、被害を訴えている女性にも配慮を見せた。

一問一答形式で、唯一きちんとした回答を送ってきたのが共産党の平良行雄県議。回答書の中で平良議員は、「池田医師会長らは、疑われる犯罪行為を直視することなく、男性職員擁護に終始し、結論ありきの内部調査でお茶を濁すことによってこの問題に蓋をしようとしていることから、県医師会全体のコンプライアンスが厳しく問われる問題だと思います」と事の本質を鋭く突いている。

また同県議は、「池田会長による『合意があった』との発言は、立場の弱い被害者の置かれた状況を(心理的状況を含む)一切無視し、身内である加害者を擁護するためだけのものです。そしてこの発言は、被害者をさらに苦しめる結果につながる」などとした上で、背景に『女性蔑視』があると指摘している。

■問われる県医師会の対応

49人いる県議会議員のうち、47人までが県医師会の対応を批判した今回のアンケート結果に、鹿児島県内のある医療関係者が重い口を開いた。
「知事の塩田さんも、県議会も、県医師会上層部の非常識な対応に呆れているということでしょう。こうなると、鹿児島県医師会として、県民に向けて謝罪することが最優先になるはずですが、そうなっていないのが現状。池田会長は、医師会長選挙のことで頭がいっぱいで、足下の不祥事を早く片付けようとして失敗した格好です。はっきり言って、県民の意識とズレている。それと、女性の人権やジェンダーについての報道が頻繁になった今日、『何度も性交渉したから強姦じゃない』などという主張は、日本のどこに行っても通らないですよ。こんなこと本気で言っているとしたら、鹿児島県医師会の、いや鹿児島県の恥。医師会長選挙がどうのという場合ではない。報道が続けば、医師会所属の医者全部が、白い目で見られかねない。私は医師会長を選ぶ権限などない下っ端だが、医師会会員として、『いい加減にしろ』と言いたい」

“事件”発覚の裏に県の医師会長選挙があるとして問題矮小化を図ってきた池田会長一派にとっては、まさに四面楚歌の状況。県や議会を甘く見た結果だ。池田氏ら医師会上層部がどう責任をとるのか注目される。

 

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