うきは市業者選定プロポーザルに重大疑惑(中)|「採点個票」メールでやり取り

福岡県うきは市が昨年11月に実施した「うきは市営西隈上団地等整備事業」の業者選定プロポーザルで、業者によるプレゼンテーションを受けての最終審査を前に、業務提案書が外部に持ち出されていたことが分かった。提案書が審査委委員に渡す形で外部に持ち出されたのは最終審査の1か月前。その間に「仮審査」と称して、いったん採点し、市側に返送するという過程を経ていた。どのように「返送」したのか確認したところ……。

■メールの記録を入手

情報漏れが許されないプロポーザル審査で、あろうことか業者の提案書が外部に持ち出され、「仮採点」されて市側に返送されたという。しかも、その時のやり取りはメールだったとうのだから呆れるしかない。ハンターは、審査過程を示す文書でありながら、記者が指摘するまで存在さえ明かされていなかったメールの記録を、追加で入手した。

このメールに添付されていたのが、前稿で示した下の採点個票。書き変え前の分だ。

ここで整理しておくが、このプロポーザルの最大の問題は、述べてきた通り、業者の業務提案書が市役所の外に持ち出されたことである。審査委員を疑うものでは決してないということを初めに断っておくが、提案書が持ち出された瞬間から、「不正」が可能となる環境を作り出してしまったのは事実だ。

本件の業者選定に応募したのは二つのグループだが、役所の外に持ち出された提案書のデータが、選定で競い合う業者サイドに渡る可能性があったことは否定できまい。大型事業のプロポーザルでも、審査委員に提案書が提示されるのはプレゼンの当日であることが一般的。そうでなければ公正公平は保てないからだ。ところがうきは市の場合は1か月前の外部持ち出し――。審査委員に不正はなかったと確信したいところだが、やはり、うきは市の審査手法は「疑い」を持たれてもおかしくないものだ。何人もの首長OBや現役にも話を聞いてみたが、口を揃えて「聞いたことがない。公平公正が担保されない」と切り捨てる。このプロポーザルは、業務提案書が外務に持ち出された時点で、正当性を失っていたと見るべきだろう。

異例の採点方法にしたことで、疑惑を招く結果になったの確か。プレゼンを経て行われた最終審査での採点そのものが、他のケースでは見られない、非常に不可解なものになっている。

(つづく)

 

この記事をSNSでシェアする

関連記事

最近の記事一覧

  1.  警官不祥事のもみ消しを指示した疑いがある鹿児島県警の前本部長野川明輝氏。その野川氏が、保身のため犯…
  2.  鹿児島県警や北海道警における警官不祥事を追及してきたが、島根県警でも“ブラック警官”の存在が明らか…
  3. 2015年に全国3例目になる訪庁者手荷物検査を始めた福岡高等・地方・家庭・簡易裁判所が、丸10年が経…
  4.  森友学園では幼稚園児に毎朝、君が代を歌わせ、戦前の教育勅語を復唱させていた。安倍晋三首相の昭恵夫人…
  5. ある自民党の幹部が、「うちもいつか、文春砲でやられますね」と暗いトーンでつぶやいた。手にしていたのは…




LINEの友達追加で、簡単に情報提供を行なっていただけるようになります。

ページ上部へ戻る