元暴力団企業舎弟・永原大任町長に寄り添う「毎日新聞」

筆者は、巧妙に悪徳政治家を擁護し、一般の読者に間違った認識を抱かせるような記事を書く記者を「権力の犬」と呼んで厳しく批判してきた。指定暴力団「太州会」の企業舎弟からのし上がった福岡県大任町の永原譲二町長絡みの報道では、読売新聞の酷さが際立っていたが(既報)、毎日にも「犬」はいた。

■永原氏の強要・脅迫に異例の刑事告訴

今月13日、福岡県田川市の村上卓哉市長が、永原氏を強要未遂の疑いで刑事告訴した。異例の事態を招いた原因は、田川市・郡で、指定暴力団「太州会」の力を背景に暴力支配を続けてきた永原町長の政治手法。自身が田川市に発出したごみ処理施設に関する公文書の開示請求が出されたことを知った永原氏は、6月23日に田川市役所の市長室に乗り込み、「自治体間で(問題の文書を)表に出さないという申し合わせがあった」とする根拠不存在の主張に基づき、「(文書を)出すのなら、田川市長名に作り替えた文書を出せ」などと約1時間にわたって問題の文書を開示しないよう強く要求。首を縦に振らない村上市長に対し、「(田川郡東部環境衛生施設組合の)議会から出ていけばいい。いやなら自分たちで(ごみ処理施設を)建てりゃいい」、「あんた方には協力せん」、「こんなことしとったら、あんた、4年間もたんよ」などと脅した。相手の弱みに付け込んだヤクザ以下の恫喝は、まさに企業舎弟上がりの永原氏が、長年続けてきた「脅しの手口」だった。

7月6日、こうした経緯を西日本新聞が朝刊の1面トップで報道(下の画像参照)。翌7日、永原氏の暴走に危機感を持った田川市議7人が記者会見し、市長に強要・脅迫行為を行ったとして刑事告発することを表明していた。

■真相をねじ曲げた毎日新聞の記事

直接的に強要・脅迫を受けた村上市長は、「市民生活を守るため」として永原氏を刑事告訴。報道各社が、自治体が他の自治体の首長を告訴するという前代未聞の事態を一斉に報じたのは言うまでもない。そうした中、毎日新聞が14日朝刊の地方版に、下の画像の記事を掲載した。

主見出しは『泥仕合』、脇見出しに『背景に市長選巡る私怨』と振って、まず事件の真相を歪める操作がなされている。記事本文の小見出しには『住民に悪影響』と付けて危機感を煽る。新聞は見出し勝負。読者を欺く、悪意に満ちた記事である。

この記事を書いた荒木俊雄という記者は、刑事告訴された永原町長が、訴えの内容は虚偽だとして逆告訴することを示唆したと記し、そうした事態がごみ処理を含む広域行政に影響を及ぼしかねないと述べている。両者の関係がこじれた原因については、市の関係者とやらの「2人の対立が激化した背景には、市長選を巡る私怨があるのでは」というコメントを紹介。さらに、田川郡内の「永原派」とされる福智町長などの発言で、自身の見立てを補強するという念の入れようだ。一方、村上氏を支持する田川市議や市民のコメントはどこにも出てこない。“この記者の目的は、永原擁護ではないのか?”――そう思わざるを得ない内容だ。

ハッキリさせておくが、市民生活を盾に取られる形で脅されたのは村上市長、脅したのは永原町長である。市長が刑事告訴したのは「公憤」によるもの、義弟である二場公人前田川市長が今年4月の選挙で惨敗したことを受けて「私怨」を抱いたのが永原氏というのが正しい見方だ。この事案の“背景”にあるのは「市長選を巡る私怨」などではなく、公共工事を利用した永原氏の悪行と田川市・郡にはびこる恐怖支配なのである。

「広域行政に悪影響」という荒木記者の考えは、永原町長が田川市役所の市長室で村上市長に発した「議会から出ていけばいい。いやなら自分たちで(ごみ処理施設を)建てりゃいい」、「あんた方には協力せん」、「ごみは捨てさせん」といった一連の脅し文句に通底するもの。市民生活を盾に取った暴力町長と同じ発想で記事を書いたか、永原氏から吹き込まれた通りを文字にしたかのどちらかだろう。いずれにせよ、永原氏に寄り添った記事であることに変わりはない。

刑事訴訟法は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」(239条第2項)とあり、永原氏から強要・脅迫行為を受けたことが明白だった田川市が、訴えを起こすことは市民生活を守る上でも当然のこと。訴えなければ、本当にごみ処理がストップする可能性があるだけに、なおさらだった。広域行政に悪影響を与えているのは永原氏。読者に誤った認識を与えるための記事を書く記者と、そうした記事を掲載する毎日新聞に報道を名乗る資格はあるまい。

もう一点、同紙県版にだけ掲載されたとみられる大学客員教授のコメントにも唖然とした(*下、参照)。見出しは「異例の場外乱闘」。本来は広域でゴミ処理施設整備を行う一部事務組合の議会で解決すべきで、両首長のやり取りは「場外乱闘」だという内容だ。一方的に脅された田川市長と市民にとっては、許しがたい暴論。地元の現状を知らない無責任な主張だが、知っていて述べたとすれば、かなり低レベルの学者さんである。

 そもそも、事をこじらせた原因は、田川郡内にある8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長。田川市、大任町、川崎町、添田町、赤村、糸田町、福智町、香春町で構成)が整備を進める三つのごみ処理施設に関する積算根拠や施工体系といった基本情報の公開を、頑なに拒む永原町長の姿勢にある。400億円ちかくの公費がつぎ込まれる事業の実態を隠す町長への不信感が招いた事件であり、全責任は、身勝手な理由で他の自治体の情報公開に横やりを入れた非常識な人間が負うべきだろう。

永原氏は、田川市議会の全員協議会や最近大任町が発行した冊子などで、ごみ処理3施設の事業費についてくどくど説明している。しかし、出てくるのは各施設にかかる事業費の額と、それを「減額させた」とする証拠のない主張。求められているのは、工事価格の妥当性を証明する算出根拠なのに、これを隠す合理的な理由は何ら示されていない。(*以下、ごみ処理3施設整備事業の現状

■市民はもとより他の報道関係者からも厳しい批判

毎日の記事をおかしいと思ったのは筆者だけではなかったようで、毎日の偏向報道を知った田川市の関係者からは、その日のうちに怒りの声が上がった。

「でたらめもいいところです。こんな記事を書く記者の顔が見てみたい。脅されたのは市長ですが、それは田川市民が脅されたのと同じことです。筑豊版の記事には田川市民や大任町の人のコメントが出ていましたが、県版の紙面に田川市民のそれが出ていないのは何故か!出せば、永原町長が益々不利になるからでしょう。ひょっとすると、問題の記事を書いた記者は、はなから永原批判の声を拾うつもりがなかったのかもしれなませんね。毎日新聞は、永原町長か、その後ろにいる国会議員に配慮して印象操作したいんでしょうが、市民はバカではありませんよ」(田川市在住。40代主婦

◆  ◆  ◆

「私は職場が福岡市内なので分かったのですが、筑豊版とそれ以外の地域の記事は掲載面が違う。筑豊版の方が、田川市と大任町の住民の感想を掲載した分、記事の分量も少し多い。大学の先生のコメントは確かに県版でしか見なかったが、この准教授は記者の誘導に乗っただけでしょう。その頓珍漢な准教授のコメントも含めて、全体のトーンは“住民に悪影響”であるとか“筑豊のイメージダウン”だとか、“両者ともに悪い”と印象付けるもの。県版に田川市民のコメントがないことで、毎日の歪んだ意図を感じ取りました。まさに永原擁護ですね。もう毎日は読まない」(田川市在住。会社経営の50代男性

厳しい批判は、他の新聞社の記者からも寄せられた。

「大前提として、田川地区を実質的に牛耳る大任町がいかに不透明な行政を行なっていて、それに対する住民や自治体関係者の不満があるということに何も触れずに「私怨」という言葉に落とし込もうとしている意図を感じます。私怨を持っているのは永原町長で、私怨を理由に権力を乱用してるのも永原氏。なのに、村上市長が私怨を持っているように話をすり替えているのは許せません。しかも、記事中で名前を出してる首長は永原氏と近いとされる福智町長。永原側の人間にしか聞いてない印象です」(新聞社:A記者

◆  ◆  ◆

「記事を見た第一印象は“またか”というもの。田川に駐在する毎日新聞と読売新聞の記者は、大任町の永原町長を擁護するような記事ばかり書くことで知られていたからだ。ことの発端を作ったのは永原町長であることは明白で、それを村上市長の『私怨』とするコメントを載せるのは筋違い。問題をすり替える表現は普通の記者なら書かないだろう。誰の方を向いた記事なのだろうか?

永原町長の問題について、田川駐在の記者は批判的な記事をほとんど書いてこなかった。ジャニー喜多川氏による性加害でも問題視されている大手メディアによる不作為。メディアが知っているのに見て見ぬふりをしてきたことが犯罪行為を助長し、多くの被害者を生み続けた。田川でも同じことが起きていないか?権力者に媚びを売り、ネタのおこぼれにあずかるのが記者の仕事ではないはずだが。

大学教授のコメントも紹介されていたが、ピントが外れている感は否めない。田川地区のことをよくご存じないのか、あるいは意図的な部分が掲載されてしまったのか。研究者の間では、いま『下手にコメントすれば、大任町長から横やりが入る』という“恐怖”が蔓延しているという。実際に西日本新聞の記事でコメントした研究者に対し、永原町長は面会を求めたことを公言している。市民オンブズマンの代表にも面会を求めるなど、永原町長の「フットワークの軽さ」は知られている。それが圧力となり、自由な言論に悪影響を及ぼしていることは言うまでもない。

大任町の問題は、取材する側も問われている。権力者にすり寄ってばかりのメディアは今後淘汰されていくだろう」(テレビ局:B記者

◆  ◆  ◆

「理解できない。これまで田川市や大任町で起きた様々な問題をきちんと取材していれば、こんな記事は書けないはずだ。この記事を書いた記者の名前はよく聞いていたが、永原氏の横暴な政治姿勢に異を唱える人たちの間では、あまり良い評判は聞かなかった。着信を無視する関係者もいたほどだ。

私怨だとか泥仕合だとかいう言葉は、自治体が他の自治体の首長を刑事告訴するという異常事態を招いた責任の所在を曖昧にしかねない危うさを持つ。大学教授のコメントにも強い違和感を覚えた。毎日の記者に、うまく利用されたのではないか。でなければ、地方自治の専門家が、こんなコメントを出すはずがない。報道に携わる者として言わせてもらうが、善悪の判断がつかないのなら記事を書くべきでないし、コメントも出すべきではない。」(地方メディア:C記者

(中願寺純則)

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