随契隠して入札偽装|不正調達の兵庫県立淡路医療センターに重大疑惑(3)

 30台ものノートパソコンを決裁を経ぬまま購入し、半月後に形だけ承認をとるという「不正調達」を行っていたことが明らかとなった淡路島の公立中核病院「兵庫県立淡路医療センター」が、公式には随意契約の記録文書を残す一方で、複数の地元業者を騙して「入札」を実施していたことが分かった。

 パソコン納品は入札の通知が発出される前で、淡路医療センターが実施した入札は偽装。応札業者には今日まで、「随意契約」であることが知らされていない。

■でっち上げ入札の経理課長、次から次に「嘘」

 パソコン調達は「随意契約」によるものだったのか「入札」によるものだったのか――ハンターの追及にしどろもどろになった兵庫県立淡路医療センターの職員は、「経理課長がお答えします」と逃げを打った。翌日、ハンターに連絡してきた岩崎聖子経理課長は、県庁内で「やり手の完璧主義者」とい言われ高い評価を得ているという。以下、「完璧主義者」と記者とのやり取りの概要である。

――随意契約ばかり続いているようだが?
経理課長:はい、そうなんです。はい、たまたま。

――(開示された)5件の契約のいずれも入札はされていない?
経理課長:はい。あのーそうですね。随契ばかりですね。はい。色々ちょっとコロナなどもありましたので、色んな理由で。はい。

――その中で、積算書や参考見積がない案件があるがなぜか?
経理課長:あっ、あのですね、えっと、まあ、ちょっと書類としては残してなくてですね、あの一般的に、その随契される、する時っていうのは、もう一社さんになるので、ええっと、一般的には、あのこちらの事務処理の仕方としては、あのー普通に見積書をまあ、頂くんですね。参考見積とかを。

――そうしないと予算建てができない。
経理課長:そうなんですよ。はい。で参考見積を頂くんですけども、こちらの、ええと、予算とか、まあ、こういうところは削れるんじゃないかとかいうのを、その見積もりを見て、ええっと、積算をしまして、こちらの中では、まあ、ここがラインだなというのは持っているんですよね。

――それで?
経理課長:で、持っている中で、こう、価格交渉をしていきます。で、ええと、その価格交渉の中で、私たちが思っているラインより下げて頂けたというか、あの応じて頂いたときに契約という形になるので、最終的には、はい。

――思っているラインの基礎になる数字は、業者からもらわないと分からないのではないか?
経理課長:わからないです。

――では、その証拠書類を残さないといけないはずだ。
経理課長:はい。

――予算が適正だったかどうかわからないじゃないか。
経理課長:そうですね、まあ、あの。そうですね、まあ。そういうご指摘を受ければ、そうですね。

――再確認するが、(開示された5件の契約は)全部随契で間違いない?
経理課長:あっ、はい、そうですね。

――本当にそれでいいか?
経理課長:はい。

 令和2年度から3年度にかけて淡路医療センターが行った医療機器と薬品を除く調達の契約は5件。そのいずれもが随意契約だった。記者は5件とも随契で間違いないかと何度も確認したが、経理課長はきっぱりと「はい」。この辺りまでは冷静な対応だった。この後、問題のノートパソコン購入について尋ね始めたところから、「完璧主義者」があたふたしだす。

――では、株式会社○○○○○○が受注したパソコン。
経理課長:はい。

――令和3年1月28日のこの事案。
経理課長:はい。

――入札は本当にされていない?
経理課長:はい、そうですね。入札ということは、して……あの、していないというか……

――参考見積もりとかも残っていないと、昨日聞いたが。
経理課長:あっ、そうですね。あのー。

――この件で、業者から、どのくらいの金額になるか、見積もりは取ったか?
経理課長:あっ、あの、そうなんです。ええっと、これちょっとそのーまとめて、購入をしてまして。ノートパソコンを。はい。30台ということで。

――昨日の話だと、この業者から見積もりを一応取ったと。だけどそれが残っていないんだということだったが。
経理課長:あっ、あのー、これはですね、ちょっと、まあ、ノートパソコンって。ええっと、今回この契約自体は30台まとめての契約なんですけど。あのー、まあ、大体1台ずつ買うことが多いんですね。はい。で、あのー、年度の当初にノートパソコンの発注があった時に、一番最初に1台での見積もりっていうのを取るんです。それでまあ、掛ける30(台)が……。

 経理課長は自分の話が整理できていない。パソコン購入価格の根拠はあやふやということだ。ここで再度、入札があったかどうかを確認したところ……。

――もう一度聞く。入札やってないか?
経理課長:はい。入札ではなく。はい。そういうことは、はい。

――本当に入札していないか?
経理課長:あっ、はい、入札っていうのは……。

―― (入札を)やっていたらどうするのか?
経理課長:えっと、実際してないので……。はい。

――そちらが出した、入札通知書とか、入札書、入札辞退届、ノートパソコン等購入に係る仕様書という文書が存在するが?
経理課長:あっ、これはですね。あの……。

――この入札の関係を周知する前に、(パソコンが)納入されているはずだ。
経理課長:あっ、はい、そうなんです。

――あなた、さっきまで入札していないと断言していたが。
経理課長:はい。入札……。

――入札しているじゃないないか。
経理課長:あっ、すみません。それはちょっと、手続き上の、あの、ミスがあったことは、あのこちらも……。

――ミスじゃない。誤魔化した。偽装した。入札を。
経理課長:いや、じゃないです、じゃないです。

――では、なんなのか?
経理課長:あの……。手続きを…。

――複数の業者に入札させた。(入札)札を送らせた。郵送で。
経理課長:いえ、あの……。そうしようと。はい、入札というのは、あのー、しようとしたというか……。

――業者が送ってきた入札書札はどこにあるのか?
経理課長:いえ、あのー、残して……。あの残してはあります。その、札というか……。

 「入札はやっていない」と断言していた経理課長が、厳しく追及されたとたん、「手続き上のミス」「入札というのは、あのー、しようとしたというか」――。素直に「やりました」「すみません」と言えばいいものを、子供でも分かる言い訳で、しらを切りとおそうとする。お粗末と言うしかない。往生際の悪さは呆れるほどで、この後もしどろもどろながら醜い言い訳。ついには、“証拠隠滅”を示す発言まで飛び出す。

――公文書毀棄か?
経理課長:いえいえ、そういう廃棄とかではなくって。

――入札妨害じゃないのか?
経理課長:いえいえ、そういうわけではないです。

――入札やったと認めるか?
経理課長:いや、入札しようとしたことは、確かに……。

― しようとしたんではなくて、(入札書を)業者に送らせている。金額まで指定していたのではないか?
経理課長:……金額まで指定ですか?

――証拠が全部残っている、
経理課長:ええっと、どのような物をお持ちなんですか?

――語るに落ちるというが、証拠があるから入札があったと指摘している。あなた方は、やったことや言ったことに責任を持つべきだ。
経理課長:はい。

――センター長はご存じなのか?
経理課長:あっ、はい。

――センター長の名前で入札通知出している?1月15日に。
経理課長:はい。

――しかし、30台のパソコンが実際に納入されたの1月12日。
経理課長:あっ、いや、あの…。

――入札を偽装したということか?
経理課長:いや、そうじゃないんです。あの……普段……。

――あなたはさっきミスと言ったが、嘘ばっかりだ。応札した業者にはなんと説明するのか?入札も入札結果も、全部偽装でしたと白状すべきだろう。
経理課長:いえいえ、結果とかではなくって、こちらの方の……。

――形だけの入札です、と業者に断りい入れていたのか?その上で、入札結果までメールしたのか?
経理課長:……。

――メールはすべて残っている。
経理課長:ああ、すみません。こちらの方には、ちょっと残っていないので。

――メール削除で証拠がない、くらいに思っているのではないか?
経理課長:いえいえ、そんなことはないです。

 「入札はやっていない」と否定していたはずの経理課長が、入札が行われたことを証明する「メール」について水を向けると、「こちらの方には、ちょっと残っていない」と言う。メールの内容が分かっているからこそ言える一言だ。しかも、初めて指摘されたメールの存否について、即座に答えている。何について聞かれたのか、理解していなければ出てこない言葉だった。追い込まれた経理課長は、不正が「組織ぐるみ」だったことを「自白」する。

――嘘ばかりだ。入札もやっているし、ないはずの仕様書もある。
経理課長:いやこちらの方と……。それについてはもう、あのー、入札っていうことは……。あの、入札という行為は、もう、あっ、いや、もうしないという判断をして、随契で行こうということで、決定しましたので……。これは本当に手続き上……。

――物品の納入後に入札を偽装した。入札やってますよと言わんばかりに。
経理課長:いえいえ、あのー。そういう風にしようとは思ったんですが、思ったというか、そういう風な……、あのー。入札をしなければいけないということに気が付いた段階で、一旦、あのー、入札ということも含めて考えないといけないということで、先に動いてしまったというところがあります。ただ、あの、組織で相談をしたときに、入札なのか、やっぱりこれは、入札をするにはおかしいということになって、最終随契ということで、組織で決定をしています

――しかし、業者に応札させているではないか。
経理課長:すみません。そちらに関しては……。こちらの方の、あの、手続きが、あの、先走ってやってしまったっていうのは、あの……そこは、本当に、業者さんには。あの、わかってます。ああ、そういう行為をしようとしたことは、もちろんわかってます。

――そんな嘘はだめだ。
経理課長:いや、嘘は言っていない。

 「組織で相談をし」「組織で決定」――。つまり、“自分だけが悪いのではない、兵庫県立淡路医療センターという組織でやったこと”だから、自分に落ち度はないと言いたいらしい。「入札はなかった」と強弁を続けておきながら、最後は幼稚な開き直りだ。しかし、不正調達や入札偽装という犯罪的行為に、そんなご都合主義が免罪符を与えるはずがない。次稿で、ハンターが独自に入手した「証拠のメール」を公開する。

(つづく)

 

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