福岡県田川市(二場公人市長)が昨年5月に実施したごみ収集業者の業者選定に関する疑惑を巡り、実際の受注業者名を非開示にした同市の処分は不当とするハンターの審査請求を受けた市情報公開・個人情報保護審議会が、「開示すべき」と答申。市は10日付けで非開示処分を取り消す裁決を下し、事実上の隠ぺいを認めた形となった。
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正当性が疑われている問題の事業は、「田川市一般廃棄物(ごみ)収集運搬業務委託」。A工区(市内西側の可燃ごみ)、B工区(市内東側の可燃ごみ)、C工区(市内東側の可燃ごみ)に分けて業務委託されるもので、今年4月からの実施に向けて昨年5月にプロポーザル方式での業者選定が行われていた。
選定が進められたA、B、C三つの工区のうち、A、B両工区で第一位となった業者がA工区の受注を辞退。C工区の一位企業も、辞退届を出すという異例の事態に。ハンターの取材で、別々の3社が仕事を分け合う形で契約が結ばれていたことが明らかとなったが、市は契約結果を隠し、ハンターが昨年8月に情報公開請求した3社との契約書のうち、選定下位の繰り上げ契約業者名だけを黒塗り非開示にしていた。
ハンターは昨年9月、非開示を不服として田川市に審査請求、市が12月に情報公開・個人情報保護審議会に諮問し、審議が続けられていた。
同審議会は、市が契約業者名を非開示としたことについて、「優先交渉権第1位の業者が当該権利を辞退した本件の場合、本市は優先交渉権第2位の業者と契約の協議を行うこととなり、実質的には、優先交渉権第2位の業者が最も優先的に同業務の契約交渉を行うことができる業者となっている」と指摘。公表という条件については同様で、「契約業者名を開示することにより支障が生じる」とした市の判断を否定した。その上で、契約に至った業者名だけは開示すべきと結論付けている。
官業癒着が疑われるプロポーザルの実態を隠蔽した田川市長の非開示処分を、市長自らが取り消すという異例の事態だ。