政治資金規正法が定めた政治団体の届出をせずに、「後援会」の活動を続けてきた原口英喜筑後市議会議長。前代未聞の違法行為に、選挙管理委員会の職員も「初めて聞いた」と驚きを隠せない。
2019年の筑後市議選を前に使われた後援会の「リーフレット」には後援会規約や後援会会長の挨拶まで掲載されているが、昨日の配信記事で報じた通り、県の選挙管理委員会には「原口ひでき後援会」の設立届は出されていない。
つまり、違法な集団が違法な印刷物を作って原口氏の宣伝を行い、有権者を騙して原口氏の当選を図ったということだ。では、こうした違法な政治活動はいつ頃から行われてきたのか――。
■「無届け団体」違法性の証明
政治資金規正法 第2章(政治団体の届出等)
第6条 政治団体は、その組織の日又は第3条第1項の団体(*)となった日から七日以内に、(中略)その旨、当該政治団体の目的、名称、主たる事務所の所在地及び主としてその活動を行う区域、当該政治団体の代表者、会計責任者及び会計責任者に事故があり又は会計責任者が欠けた場合にその職務を行うべき者それぞれ一人の氏名、住所、生年月日及び選任年月日、当該政治団体が政党又は政治資金団体であるときはその旨、当該政治団体が第19条の7第1項第1号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨及びその代表者である公職の候補者に係る公職の種類、当該政治団体が同項第二号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨、同号の公職の候補者の氏名及び当該公職の候補者に係る公職の種類その他政令で定める事項を、(略)都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならない。
【(*)=この事例では、「特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体」を指す】
下は、原口陣営が2010年頃に作成したとみられるリーフレット(ハガキ大、二つ折り)。現在2度目となる議長職を務めている原口氏は、2009年から11年にかけて議長を経験しており、この時のリーフレットの略歴の中には「筑後市議会議長」と書かれていた。
「後援会討議資料」と「後援会事務所」、「後援会長」の挨拶などは前稿で紹介した直近のものと同じだが、裏面に「原口ひでき後援会の趣旨に賛同し入会します」として入会申込書が印刷してあった。大っぴらに違法団体の勧誘を行っていた証拠と言える。
次が、原口氏が2期目に挑んだ2003年の市議選前に作成されたリーフレット。リーフ自体はその後の選挙の度に何度も作成されているが、入会申込書の裏面以外は「後援会規約」や「後援会長」の挨拶など、ほぼ同じデザインだった。
原口氏の市議初当選は1999年。その頃から現在まで20年以上、政治資金規正法上は存在しない「原口ひでき後援会」を名乗って政治活動を展開し、地盤培養を含めた選挙対策を行ってきた疑いが濃い。念のため福岡県選挙管理委員会に確認したところ、「原口ひでき後援会」という名称の団体が設立届は、これまでただの一度も出されていないという。
本稿の冒頭に示したように、政治資金規正法は政治団体の設立から7日以内に都道府県選管に所定の内容を記載して届け出るよう定めており、これを怠って「後援会活動」を行った団体は、違法な無届け団体となる。
ザル法との批判がある政治資金規正法だが、無届け政治団体を形式的な話だと侮ることはできない。実は、原口議長が選挙の度に使ってきた「リーフレット」は、重い罰則につながる証拠品となる可能性が高い。
(つづく)