愛媛県議会を揺さぶる元議長のハラスメント裁判

愛媛県議会第100代議長(平成24年3月~平成25年3月)の岡田志朗県議が、セクハラやパワハラで損害賠償請求を起こされた事件(既報)の審理が松山地裁で続いている。
原告女性のAさんは、岡田氏から受けたハラスメントの画像などを証拠として裁判所に提出。一方、岡田氏は被告(岡田氏)と原告の交際が終了したのは2014年7月頃で3年以上が経過しているため、除斥期間が過ぎているとして棄却するように求めている。愛媛県議会を揺さぶる裁判の模様を関係者に取材した。

◇   ◇   ◇

双方の主張書面を見てゆくと、岡田氏は第100代議長在任中という重責ある時期にAさんと親密に交際し不倫関係であったことや、Aさん宅に衣類などの「私物」を置いていたことを、《Aさんと交際していた当時、被告が妻及び子と同居していた》として認めている。この点について、ある自民党愛媛県議がこう憤慨する。
「県議会議長ともあろうものが、堂々と不倫を認めるなんて信じられません。県議として、県民の付託を受けて職責にかかわる資格はない。実に酷いものだ。『自民党として離党を求め、応じないなら除名にすべき』という強硬な意見もある」

Aさんが訴える岡田氏から受けた暴行、暴力、セクハラ、営業妨害、ストーカーなどはこれまで報じている通りだ(既報)。

《岡田氏が1万円札1枚を投げつけ「お前はセックスマシーンだ」と強引に性交渉をさらに要求。原告が「あなたの奥さんにこんなことするのか」と詰問したところ「できるわけがない」と言い、強引に性交渉を余儀なくされた。》

《些細なことが契機となり、原告と被告間で口論となった。被告は烈火のごとく怒り、鬼の形相で、原告に襲い掛かってきたことがあった。その際、被告は原告の正面から力任せに原告の首を絞めた。被告があまりに強く原告の首を絞めたので、同人の指が原告首に食い込み、被告の親指の力で原告の喉ぼとけが押しつぶされそうになった。》

《(Aさんとは別の女性との交際が発覚し)被告は原告との交際をやめる話になるたびに必ず原告の顔を殴打し、目の周りに痣ができ、顔がむくんだ。ときには原告の襟首をつかんでひきずって、首がしまり窒息しそうになったこともあった。》

これに対し岡田氏側は、《その1つ1つが刑事事件となり得る程度の内容》であるにもかかわらず、警察から事情聴取を受けていないという理由で、「違法行為」はなかったと理由づけている。

しかし、Aさんの主張は時期もある程度特定されている。それを裏付ける、SNSのメッセージやスナックの伝票、写真などがあり、ハンターがその一部を入手した。

2018年3月19日、Aさんのスナックの「お会計伝票」には『岡田』とある上を線で消して『しんこうこうき』とある。

2人が来店して5万円のウイスキー「響17年」のボトルを開けて、合計64,000円が支払われている。『しんこうこうき』とは、岡田氏の一族が経営する久保興業(本社・愛媛県内子町)の系列会社で、松山市の新興工機のことだという。岡田氏の主張によれば、Aさんのスナックに後援会のメンバーが行けば後払いで、新興工機に伝票を回すことになっていたという。その日の来店した人物は特定できないが、新興工機の社員が飲食を行った可能性があるとしている。

政治家が地元の有権者を飲食でもてなすことは、公職選挙法が禁じる選挙区内での寄附行為。日付からみて、ちょうど愛媛県議会選挙が行われる1年ほど前の時期でもあり、飲食接待の「事前運動」ではという疑念も生じる。しかも、提供されたウイスキーのボトルは1本5万円もする高価なもの。岡田氏は、自身の政治団体「みのり会」の政治資金でもAさんのスナックに飲食代金を支払ったと主張しているが、政治団体がスナックでどんな会合を開催しているのか聞いてみたいところだ。Aさんは次のように話す。「領収書には岡田と個人名が書いてあります。岡田氏本人が来店したからそう書いているのです。『請求先を新興工機に』岡田氏から指示があり消して書き直したのです。新興工機は松山市内ではなく、車で30分くらい離れた場所にあります。そこから社員が飲みに来て5万円もするボトルを入れますか?領収書は、岡田氏本人が来店した証拠ですよ。みのり会からも代金の支払いがあったような記憶もあり、いま調べています」

Aさんのスナックの客単価は1万円を切る程度。5万円のボトルは「超高級」だ。Aさんの言葉には、確かに説得力がある。

次回の公判は、来年2月に予定されている。Aさんはすでに、証人尋問として複数の県議会議員を法廷に呼んでほしいと裁判所に申請している模様だ。11月に愛媛県知事選で現職の中村時広知事が地元の内子町に来た際、岡田氏は知事を支援をしていたという。岡田氏の地元に住む女性は、怒りを露わにする。
「岡田さんが女性に理不尽なことをして裁判になっているというニュースは地元でも知られている。中村知事の応援とはいえ、岡田さんと接触したくないという地元の有権者が何人もいたそうです。議長在任中に不倫をしていたわけで、それだけでアウト。地元民としてこういう人物を県に代表として送り出していること自体、恥ずかしい。岡田さんは早く退場すべきです」

来年4月の統一地方選を前に、前出の自民党県議も注文を付けた。
「岡田氏の悪評が、他の自民党候補者の票を減らす一因になりかねません。選挙の事前運動、供応接待のようなことがAさんのスナックであったなら、さらに問題です。議長在任時の不倫を裁判で認めているのなら、とても県議として無理です。裁判にケリつけるて謝罪するか、自民党から消えるのか、早く決着させてほしい」(前出・自民党の県議)

 

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