永原譲二大任町長「し尿処理行政」私物化の実態(3)|「区割り変更」「インチキ平準化」に怨嗟の声

 し尿処理施設「田川地区クリーンセンター」の管理・運営を行うため田川市・郡の1市7町村で構成されている一部事務組合「田川地区広域環境衛生施設組合」の行政処置を巡り、組合長を務める永原譲二大任町長に対する怨嗟の声が広がる一方だ。

 住民から上がる批判や不安は、今年3月末頃になって唐突に分かった、し尿処理業者の変更についてのもの。そもそも、業者との契約は各戸の自由意思に委ねられているはずだが、永原氏は「平準化」というもっともらしい理由をつけて業者の受け持ち区域を勝手に変更。何十年もの付き合いがある業者と突然縁を切られた住民からは、「誰がこんな勝手なことをやっているのか!」、「永原に契約を縛る権利はないはず」、「住民に不安が広がっているのに、関係市町村は、なぜ指をくわえて見ているのか」、「永原という組合長を辞めさせるべきだ」などといった厳しい意見が噴き出す状況となっている。結論から述べておくが、永原氏の「平準化」は正当な行為とは言えない。

■問われる「区割り権限」の有無

 日常的な「強要」や「強弁」といった暴力的な姿勢で周辺地域の支配者として君臨してきた永原譲二大任町長。今回の「平準化」も、処理場の管理・監督権を盾に、住民はもちろん関系自治体にも相談せぬまま、一方的にし尿処理業者の受け持ち区域を変更していた。そこに法令違反はないのか、調べてみた。

 永原氏がいう「平準化」が言葉通りの意味なら、“均等にすること”――つまり業者の受け持ち区域を事業実態に合うものにするということだろう。しかし、業界関係者や筑豊地域の住民に話を聞いてみると、これまで、業者と契約者=住民の間にトラブルがあったという話は一切出てこない。受け持ち区域が広すぎて、従業員が足りなくなっているという業者の話も出てこない。むしろ、今年3月まで長く付き合ってきたし尿処理業者と住民には信頼関係が築かれており、特定業者だけが仕事を独占しているようなケースも皆無だった。つまり「平準化」というワードは、永原氏が自身の暴走行為を正当化するための道具なのである。そもそも、永原氏に業者の区割りを変更して、勝手に割り当てを決める権限があるのだろうか?

 前稿で示したように、田川市・郡のし尿処理行政に関するルールを定めている文書は「田川地区広域環境衛生施設組合廃棄物の処理及び清掃に関する条例」(以下、「条例」)、「田川地区広域環境衛生施設組合規約」(以下、「規約」、「田川地区広域環境衛生施設組合廃棄物の処理及び清掃に関する条例施行規則」(以下、「規則」)の三つ。しかし、どう読み込んでも、業者の「区割り」に関する組合長の権限を定めた条文はみつからない。

 条例の第3条に「組合長は、法第6条第1項の規定に基づき一般廃棄物の処理に関する計画(以下「一般廃棄物の処理計画」)を定め、これを告示するものとする」という条文がある。組合が一般廃棄物処理計画を策定しているのかどうか判然としないが、これを根拠に区割りを行ったとしても、永原氏の行為が認められるとは思えない。

 一般廃棄物処理計画とは、市町村(*この場合は一部事務組合)が区域内の一般廃棄物の処理に関し定める計画のことで、廃棄物処理法第6条が求めているその内容は以下の事項だ。

・一般廃棄物の発生量及び処理量の見込み
・一般廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項
・分別して収集するものとした一般廃棄物の種類及び分別の区分
一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項
・一般廃棄物の処理施設の整備に関する事項

 この中の、《一般廃棄物の適正な処理及びこれを実施する者に関する基本的事項》を根拠に「区割り」を行ったとも考えられるが、そうなると永原氏の区割りには違法の疑いが生じる。同法第6条は《一般廃棄物処理計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めなければならない》という努力義務も設けており、永原氏は組合長として区割りの変更を公表していないからだ。

 条例に従うなら、さらに違反の疑いが濃くなる。条例第3条の2の規定は《一般廃棄物処理計画に重要な変更があったときは、その都度告示するものとする》。努力目標ではなく、告知を義務付けるものだ。しかし、永原氏が「区割り」を含む一般廃棄物処理計画の変更について告示を行った形跡はない。告示していれば、テレビ局の取材を受けた関係自治体の首長が「聞いていない」と答えるわけがない。

 他に永原氏の区割りを可能とする規定があるとすれば、「田川地区広域環境衛生施設組合規約」にある次の『第3条(2)』しかない。

第3条 組合は,次の各号に掲げる事務を共同処理する。
(1) し尿処理施設の管理運営に関する事務
(2) し尿処理施設の総合調整に関する事務

 永原氏が、ごみ処理行政などに関する問題で自己弁護のために多用するのが「総合調整」という文言。総合調整とは、行政機関内(この場合は組合内)の施策の統一を図るという目的で行われるものだが、同氏は総合調整の一環として「区割り」を行ったと主張するかもしれない。しかし、業者の割り当てが「総合調整」の一つにあたるというのは、無理筋の解釈。永原氏が、組合を組織している自治体の首長らに何の相談もなく区割りを行っている以上、総合調整とはいえまい。つまりは身勝手な「平準化」。割り当ての結果次第で地域内業者の業績や従業員らの生活が一変することを考えれば、なおさらタチが悪い。

■「平準化」という虚構

 取材を進める中、「平準化」を理由に変更された「区割り」の内容が、少しずつではあるが明らかになってきている。従来の業者が締め出されたか、あるいは受け持ち区域の変更を申し渡された業者が、これまで契約していた顧客に業者が変わることの文書を配布しており、それによって各業者の新たな受け持ち区域がある程度推定できる状況になったからだ。関係者の証言も数多く集まっており、永原氏に近い業者、永原氏に従う業者は手厚く遇され、距離のある業者からは容赦なく仕事の一部を奪っている実態が浮き彫りになりつつある。

 住民からの批判を受けた組合は、各自治体に割り当て区分を色分けした地図を配布しているが、実に雑なもの。下は田川市の村吉勇介市議が入手した問題の地図だが、子供の塗り絵と変わりない。

 住所地の境界は曖昧。区割りの詳細も曖昧。各業者の新たな区割り過程や理由も不明。これでは、田川が市民に説明するのは不可能だ。さらに、当該自治体以外の割り当てを記した地図は配布されておらず、永原氏とその周辺以外は、区割りの全容が分からない状態となっている。

 複数の業界関係の話から、永原氏主導で進められた「平準化」が、いかに理不尽なものであったかが分かる。ある業者は、田川地区クリーンセンターに呼び出され、直接永原氏から仕事が減る形となる受け持ち区域の変更を申し渡されたという。その際、他の業者の受け持ち区域は教えてもらえなかったという。また他の業者は、永原氏から「許可は欲しゅうないんか」などと言われ、「怖くて従わざるを得なかった」とも話している。

 古くからある業者の既存組織「田川地区環境整備事業協同組合」を切り崩し、側近らを使って新たな業者組織を立ち上げようとしている永原氏。狙いはし尿処理行政の私物化だろう。彼の横暴を可能としているのが「許可権」。田川市・郡の首長や議員が住民本位の政治や行政を目指しているというなら、地域のし尿処理行政を正常に戻すため、永原氏に「NO」を突き付けるべきだろう。できないのなら、政治家を辞めた方がいい。

 権力を盾に弱い立場の相手をいたぶり、言うことをきかせる――こうした永原流の暴力的な行政運営に、多くの業者や住民が泣いていることを忘れてはなるまい。

(つづく)

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