石破茂首相が自民党の一年生議員15人を集めた会食に先駆け10万円の商品券を渡していた問題が拡大、岸田文雄氏も首相在任時、政務官らに同額の商品券を配っていたことが分かった。旧安倍派の裏金事件に続き、自民党最大の弱点である「政治とカネ」が政権を揺るがす事態となっている。
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立憲民主党の笠浩史国対委員長は、「自民党の坂本国会対策委員長と会談をいたしました。国民民主党さん、日本維新の会の国対委員長と確認をした上で、私のほうから政倫審への出席、総理の出席を求める要請をした。坂本委員長のから石破総理自身は(政倫審出席の)申し出は行わない。理由は不当な疑惑を受けた議員からの申し出というのには当たらないということ。しかし、きちっと申し立てが議決をされるなら、しっかりと応じていく用意がある」として石破首相が政治倫理審査会に出席する用意があることを明かした。
直近の政倫審でいえば、昨年から今年かけて、旧安倍派と旧二階派などの裏金事件で衆参合わせて37人が政倫審で証言。消化不良に終わり、疑惑が膨らむ状況となっている。ある自民党幹部は渋い表情でこう話す。
「現職の総理が政倫審出席となれば、とんでもないことになる。過去になんら問題になったことがない商品券などの寸志までが、疑惑事件となりかねない。石破総理が出席するれば、当然受け取った1年生議員もまな板に乗せられてしまう。経験がないから、追及されたらやばいことになるかもしれない。坂本国対委員長はなんでびしっと断らなかったのか。野党のこんな戦略にはまってはいけない」
3月17日、参議院の予算委員会で立憲民主党の石垣のり子氏が商品券問題を追及。首相は、「歴代首相が(商品券問題を渡していたか)それは存じません」と1年生議員に首相から金品を贈る「慣習」を否定した。
石垣氏が「説明責任を果たすべきでは」とさらに踏み込むと、「公職選挙法や政治資金規正法には触れない。私の私費での会食で政治目的ではありません。社会通念上、世の中の方々の感覚とは乖離したものと痛切に思っており、申し訳ございません」と陳謝した。
先週末に複数の報道機関が行った世論調査で支持率が急降下した石破内閣は、衆議院で過半数を失ったままの少数与党。野党がまとまって内閣不信任案を出せば、石破政権を倒すことが可能だ。だが、野党第一党である立憲民主党のある幹部は「なかなか機運が盛り上がらない。政倫審に石破首相を引っ張り出すことで、『内閣不信任案を出すべき』という世論になればいいが……」と弱気だ。
石破政権が商品券問題で迷走すれば、国民は野党に期待する。しかし、大手メディアの世論調査では、立憲民主党をはじめとする野党の支持率は横ばいか、やや下落という情けない状況が続いている。読売新聞と日本テレビの世論調査を例にとると石破内閣を「支持する」は31%で前回から8%も減っている。「支持しない」は43%から58%と15%の大幅増だ。しかし、政党支持率に目を移すと自民党が26%で前回調査と横ならび。立憲民主党は6%で前回比マイナス2%。日本維新の会は3%で前回と同じだった。国民民主党だけが4%上がって12%、一人勝ちの状況である。
他のメディアの調査でも、石破首相個人への信頼度は大きく減っているが、自民党への支持はさほど変わっておらず、全体的に見ても野党への支持が停滞しているのがよくわかる。
新年度予算案に衆議院で賛成した維新は、参議院でも賛成に回るという。同党の代表である吉村洋文大阪府知事は「野党でも公約を実現させることができる」と言いながら、「自民党とは一緒にやらない」とわかりづらい主張を繰り返す。
「内閣不信任案の絶好のチャンス。うちは予算案には賛成するが、それ以外では自民党とは共同歩調をとらない。ところが、そういった戦略はまったく国民に伝わっていない。他の野党からも『内閣不信任案を出したとき、本当に維新は乗ってくるのか』と何度も聞かれる。国民からも野党からも信頼がない証拠だ。それが世論調査の低空飛行の数字につながっている」(維新の幹部)
野党の中では、立憲民主党を追い越す世論調査の結果だった国民民主党だが、「伸びている世論調査もあれば、平行線という数字もあります。他の野党よりまだ国民民主党ほうがマシだという程度の評価でしょう」と、懐疑的な見方をする同党の議員もいる。
内閣不信任案を出したい=石破政権を倒したいが、世論調査で政党支持率が上がらない。従って石破首相が解散総選挙に打って出ると、困る――。という野党の後ろ向きな意図が透けて見える。
「石破さんにとっては、5回目のチャレンジで勝ち取った総理の座。自ら辞めることはない。内閣不信任案なら解散総選挙。もし辞任しても自民党には次の総理総裁候補の有力者がいない。一方、野党はチャンスなのに世論調査の数字が思うように上がってこない。もちろん、野党がまとまらないと内閣不信任案は出せない。商品券問題が盛り上がっているときに一気に勝負するのが常道だが、それもできないのが今の野党だ。奇妙な状態だな」(自民党幹部)















