新型コロナウイルスの感染拡大、死者増大で「失政」が続く大阪府の吉村洋文知事。
これまで、本サイトでは吉村府政による新型コロナウイルス対策の問題点を厳しく指摘してきたが、最近の会見で知事は、コロナの「失政」などなかったかのように、ウクライナ問題について熱く語るようになった。「失政のごまかしではないか」――と大阪府の内部からも、声があがる状況だ。
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吉村氏がロシアによる侵略や、ウクライナからの避難民について言及しはじめたのは3月1日の大阪府議会本会議から。知事はそこで、「ロシアによるウクライナの軍事侵略、国連憲章に違反、断じて許されるものではない。大阪府議会の(非難)決議文を付してロシアに抗議したい」と述べた。
その後、連日のように開かれる会見では、ロシアの軍事侵略、ウクライナの避難民への発言が目立つようになった。
3月9日の会見では、冒頭から吉村氏が「ご発言」として、大阪府の受け入れ支援策を発表。「大阪府の方針は4つの柱。受け入れは、国がどうするかという方針が重要だ。大阪府はそれに基づいてやります。かなり避難民が増えているとういう報道もあり、今のうち自治体として準備したい」などとウクライナからの避難民の話題に長く時間をさいた。
東日本大震災から11年となる3月11日の会見では、「東日本大震災から11年。お亡くなられた方、犠牲なられた方のご冥福をお祈りいたします。哀悼の意を表明するため震災発生時刻に黙とうしたいのでご協力をお願いしたい」と語り、午後2時46分の地震発生時刻になると、記者やテレビカメラの前で黙とうをささげた。
大阪府の関係者が、声を潜めてこう話す。
「吉村知事は、とにかく目立つこと『知事はよくやっている』『新しいことにチャレンジしている』と評価されることが大好き。一方で、批判的な指摘、意見は徹底的に嫌います。今年度の予算に、カーボンニュートラルについて記者会見で自慢げに話したのは3月8日。しかし、政府の二番煎じに、マスコミはまったく反応を示さなかった。ところが、9日にウクライナの避難民について方針を打ち出すと大きく報じられたことで、気をよくして『ウクライナの避難民』というのが吉村知事の定番になっている」
だが、新型コロナウイルスの感染拡大は全国的には減少傾向。しかし、大阪府は吉村氏自身が「今も病床ひっ迫している。感染の再拡大を防がねばならない」と呼びかけている。
3月8日、大阪府の死者数は52人、9日は44人と全国トップを独走。東京都は3月に入って死者数は30人前後という日が大半。
「なくなる方の多くが高齢者というのは、コロナの感染がはじまった時から同じです。初期対応が大切ですが、2年たっても大阪府ではできていないから連日、死者が東京都より多くなっているということ。さらに言えば、吉村知事のコロナ対策に問題があるからだ」と厚生労働省の幹部は指摘する。
3月11日、大阪府は宿泊療養の施設となっている41のホテルの中の19で1日支給される1食900円、3食2700円の食事代を「中抜き」して経費としてねこばばしていたと公表した。これはAERA dot(アエラドット)が先月報じた「【独自】大阪のコロナ宿泊療養者から苦情続出の貧相な食事 ホテル側が“中抜き”認める」という記事で「中抜き」疑惑を報じられたのを受けて、公表を余儀なくされたもの。コロナに感染して療養の必要がある患者に、大阪府の監督が不十分で粗末な食事を提供させていたという内容だ。税金でホテルに儲けさせていたというわけだ。
「中抜き」していたホテルの一つが、アパホテルのあるグループ。大阪府にアパホテル側から提供されている<月次報告書>の情報公開資料によれば2021年8月31日、緊急事態宣言が発令中、このホテルの療養者は233人で、提供された食事は3食で767食。「中抜き」されたのは、療養者一人につき1日59円から700円。その中間をとって仮に300円として、療養者233人から計算すると17万8千円にも及ぶ。これが1日だけではなく、何カ月も続いていたのだ。
情報公開されたアパホテル提供食の写真を見る限り、1食900円とは信じがたい内容だ。アパホテルで療養していたある人物は、「あんなまずい、揚げ物ばかりの食事を出されると、よくなるはずの病気も悪化する」と吐き捨てた。
必要経費は大阪府から支払われる。1食あたりの「900円」はそのまま食事代としなければならないことを吉村知事も記者会見で認めていた。当然、「中抜き」は不可のはずだ。しかし契約書にその記述がないとして、大阪府は「契約違反ではない」との見解を示している。契約書に明記しておけば、ホテルから返還させることができたことになる。これも「失政」に他ならない。
「吉村知事は失政など認めません。中抜きが報じられネットでバズって、大阪府にもたくさんの抗議がきた。そこで吉村知事は挽回するんだとばかりに、『療養者にデリバリーサービスの注文ができるようにする』といきなり記者会見で言い始めた。事務方は何もしらず記者会見は途中でストップ。大混乱でした。パフォーマンスばかり優先の吉村知事と維新政治。いい加減にしてほしい」(大阪府の職員)