崖っぷちの「大阪都構想」|注目される橋下徹元大阪市長の動向

大阪市を廃止して4つの特別区を設置するという、いわゆる「大阪都構想」の是非を問う住民投票が、11月1日に投開票される。

都構想を政策の「1丁目1番地」に据えてきた維新にとって、今回の住民投票は二度目の挑戦。2015年同様、「反対」が「賛成」を上回れば、維新を率いてきた松井一郎大阪市長や吉村洋文大阪府知事の責任を問う声が上がる可能性もある。終盤の情勢を探った。

■拮抗する賛・否

2019年4月の大阪府知事選、大阪市長選のダブル選挙では、大阪維新の会が圧勝。新型コロナウイルスへの対応で吉村洋文府知事の人気が上がったこともあり、「賛成」が優勢で推移してきた。しかし、住民投票終盤を迎えて様相が一変。「反対」が追い上げる展開となっている。マスコミ3社の世論調査をみても明らかだ。

住民投票の告示前は、賛成が反対を10ポイント程度上回っていたが、ここに来てかなりの接戦となっているのが分かる。

「投開票日まで1週間という時期の数字で、ここまで接近するとは思わなかった。投開票日まで、なんとか数ポイントのリードが保てると予想していた」と、維新の会所属の大阪市議はショックを隠せない。

確かに、街頭の様子などをみていると、2015年5月の住民投票ほどの熱気は感じられない。その大きな理由は、大阪維新の会の創設者である橋下徹氏の不在にあるという見方がほとんど。賛成、反対、どちらの関係者も口をそろえて「橋下不在」を口にする。

■注目される橋下氏の動向

「賛否に関係なく、橋下氏の知名度はすごかった。『橋下なんかに負けるな、反対!』などという声がある一方で、『橋下さんが言うてるのに、なんで賛成しないの』と叱られたこともあった。住民投票の中心は、良くも悪くも橋下氏だった」(自民党の大阪市議)

確かに、前回の住民投票では橋下氏が動くたびにマスコミが追随し、大阪都構想についての報道も今回より多かった気がする。大阪都構想に賛成か反対というより、橋下氏が好きか嫌いかという面があったのではないだろうか。橋下不在の中で行われることになった今回の住民投票は、単純に都構想そのものの是非が問われる形となっており、大阪市が廃止となった場合への理解が、より深まったとみるべきだろう。

大阪維新の会が実施している「まちかど説明会」では、聞いていた市民から「大阪都構想のメリットはわかった。デメリットも、もっと説明してください」と鋭い質問が飛ぶ場面もあった。

期日前投票は、10月25日までに有権者数の約10%を占める22万人あまりが投票。前回2015年と比較して44,000人増えた計算だ。前回は、大阪維新の会VS自民党を含む既成政党の構図だったが、今回は、公明党が賛成にまわっている。先週のある区役所での期日前投票出口調査によれば、賛成が43人で反対が37人。どの区役所でも、賛成がやや有利か、互角という展開だという。

維新にとっての懸念材料は、前回の住民投票で「賛成」に流れた自民党支持者の票が、どうやら「反対」に変わりつつある点。前出・自民党の大阪市議はこう話す。
「期日前投票出口調査で、自民党支持者の6割近くが反対票を投じているというデータがある。理解が深まってきた証拠だ。公明党支持者からも『半分は反対している。私も反対で入れた』という生の声を聞いた」

選挙でも終盤に強いといわれる大阪維新の会は、「最後まで全力で走る。『負けられない!』と松井代表からはっぱがかかり、現場も盛り上がっている」(前出・大阪維新の会の大阪市議)という状態。そうした中で、反都構想陣営から警戒されているのが、橋下氏の登場だ。根強い人気を誇る橋下氏が、最後の一押しに街頭でマイクを握るのではないという情報が駆け巡っている。

今回、負ければ3度目はないという大阪都構想の住民投票。橋下氏という、最強の切り札が登場するのだろうか?

(山本吉文)

 

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