福岡県八女市が公園整備関連文書を隠蔽|存在認めた契約書、いきなり「不存在」

公園整備事業に関する文書の情報公開請求を受けた福岡県八女市が、対象文書を保有しながら“不存在決定通知”を発出し、事案の隠ぺいを図ろうとしたことが明らかとなった。

八女市が隠そうとしたのは、市内で計画が進む公園整備事業に利用される土地の買収を決めた際の決裁文書や売買契約書。請求から開示決定までの間で「ある」と認めておきながら、開示実施日になって「不存在」を主張するという、理不尽な対応だった。

■あり得ない「不存在の理由」

ハンターが八女市に情報公開請求していたのは、同市を流れる矢部川沿いに計画される公園整備事業の関連文書。疑惑が持たれる事業だったため、計画の経緯が分かる文書と合わせて、公園整備に利用される土地の売買契約書や用地買収を決めた際の決裁文書を開示するよう求めていた。

開示日の26日、八女市役所を訪れた記者に示されたのは、事業計画に関する文書のうちの、ほんの一部分だけ。驚いたことに、土地に関する文書は「不存在」という結果になった。(下が八女市発出の「不存在通知決定書」)

八女市の担当課は、対象文書についての質疑を交わした際、土地の売買契約書があることを認めており「不存在」はあり得ない。激しく抗議するハンターの記者に同市の担当課が持ち出したのは、「八女市に合併される前の旧立花町が買収した土地であり、八女市が買った土地ではないから不存在」とするとんでもない暴論だった。

八女市は2006年に上陽町を編入、2010年には黒木町、立花町、星野村、矢部村を編入合併し、現在の市域が確定した。問題の土地買収を行ったのは旧立花町で、合併前だったため、八女市とは関係ないという理屈だ。しかし、そうなると編入された黒木、立花、星野、矢部、上陽といった自治体が行った行政行為の証拠書類は、永久に開示請求できないことになる。絶対にあってはならない話だろう。

問題の物件は、たしかに公園整備のために買収された土地ではないが、ハンターが請求したのは「公園に利用する土地」に関する文書。立花町の買収目的が何であれ、八女市が公園整備に利用する土地であれば、売買契約書や決裁文書が情報公開の対象文書になるのは当然だろう。

そもそも、八女市の担当課は、開示決定以前の段階でハンターの記者と事業の全体像や対象文書についてやり取りしており、事業用地が旧立花町の買収した土地であることは双方で確認済み。契約書の存在も認めていた以上、実際の開示で「不存在」は非常識というものだ。もちろん、「町が買収した土地で、市が買収した土地ではない」などという屁理屈も通用しない。

八女市が隠蔽を図った対象文書は、税金で買った土地の契約書類で、廃棄は許されない。同市が定めた文書規程によれば、私有財産や土地に関する書類は永年保存することが定められているからだ。合併してすべてを八女市が引き継いだ以上、旧立花町の行った土地買収の契約書も同じ扱いになる。

ちなみに、市町村合併を進めてきた国は、重要な公文書等の適切な保存・利用を図ることを目的として設置された「独立行政法人国立公文書館」の要請を受け、2002年(平成14年)、2005年(平成17年)、2006年(平成18年)に、合併した自治体で適切な公文書保管が図られるよう、都道府県に指導を求める通達を出している。当然、八女市も国の通達や国立公文書館の要請内容は知っていたはずである。

では、なぜ八女市は他の自治体で普通に開示される文書を隠そうとしたのか――?その点については、来月配信予定の記事で詳しく報じていく予定だ。背景にあるのは、三田村統之市長に絡む疑惑である。

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