7月の鹿児島県知事選挙で候補者を擁立するため、反原発派のメンバーが中心となって5月に発足した市民団体「命とくらしを守る県知事を実現する会」(以下、実現する会)が、KTS鹿児島テレビの元アナウンサー・青木隆子(あおき りゅうこ)氏(57歳)を軸に最終的な調整を行っていることが分かった。
ハンターの取材に応じた複数の関係者が、青木氏に絞り込んで調整中であることを認めている。原発や馬毛島といった主要な県政の課題について大まかな合意に達しており、詳細の詰めを行った上で、早ければ今週中にも正式発表する見込みだという。
■原発20年延長と馬毛島基地化に反対の立場
青木氏は、福岡県出身の57歳。筑紫女学園高等学校から成城大学に進み、卒業後はKTSに入社。アナウンサーとしてテレビ、ラジオで活躍し、今年2月末に退社していた。
候補者擁立を目指していた実現する会は、医師や県教組OBなど一部メンバーが春先から青木氏と水面下で接触。いったん擁立断念に傾いていた流れを引き戻し、この数日で政策の詰めに入っていた。
実現する会がもっともこだわっているのは、2024年7月に稼働から40年を迎える川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長問題。同会は「20年」の延長を認めないとする立場で候補者擁立を目指しており、この点で青木氏の考え方と一致したという。
青木氏は、安倍政権が米空母艦載機の陸上離着陸訓練(タッチアンドゴー)に供するために買収契約を結んだ「 馬毛島」(鹿児島県西之表市)の軍事基地化に反対する意向とされ、立候補が実現すれば、市民団体側の主張に合わせ「原発20年延長反対」「基地建設反対」を掲げて選挙戦に臨むことになる。
鹿児島知事選には、現職の三反園訓氏(62)の他、塩田康一元九州経済産業局長(54)、伊藤祐一郎元知事(72)、 有川博幸元鹿児島大学特任助教(61)の4人が正式に立候補を表明。このうち塩田、伊藤の両氏については、連合鹿児島、立憲民主党、国民民主党、社民党、県議会会派・県民連合で構成する「5者会議」が、「政策合意の上での一本化」を求める方針を決めている。