【2020鹿児島知事選】注目される反現職一本化の行方

今月25日に告示を迎える鹿児島県知事選挙を巡って、これまで水面下で進められてきた様々な動きが顕在化し始めた。

■「5者会議」は伊藤・塩田両氏に一本化要請

5月30日には連合鹿児島、立憲民主党、国民民主党、社民党、県議会会派・県民連合で構成する「5者会議」が、改めて現職の三反園訓氏(62)に対する支援を一切しないことを確認。独自候補擁立ではなく、連合に推薦願を提出していた立候補予定者の中から、伊藤祐一郎前知事(72)と塩田康一前九州経済産業局長(54)との二人に絞って、「政策合意の上での一本化」を求める方針を決めている。

これまで、伊藤・塩田両陣営の中から「候補者一本化」を求める声が上がっていたのは事実。水面下で、「降りろ」「降りない」の話が繰り広げられてきた経緯があるが、ようやく“表舞台での一本化協議”に道が開けた形だ。

新型コロナウイルスへの対応で何度も記者会見を開き、メディア露出で知名度を上げる現職――。新人や元職は、集会はもちろん支持者との接触さえ控えざるを得ない状況だったため、全県的な支持拡大に苦慮する状況となっていた。

そのため、共倒れを心配した関係者が水面下で一本化工作を行う事態となり、ハンターは先月、人事権もない関係者が何の担保もない「副知事」の座を条件にして新人候補に一本化を勧める動きがあることについて、公職選挙法違反の疑いがあるとして警告を発していた。

今後は伊藤、塩田の両陣営が一本化の呼びかけにどう対応するかが焦点となるが、双方とも5者会議の中心となっている連合鹿児島に推薦願を出していることから、無視することはできないとみられている。

重要なのは、「一本化ありき」ではなく、両者が鹿児島県の未来についてのビジョンを示した上で短期、中期、長期での政策をぶつけ合い、合意すべき点を見いだせるかどうか。そこで、鹿児島の未来にとって有意義な政策合意がなされれば、ようやく「一本化」に向けた最後の話し合いということになるだろう。

「政策合意」で思い出すのは、2016年の知事選だ。当時、鹿児島県の野党陣営は苦い経験をしている。同年の知事選で、三反園氏は反原発派と『廃炉』と『反原発派を入れた原発検討組織の設置』を前提とした政策合意を結び、候補者一本化を実現させた。共産党を含む野党陣営のほとんどが三反園氏を支援して、鹿児島初の民間出身知事を誕生させたが、三反園氏は知事就任後あっさり政策合意の内容を反故にする。三反園陣営で選挙運動の中核を担った反原発派は知事選後の約4年間、面会も電話も、メールさえも無視されるという仕打ちを受けてきたことが明らかになっている。

その苦い経験を、鹿児島県の政界関係者がどう生かすか注目だ。5者会議の要請を受け入れ、一本化に向けて「政策協議」を開始するという県民本位の選択ができるか否か――。仮に5者会議の要請を蹴れば、選考対象から外れることを意味しており、孤立しての選挙は厳しい展開になることが予想される。

■反原発市民団体も候補者擁立へ

一方、反原発派のメンバーが中心となって5月に発足した市民団体「命とくらしを守る県知事を実現する会」(以下、実現する会)は、知名度の高いKTS鹿児島テレビの元アナウンサー・青木隆子(あおき りゅうこ)氏(57歳)を軸に調整を行っている。

実現する会がもっともこだわっているのは、2024年7月に稼働から40年を迎える川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転延長問題。同会は「20年」の延長を認めないとする立場で候補者擁立を目指している。安倍政権が米空母艦載機の陸上離着陸訓練(タッチアンドゴー)に供するために買収契約を結んだ「 馬毛島」(鹿児島県西之表市)の軍事基地化にも反対する方針で、候補者が決まれば、市民団体側の主張に合わせ「原発20年延長反対」「基地建設反対」を掲げて選挙戦に臨むことになる。

■混乱する三反園陣営

反原発派や野党陣営を裏切り、自民党の推薦で再選を目指す“変節漢”三反園訓氏の前途も厳しい。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け政府が緊急事態宣言を発令する中、県境を越える移動の自粛を呼びかけていた三反園自身が先月9日、東京から自民党の森山裕国会対策委員長と野村哲郎参議院議員を招いて事務所開きを行っていたことが判明。県民から厳しい批判を浴びた。

さらに問題の事務所開きの前日、自民党県連が、所属県議37名に三反園氏を支援するよう要請した直後のタイミングで封筒に入れた現金30万円を配るという、“買収”とみられてもおかしくない愚行を犯していたことも分かっている。

そのせいで県連内部が混乱、複数の議員が封筒の30万円を県連に付き返すなど、足並みの乱れが目立つ状況となっている。

■注目される立候補予定者ネット討論会

緊急事態宣言の解除後、鹿児島県内も徐々に活気を取り戻しつつある。各陣営の後援会活動にも、ようやくエンジンがかかってきそうな雰囲気だ。県民からは、立候補予定者のビジョンや政策を聞きたいという声も上がり始めており、そのための絶好の機会となりそうな企画もある。日本青年会議所鹿児島ブロック協議会が予定している、知事選立候補予定者による「ネット討論会」だ。立候補予定者に参加を呼びかけ、今月20日にネット討論会を開くとしており、討論会の模様はYouTubeで生配信されるという。新型コロナの影響次第で、選挙の戦い方も変わるとみられており、ネット討論会は立候補予定者の主張を比較できる貴重な企画となりそうだ。


 



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