高市自民、最優先は政権維持|物価高対策より定数削減

 「台湾有事」発言で、就任早々に危機に立たされている高市早苗首相。しかし、内閣支持率は高止まりが続き、11月末に実施された日経新聞の世論調査では、支持が75%、不支持が18%という結果だった。他のメディアでも「支持する」が65%から75%ほどの高い数字となっている。

 一方、自民党の政党支持率は30%程度。官邸が強く党は弱い「官高党低」という構図だ。

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 永田町では、高い内閣支持率を背景に「高市首相は、支持率が高い間に電撃的な解散総選挙に打って出るのではないか」「1月25日が投開票日」「いや、2月8日ではないか」などと、師走に入って急激に解散ムードが盛り上がりつつある。

 首相は、公明党の連立離脱を機に日本維新の会を与党に取り込んだ。その維新が突きつけたのは衆議院の定数削減。当初、維新代表の吉村洋文大阪府知事は「定数削減はセンターピン」と発言。衆議院の比例議席を50議席削減すべきと主張した。

 しかし、ある維新の衆議院議員が「あまりにハレーションが大きかった」と振り返るように与野党から反発の声が。結局、小選挙区25、比例代表20へと削減方向を転換した。

 自民党は、2020年の国勢調査をベースにした「アダムズ方式」で削減される選挙区を試算。永田町には、その資料とされる『小選挙区25議席、比例区20議席減のシナリオ』が出回っている。

 「見て、卒倒しそうになった。俺の小選挙区がなくなりかねない数字だった。こんな削減案は飲めない」と沈痛な面持ちで語るのは、自民党のある衆議院議員。同氏が憤る試算の内容は以下の通りである。

【小選挙区】
3議席減:東京
2議席減:北海道、神奈川、大阪
1議席減:秋田、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、富山、長野、岐阜、静岡、愛知、京都、兵庫、香川、福岡、沖縄

【比例】
3議席減:南関東、東海、近畿
2議席減:北関東、東京、九州
1議席減:北海道、東北、北陸信越、中国、四国

 自民党では、総務部会と政治制度改革本部の合同会議を開催して法案を検討。「地方の声が反映されない」、「拙速すぎる。定数削減は丁寧さが必要で、野党からも意見を聞くべき」、「東京などは1票の格差問題で小選挙区が増えたばかり。司法判断をないがしろにする」などと次々に反対意見があがったが、少数与党の自民党は維新の「連立を離脱しても知らんで」という脅しに屈しきれず「45議席削減」で法案の提出に合意した。

 維新はさらに、1年以内に国会で合意できないときは小選挙区25、比例で20を自動的に削減する規定を盛り込むようにと非常に高いボールを投げたが、自民党はこれも飲んだ。前出の自民党議員が厳しい表情でこう語る。

 「自動的な削減が入れば、初めから結論が決まったようなもの。いくら少数与党とはいえども、ここまで維新の言いなりになる必要はない。そもそも、定数削減という重要法案を1か月ほどの検討で提出するほうが問題だ」

 これに対し、維新の衆院議員は強気の姿勢を崩そうとしない。

 「法案提出ができない場合はすぐに離婚、連立離脱でしょう。本当は法案可決が前提だったので、そのハードルを下げたんだから。うちと連立を組む時点で『身を切る改革』の実行を覚悟していないとダメですよ」

 維新との連立を継続したい高市首相。しかし、党内基盤は脆く、支える議員の多くは旧安倍派の「裏金議員」ばかりだ。別の自民党議員は、「本気で高市首相を支えようという覚悟があるのは、木原稔官房長官、城内実経済財政相、小野田紀美経済安保担当相くらいしか見当たらない」と現状を語る。

 最近では、高市内閣誕生の立役者だった麻生太郎副総裁も、周囲の意見を聞かず維新寄りにシフトしている高市首相の暴走に不満を持っているといわれている。

 高い支持率とは裏腹に、急速に党内の信頼を失いつつある高市首相。その苦境を脱するには、高い支持率の間に解散総選挙に打って出て、議席増を狙うしかない。臨時国会の会期は12月17日まで。その後、解散総選挙を巡って政局が大きく揺れる可能性もある。

 内閣支持率は高いが、高市自民党の最優先課題は政権維持。物価高にあえぐ国民を助けるための即効性ある対策はとられていない。

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