10月12日、文部科学省は、宗教法人審議会を開催。高額献金などで問題視されている、旧統一教会(現在・世界平和統一家庭連合)の高額献金などの問題を巡り、宗教法人審議会の審議で解散命令を裁判所に請求する方針を決定。記者会見で盛山正仁文科相は、「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し解散命令請求を行うことについて、解散命令請求は相当であるとの全会一致のご意見だった」と述べ、翌13日、東京地裁に解散命令を請求した。
2022年7月に奈良市内で起きた安倍晋三元首相の銃撃事件によってクローズアップされた旧統一教会の問題が、大きな節目を迎えた形だが……。
◇ ◇ ◇
「事件後、旧統一教会のひどいカネ集めの実態などが大きなニュースになった。改めて、ひどい宗教だと痛感した。今回の請求は当然のこと。自民党の一部の議員は旧統一教会に選挙などで世話になっており、それによって対応が甘くなっていたことは否めない。一日も早く、解散させるべきだと思う」と自民党の大臣経験者は話す。
本サイトでも、旧統一教会の宗教法人とは信じがたい反社会的なカネ集めについて度々詳報(既報)。旧統一教会が、何も知らない一般の人を勧誘する時に、下の写真のような「Invitation Card」を片手に言葉巧みに個人情報などを聞き取り、全財産を根こそぎ奪おうとする悪だくみの手法などを紹介してきた。
今回、新たに入手した下の「Guest Card」によって、《経済力》をSからDまでの5段階に分け、資産状況を《1. 3000以上 2. 1000~3000 3. 600~1000》などと調べる。さらに、貯金、株式など金融資産の保有状況、年金や持ち家などまで聞き出すよう仕向けている。
弱みとなる「病気」や「水子」が本人や周囲にあるかをさらに調査。そこから、旧統一教会の十八番である祈祷師の動員などがはじまることになる。
《動員状況》という項目には、家系図や霊感商法への入り口となる「健康フェア―」などへの参加の有無をチェック。《み言が入るか?》(旧統一教会の創始者、文鮮明の伝道の内容)、《因縁が入るか?》(先祖が苦しむなど、畏怖させると信じるか)、
《クロージングでの様子》(霊感商法で高額商品を買わせる)など、相手の揺さぶり方まで記されていた。
別に入手した《第1 SKカウンセリングポイント》という表題の内部資料では《生命においては、殺人、水子 霊的に殺してしまった人、恨み》として個人的に水子が周囲にいるか、恨みを持って殺したいと思った人はいるかなど懺悔をさせる手法が記されている。カネをむしり取るトークまで指南しているのだ。
《お金に関して全財産をささげていくと決意させる。全部ここで貯蓄のこと、銀行名と金額、名義のことをお聞きしていきますと言います。全部言ったらとられてしまうと言う思いが沸いてきます。必ず死には金が流れてゆくからと全部言うように押さえてから土地、宅地は何坪ですか、名義は誰ですかというふうに聞いていきます。保険は〇〇生命とか郵便局とかで、月々どれくらいの金額をかけている年払いだったらいくらか、何年かけているのか、名義は、他の家族はと聞いていく》《サタン(悪魔)が抜けない。神様につなげることができないとゲストに対応していく》
これらのマニュアルについては、霊感商法をめぐる裁判でもデタラメさが証言されている。今から30年ほど前に東京地裁で行われた霊感商法の被害を巡る民事裁判。佐賀県の元信者は法廷で、次のように証言していた。
「マニュアルにある通り聞いていきます。人の弱みを調べて、経済力があるか、売れる土地を持っているか、多宝塔が買わせられるかなど、家を見てあがったりして記載していきます。特に経済力とウイークポイントが重視されます。買わせるために、霊能師と呼んでいる、因縁トークをする人を霊場に呼んで、説得してクロージング(買わせて)していきます。高額なので、なかなか決断できないので、霊能師が必要です」
旧統一教会の信者は出家したような立場の人を「献身」と呼ぶ。元信者が、迫真の内容を語っていた。
「住むところはホームと呼ばれる統一教会の教会にある一角。月1万5千円の小遣いと2万7千円の食費だけもらえます。会計担当をやりましたが、統一教会の霊感商法のダミー会社ではみな、帳簿に30万円くらいの給料を払っているよう記載していた。つまり、浮いた分は裏金です。月々50万円から100万円の裏金を霊感商法の会社でつくりました。最高で3,000万円の裏金を現金で、博多駅近くの会議室で幹部に渡しました。詐欺としかいいようがない」
旧統一教会は、東京地裁での審理で反論してくるのが必至。「憲法で定める信教の自由の迫害だ」とすでに反論を展開しているが、前出の大臣経験者はこう突き放す。
「解散請求によって、旧統一教会は国が悪徳だと認定した宗教法人となる。自民党も付き合いはしなくなるだろうし、もう政治にはすがれないだろう。あまりに反社会的なカネ集めだったことは明らか。解散請求は当然だ」
国民に、多大な被害を与え続けてきた旧統一教会。解散請求が決定しても宗教法人としての法人格を失うだけで任意団体としては存続できる。おそらく、どんな手を使ってでもカネ儲けをやめないはず。これで幕引きというわけではない。