「赤旗だからたいしたことないわと思うとった。それが大火事になって、大炎上。もう消しようがありまへんわ」――そうぼやくのは、維新の会所属のある大阪市議。手に持つスマートフォンの画面には、藤田文武共同代表の疑惑を報じる記事があった。次々に配信される「公金還流疑惑」の記事。SNS上には藤田氏を批判する内容の投稿があふれる。
◆ ◆ ◆
ハンターでも報じたように(既報)、藤田氏が、自身の公設秘書である中川慎也氏が経営するリ・コネクト社に対し、2017年から24年までの8年間に、ビラ印刷代などとして約2,000万円を支払っていたとする公金還流疑惑を「赤旗」が報道。そのうち90%以上が、政党助成金や調査研究広報滞在費といった税金を原資とするカネから支出されていることが明らかとなっている。
公設秘書は、国から年間約700万円ほどの給与を受け取る国家公務員で、税金の“二重取り”状態だ。
自民党と連立を組んだ維新の代表・吉村洋文大阪府知事は「議員定数削減がセンターピン。身を切る改革を国会で実現」と豪語していたが、共同代表の藤田氏による「政治とカネ」の問題で、防戦一方の展開となっている。
◆ ◆ ◆
そうした中、新たな疑惑も浮上。日本維新の会大阪総支部の2024年分政党交付金使途等報告書から、「ビラ作成費」としてリ社に100万円超を支出していることが分かっている。
藤田氏の“親分”とも言われている維新の元代表、馬場伸幸衆議院議員の政党支部も、22年にチラシ印刷代として約19万円をリ社に支払っていることも判明しており、藤田氏、吉村知事、馬場氏と維新幹部が“共倒れ”状態だ。
火に油を注いだのは、11月4日に開かれた藤田氏の記者会見。参加したある報道機関の記者は「赤旗の記事で疑惑が発覚して以降、記者会見の要請を藤田氏が応じず、SNSなどで一方的に反論するばかりだった。それもあって記者会見には、普段の維新の会見の3倍ほどの記者やカメラマンが来ていた。ただ、ご存じの通り内容は空虚。かえって事態を悪化させた」と振り返る。
藤田氏は記者会見で赤旗を痛烈に批判。「赤旗の主張は2,000万円という数字で、明らかに多額だろうと印象づけている。(リ社への)支出は私が2019年に当選するんですが、当選する前の2017年から2024年の8年間の合計」と述べ、2,000万円という金額を持ち出して事の矮小化を図った。
だが、問題は金額だけではない。税金が原資となっている支出で、リ社がどの程度の利益があったのかである。中川氏が公設秘書として給料でもらっていることは公然の事実。維新の創立者である橋下徹氏も、藤田氏の記者会見の内容に疑念を呈する形で、Xに、リ社があげた利益について次のようにポストしている。
《藤田さんは身内会社から業者への外注費を公にして、身内会社の粗利を明らかにすべきだ》《藤田氏の身内会社は政党交付金からいったいいくらの粗利を得ているのか》
記者会見で藤田氏は、維新の他の議員がリ社に発注をしていないかと問われ明確な回答を避けた。だが、維新の大阪総支部や馬場氏の政党支部がリ社に発注していることは前述した通りである。
リ社は、兵庫県西宮市に本社があるが、そこは中川氏の自宅分譲マンションだ。大阪総支部や馬場氏の政党支部が、簡単にアクセスできそうな会社とは思えない。藤田氏との関連で依頼したとみるのが普通だろう。
この点については橋下氏も《藤田さんは身内会社が他の維新議員から仕事を受けているのかどうか答えなかった》として問題視。《赤旗調査の出番》とまで述べている。
◆ ◆ ◆
藤田氏を巡る政治とカネのスキャンダルは、維新だけではなく永田町にも広がりそうだ。ある自民党幹部は、高市早苗首相もこの問題の動向を「気にしている」とした上でこう話す。
「公明党との連立では、スキャンダルはうちばかりで相手さんはあってもそう大きくならなかった。維新と組んだ早々に藤田スキャンダル。正直、まいったというのが本音。維新が、これ以上野党気分を続けるようだと、炎上して消しようがないことになる。こちらとしても、こんなとんでもない党と組んだのかと批判の対象にされ、高い支持率をキープする高市首相に影響が出ないとも限らない」
前出の維新市議は、党内の様子を次のように説明する。
「藤田さんは『適法な取引』と言い張り、一方で『外部から指摘があってので止める』と自分は悪くないと言わんばかり。党内には第三者委員会などを設置して究明すべきとの意見もある。政局は流動的でいつ解散総選挙があってもおかしくない。つまり、党内からも『藤田おろし』の動きが出てくる可能性だってあるということ。吉村知事や馬場さんでさえも、追及のターゲットになりかねない」
赤旗では、スクープ第二弾として、リ社の5万円以上の領収書17枚に収入印紙が貼られていないのは「印紙税法違反の可能性」と報じており、藤田氏の語る「適法」が大きく揺らぐ内容だ。
「身を切る改革」のはずが「身内を肥やす政治」となっている維新。連立離脱へのカウントダウンがはじまったと見る向きもある。















