大任・田川情報漏洩、永原譲二町長の関与濃厚に|選管の文書開示事務を所管違いの永原氏が決裁|法令違反の疑いも

 大任町と田川市が犯した「情報漏洩」によって、当時総務大臣だった武田良太氏の秘書がハンターの記者に「なかったことに」と圧力をかけた問題を巡り、新たな事実が発覚した。

 大任町への個人情報開示請求によって、2021年6月にハンターの記者が大任町選挙管理委員会に対して行った永原譲二町長の選挙運動費用収支報告書と領収書の情報公開請求に対し、選管がすべき決済を“所管違い”の永原町長が行っていたことが判明。選挙の公平性を担保する目的で独立機関としての選挙管理委員会を設置するよう定めた地方自治法や、開示対象となる行政事務の“執行機関”を規定した大任町情報公開条例に抵触する疑いがある。

 さらに、別の4件の町長所管事項の開示請求に対しても永原氏が最終決済しており、すべての判断に同氏が関わった形。問題の経緯から考えて、法令違反が明らかとなっている武田氏側への「情報漏洩」に、永原町長自身が関与していた可能性が濃くなった。

■決裁文書で永原町長の法令違反疑惑が浮上

 これまで何度も報じてきた通り、2021年6月14日付でハンターが大任町及び同町選挙管理委員会に開示するよう求めた文書は以下の5件だ。

・永原譲二町長の選挙運動費用収支報告書及び領収書の写し(選管宛て)
・道の駅おおとう桜街道の整備に関する業者選定過程が分かる文書及び本件工事の施工体系図(町長宛て)
・大任町汚泥再生処理センターの整備事業に関する全ての決済文書、契約書、業者選定過程の分かる文書及び本件工事の施工体系図(町長宛て)
・大任町発注のごみ処理施設整備工事に関する全ての決済文書、契約書、業者選定過程を示す文書及び本件工事の施工体系図(町長宛て)
・大任町発注の公共工事の入札結果表(町長宛て)

 このうち、選挙関係の事務を所管するのは町の選挙管理委員会で、本来、町長には決裁権がない。自治体の選挙管理委員会は地方自治法の規定に基づいて設置されており、選挙の公正性を保つため首長から独立した機関となる。この点について総務省に確認したところ、「一般論として、選挙管理委員会や委員は、首長から独立してその事務を管理し執行する」との回答だった。つまり、大任町の選管は永原町長から独立した機関。当然ながら、21年の開示請求に対するハンターへの部分開示決定通知も、同町選管の委員長名で発出されていた(*下が通知書)。

 ところが、情報漏洩の経過を確認するため同町及び選管に“個人情報開示請求”し、21年当時の決裁文書を入手したところ、開示された文書から選管の処分決定時の決裁を所管違いの永原町長が行っていたことが明らかとなった。下がその決裁文書である。

 所管違いで権限のない永原町長が決裁権を行使することに違法性はないか――?この疑問について総務省は、一般論と断りながら「当該自治体の情報公開条例に執行機関が規定されていれば、そこに従って対応されるべきもの」(総務省)だと話す。確認したところ、大任町情報公開条例には「執行機関」として「町長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び議会」が明確に規定されている。であれば、永原町長が選管に対するハンターの開示請求に決裁権を行使したことは、地方自治法や同町が制定している情報公開条例に反する行為だったと言わざるを得ない。

 当たり前のことだが、同じように首長の選挙運動費用収支報告書と領収書を開示請求した際の田川市選挙管理委員会による処分決定時の決済欄には、当時市長だった二場公人氏の押印はない(*下が決裁文書)。選管の事務に首長が関与しないということは、どこの自治体であっても同様である。

永原氏は、小さな町発注工事における入札参加業者の選定まで決裁権を行使しており、所管違いの事案まで口を出しているとすればまさに独裁。町政を恣意的に動かす裏に、触れられたくない事実があると見られてもおかしくあるまい。

■永原氏に「漏洩」の可能性

 決裁権の濫用に法令違反の疑いがあるのは確か。ただ、本稿でより重要視するのは永原氏が町長所管の入札結果表やごみ処理施設整備といった町発注工事に関する開示請求の内容だけでなく、所管違いである選管に出された開示請求の内容まで把握していたことだ。

 すべての請求内容を知っていたのは、上掲の決裁文書に出てくる町長を含む副町長、総務企画財政課長、同課課長補佐の4人。情報漏洩事件に関していえば、町長が、選管しか知り得ない町長選挙に関する開示請求の内容まで把握していたことが問題なのだ。

 ここで、21年当時に武田氏の秘書S氏が、記者に「(情報公開請求を)なかったことに」と圧力をかけてきた際の発言の一部を再掲する。

「今日電話したのはですね、中願寺さん、うちの選挙区の大任町とかに情報公開請求してます?」
町長選挙の収支報告書って、これ相手方(対立候補のこと)には行ってないですよね。永原町長だけですよね」
道の駅は、その業者選定がわかる文書及び本件の施工体系図……」

 『大任町への情報公開請求』『町長選挙の収支報告書』『道の駅の業選定がわかる文書及び本件の施工体系図』――いずれも今回、永原町長が把握していたことがハッキリした開示請求の内容である。法令の規定に従った事務手続きであったなら永原氏が情報漏洩に関与した可能性は排除されていた。知らないことを漏らすことなどできないからだ。しかし、同氏が選管の所管事項まで知っていたとなれば話は別。町長自身に漏洩実行者である疑いが生じるのは言うまでもない。

 じつは、この情報漏洩問題について記者団との取材に応じた永原氏は、地元報道機関とのやり取りのなかで、開示請求の事実を知り得たのが「総務課の職員一人と自分だけ」とした上で、「特別職(の公務員)は守秘義務違反にならない」などと発言、無用の弁明をした格好となっていた。万が一のことを考えて、伏線を張ったと見られてもおかしくあるまい。

 繰り返すが、一連の開示請求の決裁に関わっていたのは、上掲の決裁文書にある通り永原氏の他に副町長、総務企画財政課の課長、課長補佐の3人。「総務課の職員一人と自分だけ」という説明もウソだったことになる。

 いずれにせよ情報漏洩について永原氏は、「職員の関与はなかった」旨を公言しており、事実なら残る関係者は町長本人のみ。一連の経緯を振り返ってみれば、やはり永原氏が漏洩に関わった可能性が濃厚となる。限りなくクロに近いグレーというべきだろう。

 ハンターの開示請求に関する情報が総務大臣側に漏れたルートは、以下の三つに限定される。

・大任町から大臣の事務所
・田川市から大臣の事務所
・大任町か田川市のいずれかが相手方自治体に情報を伝え、まとめてどちらかの自治体から大臣の事務所

 いずれのケースであっても、両自治体から情報が漏れなければ、武田事務所の秘書によるハンターへの「なかったことに」という圧力は不可能だ。「うちから漏れたんではない」という言い訳が通用しなくなっていることを、大任・田川の両自治体、特に行政の監視という重大な使命を負っている議会関係者はしっかりと認識するべきだろう。

 情報漏洩があったとしてハンターが大任町と田川市を訴えた裁判は、両自治体への開示請求を「なかったことに」として記者に電話で圧力をかけ秘書本人が事実関係を認めたことで和解が成立。事実上のハンター側勝訴となっている。

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