兵庫県洲本市・第三者委「最終報告書」が暴いたふるさと納税のデタラメぶり

総務省は、10月から「ふるさと納税」のルールを厳格化。返礼品は調達費が30%、送料など含めて寄付額の50%以下とする新ルールとなった。返礼品競争が熾烈になり、寄付額の6割、7割がそれにあてられるというケースが増えているためだ。

総務省が新ルールを徹底させるきっかけになったのが、兵庫県洲本市のふるさと納税問題である。

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本サイトで報じたように(既報)、洲本市は信じがたい返礼品でふるさと納税をかき集め、2021年には78億円に達していた。

その洲本市役所に9月8日、大勢の報道陣が駆け付けた。洲本市ふるさと納税問題第三者調査委員会が「最終報告書」を公表するため、記者会見が予定されていたのだ。

第三者委員会は報告書の中で、法を無視してふるさと納税額を増やした洲本市の不適切な姿勢を断罪。返礼品の調達費を寄付額の30%と定めた総務省の基準に反していたのは、373品目に上った。

人気があった返礼品は「淡路牛」で知られる牛肉。第三者委員会が、返礼品となった牛40頭の出生から“と畜”までのデータを調査したところ、16頭が洲本市の牧場や食肉業者とはまったく関係ない牛だったことが判明。返礼品は寄付額に合わせて淡路牛のロースなどの部位を選べるのだが、なぜか洲本市は牛一頭をまるまる買う「一頭買い」を繰り返していた。

信じがたいことに、牛の出生から販売ルートをたどれる個体識別番号が、2度に渡り伝票に記されているケースまで発覚。牛は一頭しかいないのに、2度も洲本市に販売されるという杜撰さだった。

65頭の「一頭買い」のうち、30頭ほどが140万円という価格に統一されているという不自然さ。洲本市が「一頭買い」をした業者の法人登記簿を見ると、どうみても牛肉とは無関係。所在地に行くと、なぜかピザ店の看板があがっていた。

第三者委員会は、こうした「一頭買い」について《正確な調達費の算定が困難となる》《そもそも牛一頭買いという地方団体が牛肉の在庫を抱えるという取扱いをすることとした判断自体に問題》と厳しく指摘していた。

もう一つの人気返礼品が「洲本温泉利用券」。温泉やホテルの支払いに使える「金券」を洲本温泉観光旅館連盟から調達しているというものだった。

返礼品にした根拠は、洲本市と洲本温泉観光旅館連盟の間で交わされた「洲本温泉利用券に係る仕入れ価格について」という公文書と「見積書」。それによれば洲本市は当初、返礼品となる1万円の金券を5,500円で仕入れていたことが記されている。しかし、第三者委員会の報告書は、その公文書が《温泉利用券問題発覚後に温泉旅館連盟側に依頼して作成させたことなどもヒアリング等により判明》《調達費を5,500円とするという温泉旅館連盟との協議やシティプロモーション費用の内訳に関する実質的な協議はなかったことが判明している》と指摘していた。

洲本市のふるさと納税が問題になったのは、2022年2月頃。つじつま合わせのために、1万円の金券を5,500円で仕入れいるという公文書を洲本市が「偽造」したということだ。

《虚偽の公文書を作成したことにもなりかねず、極めて悪質と言える》――第三者委員会は刑事事件化を示唆している。

この点について洲本市は、1万円の金券を自ら印刷して返礼品にしていたことを市議会で認めており、1万円の金券が利用された場合、温泉旅館連盟に1万円を支払っていたことも分かっている。つまり調達費は100%。とんでもないデタラメぶりだ。

第三者委は、洲本市のなりふり構わぬふるさと納税の返礼品対応に、《市長、副市長ら、洲本市幹部(以下、本章において「市幹部」という。)のコンプライアンス意識の低さ、法令遵守面でのリーダーシップの欠如である》《基準違反、種々の法令違反行為が容認、放置されていった》と糾弾。洲本市は、総務省からふるさと納税の指定を取り消されている。

洲本市の上崎勝規市長は第三者委員会の指摘や法令違反などを認めた上で、「寄付額を増やすことに注力したためだ。私の法令遵守面における指導力不足にあったと深く反省するものです。信頼回復をしたうえで(ふるさと納税の)制度に復帰したい」と謝罪した。

第三者委の報告書を受けた洲本市は地元で「説明会」を実施しているが、参加した市民は「上崎市長は口先だけ。早くふるさと納税に復帰してまた稼ぎたいという歪んだ意思を感じる。上崎市長は2022年春に当選したがが、その前から市のふるさと納税に関与しており、疑惑も囁かれてきた。説明会では、市民からの質問を受け付けていたが、緩い質問ばかり。ジャニーズ事務所の記者会見のように『サクラを仕込んでいるんじゃないか』という話まで出ていた」と不信感を募らせる。

第三者委員会の報告書は115ページにものぼる膨大なもの。ふるさと納税への復帰より前に、刑事的な責任が先に追及される可能性がある。

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