経歴詐称に運動員買収、さらには違法ポスターやのぼり旗を大量に掲示しての事前運動――昨年の指宿市長選に落選し、今度は県議会議員を目指すという会社社長・米倉由晋氏を巡って次から次へと疑惑が浮上する中、虚偽の事実を公表していた“動かぬ証拠”が見つかった。
■街頭演説で「アメリカ公認会計士」の資格保有を明言
経歴詐称を決定付ける証拠は、ネット上に残されていた。米倉氏自身がインスタグラムやユーチューブに投稿した動画だ。下は、インスタグラムに投稿された冒頭部分の画像である。
(*米倉よしゆき後援会のユーチューブ動画でも問題の動画を見ることが可能→https://www.youtube.com/watch?v=yI3oy4g3X-I&t=17s)
米倉氏は演説の冒頭、こう述べている。
「市長候補米倉よしゆき42歳。持続可能な指宿の経済成長に向けて、というテーマで演説をさせていただきます。先ほどよりご案内させていただきました通り、米倉よしゆきはアメリカの公認会計士の資格を有しており、様々な企業にコンサルティングや支援を行っております。客観的な視点で指宿の経済を、皆さまにしっかりとお伝えしたいと思います」
結論から述べるが、演説の中で同氏が明言した「米倉よしゆきはアメリカの公認会計士の資格を有しており」は、明らかな虚偽である。
これまで報じてきた通り、2010年に米倉氏が取得した「米国公認会計士」の資格は、2016年に更新を行わず「失効」。その後約6年半、資格回復の申請は行われておらず、資格自体が「ない」状態だった。
2月19日のハンターの取材に対し、米倉氏自身が、資格が失効していることについてさらりと「知ってますよ」と回答。「再登録すればまたすぐ使える。合格実績は消えない」、「もう1回登録さえすれば、またすぐ使える」などと強弁していた。
資格回復ができようができまいが、ハンターの指摘があるまで「無資格」だったことは明らか。昨年3月の指宿市長選における選挙公報や、後援会の印刷物の全てに「米国公認会計士(ワシントン州)」あるいは「ワシントン州 米国公認会計士」と掲載されていたことから、確信犯的な経歴詐称が疑われていた。
前述した街頭演説は指宿市長選最終日のものとみられるが、失効していることを「知ってますよ」と言い切ったはずの「アメリカの公認会計士」の資格を、「有しており」と断言。本人が演説の中で述べているように、公認会計士の資格を有していることを前提に演説の組み立てがなされていた。
重ねて述べるが、「失効」を知りながら「有している」は明確な虚偽。SNS上に投稿された動画が、経歴を偽って選挙運動を行った動かぬ証拠となった。