【江差看護学院パワハラ問題】北海道庁が「主犯」副学院長続投の非常識人事

北海道立江差高等看護学院のパワーハラスメント問題で21日、道が学院長交代などの新人事を決めた。保健所長と兼任だった現学院長は同日付で退き、新たに保健師資格を持つ課長補佐が専任の学院長に着任。併せて副学院長が2人体制となり、教務担当と事務担当で権限を分けることになった。この人事で地域福祉課の係長が事務担当の副学院長に任命されたが、教務担当の副学院長は現任の品川由美子氏が続投する形となり、ハラスメント被害学生の保護者からは困惑の声が上がっている。

■被害者無視で事実上のパワハラ犯擁護

道の発表によれば、今回の人事発令の目的は「学院の早期の運営適正化をはかるため」。記者会見に臨んだ岡本收司・地域医療推進局長はこれを適正化への第一歩と強調、「一歩一歩、着実に歩みを進めなければ」と決意を述べた。学院長専任化や副学院長2人体制などの方針は、今年5月から半年間にわたってハラスメント調査を担った第三者調査委員会が「学院内で副学院長に権限が集中している」と指摘していたことなどによる。

江差看護学院では現在、ハラスメント加害を認定された教員4人が保健所勤務に配置換えとなり、学院の意思決定には関わらない業務に就いている。「4人」には最多のパワハラ加害が指摘された品川副学院長も含まれるが、今回の人事で品川氏がその職を解かれることはなく、引き続き本年度末まで教務担当の副学院長に留まり続けることになった。これを刷新しなかった理由を、道は「充てられる職員がほかにみつからなかったため」と説明、教務担当副学院長を一時的に空席とすることもできないとした。パワハラの主犯が再び学院に出勤する可能性があり、そうなれば被害を訴えた生徒に再び危害が及ぶおそれもある。

先の第三者委がまとめた報告では、とくに加害行為の多かった教員2人を看護教員として不適格と指摘しており、その「2人」には品川氏が含まれる。10月の調査結果発表時、同委はこの2人について「(看護教育とは)別の場でご活躍いただくべき」と提言、事実上異動を促していた。品川副学院長の続投はこの提言に反する形となり、ハラスメント被害を受けた学生の保護者からは「そんな馬鹿な」と驚きの声が上がっている。

「なぜ道はそこまで加害者を守るのか。学生の救済は二の次で、11月の『意向確認』から未だに何の連絡もない。新たな人事は『やってますよ』というパフォーマンスにしか見えない」(複数の保護者の話から)

第三者委は先の2人を含む5人の教員について、早期に学生から離すべきとも提言しているが、先述の通り保健所に配置換えとなったのはこのうち4人のみ。残る1人は今も教員として学院に残り続けており、これについて道は「ほぼ調整は終わっている」と近日中に配置換えを行なう考えを明かした。なお同教員は前年度まで道の担当課に勤務し、昨年9月からのハラスメント告発に対応してきた職員の1人だが、当時の対応が適切でなかった疑いが保護者や道議会議員などから指摘されている。この疑いについて道は「12月上旬までに事実関係の確認を終えたい」としていたが、下旬に入った21日時点で「確認」作業は終わっていない。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

 

 

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