児童ポルノ事件など隠蔽か|北海道警、仰天の不祥事連発

北海道警察で昨年10月から12月にかけ、現職警察官による深刻な不祥事が相継いで懲戒処分の対象となっていたことがわかった。児童ポルノ製造など悪質性の高い事案3件が報道発表されていなかった可能性があり、組織的な不祥事隠蔽が疑われる。一連の不祥事は、道警への公文書開示請求であきらかになった。

■未公表処分3件、開示請求で明らかに

道警が昨年の懲戒処分を記録した公文書を一部開示したのは、本年1月21日。開示された『懲戒処分一覧』(下の画像)によると、昨年1年間の懲戒処分は免職1・停職2・減給5・戒告1の計9件に上り、うち半数弱の4件の処分が10月から12月までの3カ月間に集中していた。

この4件のうち1件は、すでに地元報道によりその概要が発信されている。10月6日付で警察本部の巡査長が「停職6カ月」の処分を受けた、強制わいせつ事件。巡査長は昨年6月18日から7月15日までの間、13歳未満の少女に複数回にわたってわいせつな行為を強要していたという。事件は年明けまでに地元報道の知るところとなり、道警がこれを報道発表していなかった事実が批判的に報じられたばかりだ。

今回の文書開示では、残る3件も未発表である可能性が浮上した。3件のいずれについても報道された形跡がなく、道警が発表を控えたか、あるいは報道機関がニュースにしなかったか、いずれかの可能性が疑われるところだ。

◇  ◇

1つは、10月6日付で「減給10分の1×10カ月」の処分となった公然わいせつ事案。当事者の警察官に交付された『処分説明書』には、こうある。
被処分者は、令和3年8月31日、北海道内において、公然とわいせつな行為をしたものである

処分を受けたのは、道内の方面本部(函館、旭川、釧路、北見のいずれか)に所属する巡査長。文中の「わいせつな行為」という言い回しはいかにも抽象的だが、先の『一覧』にはその「行為」が具体的に記されていた。
屋外において、自己の陰部を露出した

事実ならば、報道発表されていてもおかしくない事件。実際、道警では2018年6月に苫小牧警察署の巡査部長(当時)が同じような露出事件を起こし、報道発表されている。のみならず、当時の監察官室がマスコミ向けに謝罪コメントまで発していた。今回の露出事案が未だに報じられていない理由は定かでなく、巡査長の逮捕・送検の有無や事件後の本人の去就もわかっていない。

◇  ◇

2件目は、10月20日付で「減給10分の1×10カ月」の処分となった交通違反等事案。当事者の警察署巡査長は、少なくとも2件の不祥事を起こしていた。『処分説明書』から、当該部分を引く。
《第1 令和3年7月26日から同年8月11日までの間、北海道内において、私有車両が無車検・無保険であることを認識した上で運転した
《第2 平成26年1月頃から令和3年8月12日までの間、北海道内において、公文書1点を不適切に管理した》

車検切れ運転では昨年9月、札幌近郊の恵庭市で複数の市職員による同種事案が発覚している。無論のこと同市は事実関係を報道発表し、新聞などがこれを伝えた。当時の担当課による謝罪コメントは、今も恵庭市の公式サイトから確認できる。ところがその1カ月ほど後に処分された道警の巡査長の無車検運転は、今に到るまでニュースになっていないのだ。

◇  ◇

極め付きと言えるケースが、3件目の事案。処分は12月8日付で、前2者と同じく「減給10分の1×10カ月」。当事者である警察署巡査への『処分説明書』には、次の2つの不祥事が記されていた。
《第1 令和3年6月11日、被害児童が18歳に満たない児童であることを知りながら、身体の一部が露出した姿勢を撮影させ、その画像データを自己が所有するスマートフォンに送信させた
《第2 同年4月10日から同年9月27日までの間、既婚の部外女性2名と不適切な交際をした

文書には、以上の行為が地方公務員法違反に該当するとの指摘がある。だがそれ以前に「1」の事案については児童ポルノ禁止法違反にあたる犯罪だ。繰り返すがこの件はこれまで報道された形跡がなく、捜査の経緯や巡査の刑事処分なども一切わかっていない。

筆者は現在、これらの件で道警に質問を寄せ、各件の報道発表の有無や事案概要などを問い合わせ中。仮に全件未発表だった場合、警察が身内の深刻な不祥事を隠蔽したことになり、逆に発表されていた場合は報道機関の“忖度”が疑われてもやむを得ないことになるが、現時点で道警からの回答は届いていない。

付記】筆者が道警に確認取材を寄せたのは、27日午前。すると同日午後、報道大手が未発表児童ポルノ事件について独自記事をウェブ配信し、翌28日には複数の新聞が同件を報じることとなった。記事によると、やはり同事案は未発表。当事者の巡査長は児童ポルノ禁止法で書類送検され、懲戒処分後に依願退職したという。これらの事実を報道大手に明かした道警はしかし、筆者の取材に対しては1月中の回答が難しいとしている。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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