未公表衆院選総括(案)入手|立憲民主党の迷走

昨年10月の総選挙で惨敗した立憲民主党。その敗因を分析した「第49回衆議院議員選挙総括」という文書が公表される予定だったが、共産党との選挙協力の記述や評価などを巡って1月25日に開いた常任幹事会が紛糾。文書は了解が得られず公表見送りとなった。27日に修正した総括を公表したが、野党第一党の迷走ぶりを露呈した格好だ。

◇  ◇  ◇

ある立憲民主党の衆議院議員がこうぼやく。
「選挙で負けた。その理由を調べて次に生かそうとしたら、党内で反旗。総括の文案に嚙みついて、常任幹事会で潰した。問題の本質が分かっていない。いったいうちの党はどうなってんだ」

ハンターが入手した未公表の「総括案」(下のPDF画面、クリックで参照可)は、<新しい立憲民主党を結党し、政治の転換と政権選択選挙を掲げて臨んだ第49回衆議院選挙において、立憲民主党は現有110議席から14議席を減らす結果となり敗北した>という書き出しではじまる。

具体的な数字あげて、<野党の間で⼀本化された213選挙区では、野党勝利が59選挙区、勝率は27.7%(59選挙区の内訳は、⽴憲54・国⺠3・社⺠1・共産1)、立憲民主党候補に⼀本化された160選挙区の勝率は33.8%となった>と野党連携の低調さを物語る数字をあげる。

共産党と競合した小選挙区は70ほど。うち29の小選挙区を取り下げ、立憲民主党の候補に一本化したが、その点についてはこう述べられている。
<1対1の構図となる選挙区をより多く作った結果、前回比における⼩選挙区当選の増加を得るなど⼀定の成果はあったものの、想定していた結果は伴わなかった>
<今回選挙で実際に一本化された選挙区は75選挙区だが、小選挙区当選の結果を得た選挙区は42 であり、比較するとマイナス33となることを捉えれば、想定した結果は伴わず、合算通りの成果は得られなかった>

共産党を中心とした野党連携が、逆効果になり票が伸び悩んだという分析。そして、問題点としてあげたのが物議をかもした「閣外協力」だ。

衆議院選挙直前、立憲民主党と共産党は協議を重ねた。その際、「政権交代となった場合、限定的な閣外協力」という合意がなされた。どこから見ても、政権交代などありえない衆議院選挙だったが、なぜか立憲民主党はそこまで踏み込んだ。

立憲民主党の枝野幸男代表(当時)は「共産党の枠組みがはっきりした」と評価。共産党の田村智子政策委員長はテレビ出演した際に、「(政権交代となれば)4年間は日米安保廃棄、自衛隊を憲法違反として解消」などといった過激な発言を繰り返した。こうしたことで、共産党が政権に加わる「恐怖感」が広がったとみる関係者は少なくない。

共産党と対立してきた立憲民主の支持母体「連合」は激しく反発、自民党の麻生太郎副総裁は「党名がよく変わる、立憲共産党じゃなかったか」などと批判を展開した。前出の立憲民主党衆議院議員は、いまも怒りが収まらない。
「どこから見ても、政権交代になるような選挙ではなかった。なぜ枝野氏は閣外協力なんて馬鹿な話をしたのか。共産党も本気で政権なんてとれないし、万が一とった時も入れないのは当然です。それが分かっていながら、なぜ閣外協力だとか、自衛隊は違憲などと言い出したか。2017年の衆議院議員のように、どことなく協力関係でという程度でやっていれば、議席を減らすことはなかった」

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修正前の総括案では閣外協力発言に触れて、<「限定的な閣外からの強力」の影響 枝野前代表の発言を引用すれば、「閣外協力とは全く違うということを言葉上で明確にした」ことであり、「政権は一緒にしないという合意」が趣旨であったものが、むしろ誤解となって有権者に伝わってしまった><惜敗者との面談においても、立憲共産党批判のキャンペーン等によるマイナスの影響が生じたとの意見が寄せられている。候補者調整の材料や延長線上として政権構想に関わるメッセージが発信される形になったことは、選挙戦に影響を与える結果となり、今後はより慎重に対応する必要がある>と記していたが、立憲の党内では、この文言や言い回しが気に入らないとのクレームが多く、修正を迫られたという。

共産党の国会議員の一人は「総括案の修正は当然だ。政党のトップ同士で合意したのだから継続すべき」と強く訴える。しかし、共産党も議席を減らしており、失敗だったのは明白。小選挙区から当選した立憲民主党の幹部は、次のように話す。
「共産党のおかげで勝った議員も確かにいます。そういう人が次も共産党の助けがほしいと、修正案に文句を言った。また今年夏の参院選で“共産党の協力を”という思惑のある議員も声がでかい。本来、立憲民主党として他党の助けなく勝たねばならないのですよ。それが積みあがって政権交代できる実力になる。やみくもに『共産党に配慮しろ』『修正だ』なんて、本末転倒。閣外協力発言で惨敗したことを理解すべきだ」

当時の報道を振り返ってみると、「総括案」にあった「政権を一緒にしない」という意向は伝わってこない。逆に有権者の多くは、立憲民主党と共産党の距離が縮まったと理解したため、選挙にマイナスの影響が出たのではないか。まさに「政治は言葉」である。

共産党にすり寄ったかと思えば、労働組合に鼻面を引き回され、支持率低迷に喘ぐ野党第一党――聞こえるのは、自民党の高笑いだ。政権交代など夢のまた夢である。

ちなみに下が、すったもんだの挙句、1月27日に公表された立憲民主党の「第49回衆議院議員選挙総括」である。(*下のPDF画面、クリックで参照可

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