河井案里参院議員と河井克行衆院議員の公職選挙法違反事件に、大きな展開

*自由民主党公式サイトより

9日、広島地検が捜査を続けてきた河井案里参院議員と河井克行衆院議員の公職選挙法違反事件に、大きな展開があった。

地検は、克行氏と案里氏が広島県内の首長、県議、市議らに現金を持参して票の取りまとめを依頼していたという疑惑で、2人の県議会議員宅や事務所を家宅捜索。ターゲットとなったのは、県政界の重鎮・桧山俊宏県議と渡辺典子県議だった。

3月25日配信の《自民・河井氏秘書「連座制」視野に起訴 検察の狙いは……》で指摘した『広島の大物県議Z氏』こそ、昨日“ガサ”を入れられた桧山県議のことだ。

桧山氏は当選7回。1991年に県議会議長に就任してから10年以上もその職にあった。議長退任後も、長老として県政界に睨みを利かせてきた人物だ。

ある広島県議は、次のように話す。

「広島では、国会議員でも桧山氏にかかれば、君付けで呼ばれ、子ども扱いだ」

総理の座に最も近い男の一人とされる自民党の政調会長・岸田文雄政調会長でさえ例外ではない。ある酒席のことだった。

「一番、上座に座っていたのが桧山氏。その脇を側近の県議や市議が固める。そこに岸田さんがやってきた。もちろん上座に座るのかと思ったら『おお、岸田くん、きたのか? その辺に座ったらどうだ』――。桧山氏が指さしたのは入り口に近い一番の下座で、岸田氏さんは言われるままに、席についた。その後、すぐに桧山氏にお酌にまわっていたよ」(前出の県議)

桧山氏の傲慢は、県政の場でも同じ。予算案については、県側が事前に桧山氏にお伺いを立てるのが当たり前で、他の重要事項も、まず桧山氏の了解を得なければならないのだという。

「知事と同じタイミングで、桧山県議にご説明にあがります。かつての知事は説明に行くと、『桧山先生はどういっている』と聞いてました。桧山県議の意向がそのまま、県政に反映されるような時代があったのは確かです。真の実力者は知事ではなく桧山氏だと、多くの県職員が思ってました」(県職幹部OB))

ちなみに、3月に克行氏の政策秘書と案里氏の公設秘書が逮捕、起訴されたウグイス嬢への公職選挙法違反(運動員買収)事件では、逮捕(その後処分保留で釈放)された脇雄吾氏は元県職員で桧山氏の選挙参謀だった。

桧山氏は、克行氏と案里氏の強力に支援していたことでも知られ、「案里は娘のようなものだ」が口癖だったという。

問題になっている昨年夏の参議院選挙でも、現職の溝手氏ではなく案里氏を応援していたことが分かっている。

前出の広島県議は、自身も検察から事情を聞かれており、その内容をこう明かす。

「広島の県議や市議は、基本的には溝手(顕正・元自民党参院議員会長)支持だ。しかし、桧山氏から『案里でやってくれ』と頼まれ、断れずに裏で動いた市議、県議はかなりいる。その時に、現金が動いたんじゃないか。事実、私も取り調べで克行氏や案里氏だけではなく、桧山氏からカネをもらわなかったかと聞かれた」

さらに、「ただの強がりだったのかどうかは分からない」と断りながら、桧山氏が力を誇示する場面もあったと振り返る。

「桧山氏は、克行氏や案里氏を陣笠クラスとしか見ていない。自民党本部の中枢と太いパイプがあるからだ。今年1月くらいだったか、『自民党本部に言って、検察に圧力掛けているから事件にはならない』などと言っていた」

河井夫妻に加えて桧山氏まで立件となると、広島の政界は大混乱に陥る。「次期総理」候補、岸田氏も桧山氏の支援がないと地元広島の支援を固めきることができないとも言われているほど。また、桧山氏の後に自民党広島県連の幹部になったX県議も克行氏や案里氏と密接な関係あり、捜査当局のターゲットだとみられている。

現職の国会議員が、地方議員や首長に現金を渡して票の取りまとめを依頼するという重大な事件――。広島地検では手に負えないということか、ついに東京地検特捜部が、実質的に捜査を主導することになったといわれている。

「桧山氏は地元の重鎮。ガサに入ったのは、もちろんやれる自信があるから。X県議も、その昔、多額の商品券を受け取っていたことで、検察が立件寸前までいった人物。事実、証拠もそろってきており、検察は“今度こそ”という思いだ。なぜ東京地検特捜部が出てきたのか?そりゃ、河井夫妻の逮捕許諾請求が視野に入っているからでしょう」(捜査関係者)

(山本吉文)

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