永原譲二町長による暴行事件や独裁的な町政運営で揺れる福岡県大任町が、先月に出された資産公開の閲覧申請を事実上黙殺し、1か月も放置された状態になっていることが分かった。永原町長が「決裁」を拒んでいるものとみられる。
町民の権利を蔑ろにする独裁町長の姿勢に、改めて批判の声が上がりそうだ。
■閲覧請求、一か月放置
町長の資産状況を確認するため「資産等報告書等閲覧申請書」を提出したのは、同町議会の次谷隆澄副議長。先月20日に永原町長宛てに下の申請書を出し、報告書の閲覧を求めていた。
他の自治体なら、閲覧請求書に住所と名前程度の必要事項を書いた時点で、何事もなく資産公開の資料が開示される。しかし、次谷副議長が提出した閲覧請求には返事がなく、町側に何度催促しても「決済待ち」という返事が繰り返されている。普通なら5分もかからない手続きが、1か月も放置された状態だ。
■決裁権者は永原町長
決裁権者が「永原譲二町長」であることは確かで、昨年のハンターの直接取材に永原氏自身が明言していた。首長とは思えない横暴な主張だったが、その時のやり取りの一部を再掲しておきたい。
―資産公開の資料をみるのに、町長の決裁がいると?
永原町長:まずね、まずね。―町民であったとしても?
永原町長:あっ、はいはい。もう行政の内規の問題だから。外部からウダウダ言われる筋合いは何もないですよ。外部の人からね、なんでそんな決裁がいるんかとか(言われる筋合いはない)。―本当に決裁がいるのかどうなのかの確認をしている。
永原町長:あっ、いりますよ、と。私がいる。私が知らないと(閲覧はさせない)。―それは内規で決まっているんですか?
永原町長:ああ、内部的にこう言うものが来たら……。いや、これ、なぜかって言うたらね。―内規はあるんですか?
永原町長:いやいや、あのね、人の話を聞いてください。お宅に言えたことやないけど。―町長の決裁がいるのか?
永原町長:いります。―いるんですね。それは内規で決まっているんですか?
永原町長:私がいるっち言っとるけん、私がいるんです。―あなたがいると言っているだけ?別に条文化はされていない?
永原町長:それは知りませんよ。―知らない?
永原町長:なーんが、私は最高責任者ですから。―あなたが決めたことは絶対だと?
永原町長:またあんた書きゃいいよ。また、あんた独裁的って書けばいいじゃないの。―では、資産公開の閲覧請求があって、その時に町長が不在だったたら、また出直せということでいいんですね?
永原町長:ですです。ただね、電話でも決裁できるきね。ああ、いいぞと。私が町村におらんでね、県に出張していても、電話掛けてくればいいやないの。―それが決裁?
永原町長:そう。――そうすると、町長が気に入らない相手だったら、見せないということですか?
永原町長:違います。―違います?
永原町長:誰でも見せるものだったら、いいですよと。―町民だったら、誰にでも見せるということでいいんですね。
永原町長:いいです。そりゃそうでしょ。――ストップはかけない?
永原町長:はい。
決裁するのは町長、町長自身が把握していなければ閲覧は許さないという身勝手な主張だ。ただし、「電話でも決裁できる」として、即日決裁を示唆していた。そう豪語した永原氏が、決裁待ちとなった資産公開資料の閲覧要請を1か月放置――。賭け麻雀を追及されて暴行事件を起こした永原氏は、どうやら「嘘つき」でもある。
ちなみに、「大任町政治倫理条例」は、資産等報告書の取り扱いについて《15日以内に、これを町民の閲覧に供しなければならない》と定めており、閲覧を拒否することはできない。