現職・内藤氏が出馬辞退 |徳島市長選でチラつく後藤田知事の影

「後藤田が暗躍し、県と市を独占しようとしている。とんでもない話だ」と憤るのは、ある自民党の徳島県議。昨年4月の徳島知事選で圧勝した後藤田正純知事が、4月に予定されている徳島市長選で不穏な動きをみせているという。

現職の内藤佐和子氏、前衆議院議員の福山守氏、前市長の遠藤彰良氏と三つ巴の戦いになるとみられていた市長選だったが、4年前の初当選時、全国史上最年少の女性市長として注目され内藤氏が、選挙まで1ヶ月を切り、突然撤退を表明した。舞台裏を取材してみると・・・。

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後藤田知事をバックに「県・市独占」を狙う遠藤氏は、4年前の市長選で「圧勝する」と言われながら、内藤氏に敗れていた。

今回は、自民党の衆議院議員だった福山氏が立候補を表明。内藤氏と保守票を分け合う形となるため、遠藤氏が優勢と伝えられていた。直近に行われたある情勢調査では、遠藤:27、福山:18、内藤氏:15という結果だった。

首長の「2期目」は強いというのが一般的。しかし内藤氏は3番手に沈んでおり、前出の県議は「勝ち目がない。つまり、当選圏外だから撤退を余儀なくされた」と断言する。

遠藤氏の圧勝ムードの背景には、知事になった後藤田氏の顔が見え隠れする。徳島県の幹部は、次のように解説する。
「後藤田さんが応援に来た場で、遠藤さんは『後藤田先生が来ると票が減るんですよ』という暴言を吐き、険悪になった。しかし、知事になった後藤田さんは県だけでなく徳島市も掌握できるチャンスとみて、再度遠藤氏と手を組むことを決めた。昨年の知事選で後藤田さんが圧勝できたのは、自民党が分裂したことに加え旧民主党系の票をまとめあげたこと。徳島市長選は、共産党が候補者擁立を見合わせており、裏での遠藤氏支持を決めている。そこに旧民主党系も乗った。情勢調査の遠藤氏断然リードは、当然でしょう」

福山氏はかつて石破派所属。2月13日には石破茂元幹事長が徳島入りして福山支援を訴えた。「しかし」と話すのは徳島市の幹部だ。
「当日会場には350人ほどが集まりました。8日には元石破派の坂本哲志農水大臣も福山さんの応援に来た。完全に自民党型の選挙ですね。ただ自民党の裏金事件などもあり、支持は伸びていない。福山さんのバックいる徳島市議もたった3人です。内藤市長には自民党系を中心に11人の市議がついていた。遠藤元市長陣営は、共産党の5人が中核になり、自民党系も応援しているので10人ほど。公明党は保守分裂でなので、動くのを見合わせている」

遠藤氏を影で支援することで存在感を見せつけているのが共産党。遠藤氏の市長時代、徳島市議会は自民党と共産党が手を組む「自共与党」によって運営されていた。今回は、内藤氏が撤退したものの、保守分裂の影響で遠藤氏への自民党支援は手薄になっている。つまり、遠藤氏が市長の座に返り咲くと、共産党が中心となり、自民党がサポートするという「共自市政」が誕生するというのだ。「遠藤氏が勝てば、当然、うちが真ん中でやることになる」と共産党陣営は鼻息が荒い。

突然の不出馬表明ですっかり信用を失くした内藤氏だが、自身のX(旧ツイッター)に《共産党やリコールの会が推す遠藤さんがいいのか、国会議員を3期務めた福山さんがいいのか、を市民が選ぶ選挙としてほしいと思います》と投稿。共産党市政への危機感を滲ませた。勝手なものである。

保守分裂の後ろで旧民主党系や共産党などの野党勢力をまとめるという、徳島県知事選と同じ展開に持ち込む後藤田氏。自民党の幹部からもブーイングがあがる。
「後藤田は小渕優子選対委員長と当選同期で、石破派から茂木派になんとか入れてもらった。それがすぐに飛び出る形で知事選に出馬。自民党の推薦を蹴って、野党を中核にして当選した。今度は共産党と組んででも徳島市を押さえ込むつもりという。こんな不義理な人間はいない」

だが、前出の徳島県幹部は冷静に現状を分析する。
「後藤田知事の企みがうまくいって遠藤さんが当選すれば、まさに徳島県では後藤田知事が天下をとったも同然。内藤市長がもっと早く撤退していれば、保守分裂は防ぐことができたのに、負け戦さが確実視されるようになった今では遅すぎる。袂を分かったはずの自民党県議団も、後藤田氏にすり寄りつつある」

永田町一のスキャンダル男だった後藤田氏が、一強体制を築き上げつつある徳島県。政治の世界は複雑怪奇である。

 

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