し尿処理場の管理・運営を行うため田川市・郡の8市町村で構成する一部事務組合「田川地区広域環境衛生施設組合」の組合長を務める永原譲二大任町長が今年春頃、地域内のし尿処理業者を一堂に集め、許可権限を盾に恫喝。強制的に自身の言い分を認めさせた上、意に沿わない業者との業務提携を結ばないよう求め、参加者全員に提携拒否を誓わせていたことが明らかとなった。
権力を悪用して業者に忠誠を誓わせた形で、行政機関のトップとしてはあるまじき行為。「強要」が成立する可能性が否定できず、告訴、告発があれば刑事事件に発展する可能性もある。
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田川地域のし尿処理行政を巡っては、今年3月、永原氏が『平準化』と称し、関係自治体に相談することなく、し尿処理業者の受け持ち区域を一方的に変更。永原氏自身が汚泥再生処理センター(田川地区クリーンセンター)に業者を呼びつけ、『平準化』を理由に、個々の受け持ち区域変更を宣告していた。
また同月、組合長権限で複数の業者の一般廃棄物収集運搬業や浄化槽清掃の許可を取り消しを強行。区割り変更や業者の許可取り消しに伴って、住民と長年契約関係にあった業者が何の説明もなく突然変わるという事態となり、田川市などで混乱が広がっていた。契約トラブルは現在も続いており、し尿処理が滞るケースが多数出ている。
永原氏が地域内業者を集め許可権限を悪用して強要とみられる行為に及んだのは、許可取り消しになった業者が業界団体の県組織に相談したことを知ったためだったようで、参加者全員を前に、「行政をなめている」「なめてる」「まだやるか」などと何度も申し向け威圧したという。
些細なことに怒りをぶつける形で、参加者全員に「許可を取り消されるかもしれない」「許可更新を拒否される」といった恐怖心を植え付けた格好。永原氏の独演は2時間以上にわたった模様で、途中、“民営であるし尿処理業務を行政が引き取ることができる。そうなれば業者の数は少なくて済む”といった趣旨の発言を繰り返し、逆らえないように誘導していた。
許可権限を盾に脅しとも取れる言葉で相手を畏怖させ、業者の権利や自由を奪う手法は、違法性が問われるべきもの。こうした人物を組合長に据えている「田川地区広域環境衛生施設組合」の良識が問われる事態となった。