特別国会初日の11月11日、朝から報道陣に囲まれたのは衆議院選挙で4倍増となる28議席に躍進した国民民主党の玉木雄一郎代表。写真週刊誌「FLASH」に高松市観光大使を務める元グラドルのタレント小泉みゆきさんとの不倫が報じられたためだった。玉木氏は「おおむね事実です」と不倫関係を認めて謝罪したが、波紋は広がるばかり。急拡大した党勢だけでなく、実現する可能性が出ている「103万円」の収入制限撤廃にも影を差す状況となっている。玉木氏はこのまま代表として党をリードしていけるのか?
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首班指名が予定されていたこの日、衆議院選挙で大幅に議席を失い、連立を組む公明党と合わせても過半数がとれなかった自民党に対し、野党が結束すれば政権交代も可能だった。
「まさかそんな日に不倫の謝罪会見なんて、こんな格好悪いことはない。おまけに首班指名で、そんな玉木さんの名前を書けという。これでは、選挙で勝ったのが台なしだ」――国民民主党のある幹部は筆者の取材にそうぼやく。
同党所属の伊藤たかえ参議院議員は、《最低だ。国会が“対決より解決”の政策議論を取り戻せるかもしれない千載一遇のチャンスに何やってくれてんだよ。どうか皆さま「不道徳であっても政治家としてしっかり働いてくれればいい」とか「玉木も人間だったのね」等のコメントで玉木雄一郎を甘やかさないで下さい》と辛らつなコメンとをSNS上に投稿。党内からも厳しい批判が上がる状況だ。
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玉木代表の不倫をスクープした「FLASH」は、玉木代表と小泉さんの「密会」を複数回おさえている。記事によれば今年の7月26日に2人で高松市内のホテルに入っているのを確認。その後、8月に2回、選挙直後の10月末には東京都内のワインバーにおける密会写真を報じている。7月から玉木代表と小泉さんの「不倫」を把握していたのは確かのようだが、それがなぜこの時期の報道になったのか?
同誌の記事をみると、玉木代表と小泉さんのツーショットの写真は掲載されていない。不倫や密会の報道には、ツーショット写真こそが決定打になるのが写真週刊誌の常識。「FLASH」の関係者に聞くと「ツーショットの写真を狙っていたが玉木代表が用心深くて厳しかった」と話す。
ただし、直撃取材で“2人きりで会う関係ではありますよね”と追及された玉木代表が「はい。食事はします」と認めたことや、同氏の秘書から書面で、「(本人と)家族との話し合いが終わっていない」との回答があったこと、さらに首班指名直前で国民民主がキャスティングボードを握って注目を集めているというタイミングこそニュースバリューが高いと判断して掲載に踏み切った模様だ。
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玉木代表の不倫は、政治的にも道義的にも大きな問題だ。お相手の女性は高松市の観光大使なので、報酬の原資は市民の税金。玉木代表の地盤、香川2区には高松市も含まれる。取材に答えた高松市の市議会議員は、落胆の表情でこう語る。
「衆議院選挙で国民民主党が大きく勝ったことで、香川県が生んだ大平正芳先生に次ぐ総理大臣の座へと、玉木さんへの期待はとても大きいものがあった。しかし、不倫を認めてしまったことで一気にしぼんだ。まさか地元自治体の観光大使に手を出すとは……」
不倫相手の女性を観光大使に任命していた高松市の幹部も、怒りを隠そうともしない。
「(女性は)市の職員など公的な立場ではないが、観光大使として報酬が発生していることで、高松市への風当たりも強い。国民民主党のトップでもある玉木さんが、その“権力”で小泉さんと不倫関係を持ったのではないかと勘ぐる市民もいます。玉木さんは記者会見で、自身の非を認めている。しかし、高松市や相手の女性を思いやる言葉は何もなかった。地元では総すかん。あたり前ですが、玉木さんを擁護するような声はありません」
「FLASH」の報道では、7月に玉木代表が女性と「密会」したのは高松市内の有名ホテルとある。玉木代表の政治団体「たまき雄一郎後援会」の令和4年分の政治資金収支報告書によれば、地元で開催した政治資金パーティーで同じホテルが使われていた。玉木氏に公私の区別がついていたのかどうか――その点についても、前出の国民民主党の幹部はさならる“炎上”を警戒する。
「玉木さんは国民民主党のトップであり、自身の政党支部や政治団体だけではなく、党のカネも自由に使える立場にある。不倫密会に使ったホテルや飲食の費用を政治資金でまかなっていたという話さえ党内でささやかれている。まさかとは思うが、女性と会うために国会議員に無料で支給される航空券のクーポンを使っていたとすれば、とんでもないことになる。代表辞任だけではなく、議員辞職となりかねない。ただ、発信力、論戦の強さなどで今のうちには玉木さん以外にトップを張れる人物はいない。今回のスキャンダルは非常に苦しい。次に何かでるともたないかもしれない」