失政の証明(中 )|衝撃! 大任名物「しじみ」じつは出荷量ゼロ

 シンボルキャラクター「しじみの大ちゃん」が町内のあちこちに掲げられている福岡県大任町。道の駅「おおとう 桜街道」の特産売り場にも「しじみ」入りの商品が並ぶ。しかし、商品の裏ラベルに記載された確認可能なしじみの産地は「中国」「インド」。大任町産のしじみは出てこない。

 しじみの大ちゃんの生まれはどこかーー?興味を持ったハンターの記者が大任町に情報公開請求したところ、驚くべき失政の現状が明らかとなった。大任町のしじみ出荷量は過去から現在まで「ゼロ」。大任町産のしじみは、どこにもいない。

■「大任町名物」と謳っているが・・・

 大任町にしじみ関連で開示請求したのは、次の3項目だ。

・大任町がしじみの養殖場を整備した際の整備費、設計業者と設計費用、建設業者と建設費用、入札結果がわかる文書。

・大任町が「おおとう大ちゃん納豆」の生産で使用している「しじみエキス」または「しじみ」の購入先と購入金額がわかる文書(過去分を含む)。

・大任町が町内の養殖場で養殖したしじみの年度ごとの出荷量と出荷額(過去分含みすべて)。

 これに対し、同町が開示を決めたのが「しじみエキス」または「しじみ」の購入先と購入金額がわかる文書だけ。養殖場の整備に関する文書は保存期間の5年が過ぎたため廃棄して不存在。最も重要なしじみの出荷量についての回答が、下の決定通知である。

 「実績はありません」――つまり出荷量「ゼロ」ということだ。大任町にしじみの養殖場ができて10年あまり経っているというが、実はこの間、大任町産のしじみは一個も出荷されていない。しじみの養殖に失敗したのは明らかだが、永原町政はその「失政」について一切公表していない。

 問題は、町内産のしじみがないにもかかわらず、町の特産品として「しじみ」を使った商品を売っている大任町の姿勢だ。前稿で述べた通り、道の駅「おおとう 夢街道」には「大任町名物 しじみのパワーで毎日元気」と謳って、様々なしじみ関連食品が陳列されている。

 ちなみに、田川地域を流れる彦山川でしじみが採れたというが、それは昔の話。現在は見かけることさえないらしく、存在しない個体を大任町が製品化している「おおとう 大ちゃん納豆」などに使用するのは不可能だ。ある福岡県民は、しじみに関する大任町の姿勢について憤りを隠そうともせずこう話す。

 「大任町に来ると、“花としじみの里”という文句にしじみのキャラクターが描かれた看板がいたるところに立っているじゃないですか。道の駅には“しじみ”の商品が置いてあって、そこに名物と謳ってあれば、当然大任町でしじみが採れていると思いますよ。納豆のタレに入っているしじみエキスは、大任町のしじみのエキスだとばかり思っていました。それが違うなんて……。しじみ商品が使っているしじみの産地は中国とかインドとあるのが分かったから産地偽装とは言えないんでしょうが、なんだか詐欺的な商売みたいで気分が悪いですね。しかし行政機関がこんなマネしていいんですかね?」

 確かに、「おおとう しじみの大ちゃん納豆」を製造しているのは大任町(*下の写真。赤い囲みと矢印はハンター編集部)。「花としじみの里」を大々的に宣伝してきた同町のトップとして、しじみの出荷量がゼロだという現実を永原町長はどう説明するのだろうか。

 ところで、大任町のホームページで「しじみ」についての取り組みを調べたところ、「養殖場」を整備するという記述が見つかった。しじみの養殖場「大任町しじみセンター」がどこにあるのか地元の人に聞いて現地を訪れたところ、そこで見たのは、まさに「失政」を証明する惨憺たる状況だった。(以下、次稿)

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