【速報】大任町“公務員”が怪文書ばら撒き|指示者は永原譲二町長の親族職員|不正の拠点はごみ処理施設
田川市・郡の8市町村で構成する「田川郡東部環境衛生施設組合」(組合長:永原譲二大任町長)が整備を進めてきたごみ処理施設の職員として働くことを前提に、大任町が採用している「会計年度任用職員」が、発出人不明の「怪文書」を田川市内でばら撒くよう命じられ、少なくとも20人近くの職員が実際にポスティングを実行していたことが分かった。
ばら撒きを指示したのは、ごみ処理施設内部で「職長」と呼ばれている公務員で永原町長の親族。ばら撒き指示も、ばら撒き行為自体も地方公務員法に抵触する可能性が高い。
■ばら撒き指示は永原町長の身内
怪文書のばら撒きを命じたのは、永原町長の親族で、日頃からごみ処理施設関係職員を動かす立場にあるT氏。ごみ処理施設関係者の間では「職長」と呼ばれている人物だ。ばら撒きが行われたのは今月9日の夜。その前後の経緯については、今月17日の配信記事で詳細を報じたばかりだった(⇒既報)。
複数の関係者によれば、今月4日頃からにポスティングに参加するよう何人もの職員に指示が出ていたが、7日になっていったん中止に。今月8日、改めてT氏からそれぞれの職員に午後5時に集合するよう連絡が来たという。
集まったのは、会計年度任用職員に採用されている田川市議会議員の弟を含め20人ほど。T氏は、田川市長の不適切交際を問題視して辞職を求める内容の“ビラ”を田川市内の各戸にポスティングするよう指示していた。
ビラの発行元は「田川市の未来・財産を守ろう女性の会」という正体不明の怪しげな団体。どう見ても怪文書だった。それを公務員である大任町の職員に「配れ!」という理不尽な命令。「ヤバいんじゃないか」とばら撒きを躊躇する職員は少なくなかったようで、関係者は「集まったほとんどの職員は浮かぬ顔だった」と話す。
しかし、ごみ処理場の担当になるべく大任町に雇用された会計年度任用職員にとって、日頃から上司然として振舞い現場を指揮するT氏の命令は絶対。この日も断れない用件を抱えた職員以外で、T氏の命令を断わった人はいなかった。
束になった怪文書を渡された職員らは、2~3人ずつのグループに分かれ、自家用車を使って田川市内で散開。ナンバーを控えられないよう駐車場所を工夫するなどした上で、ポスティングを行っていた。
午後10時頃、田川市内にあるうどん店に集められた職員たちは、「なんでも好きなものを食べろ」とのT氏の言葉に従い、それぞれが食事した後、解散したという。
■「ごみ処理施設」でばら撒き指示の非常識
容認できないのは、T氏が大任町の会計年度任用職員を集め、怪文書のばら撒き指示を行った場所。驚いたことに、そこは4月から稼働するごみ処理施設の休憩所だった。公的施設を、怪文書ばら撒きの拠点に使ったということだ。
怪文書のばら撒きは“違法行為”なくして成り立つものではない。ポスティングするためには、他人の自宅や集合住宅及びその敷地内に無断で立ち入る場合がほとんどだからだ。公道に面したポストに投げ入れるのは問題ないが、下の防犯カメラ映像のように私有地内にある建物への無断立ち入りは不法侵入であり、住居侵入罪に問われることになる。
地方公務員法は、『職務に専念する義務』として《職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければない》(第35条)と規定。さらに《職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない》(第33条)として『信用失墜行為』を禁じている。
T氏の怪文書ばら撒き指示は、不法侵入という違法行為を命じたということ。つまり、本来の業務ではない行為を命じたT氏の行為も、会計年度任用職員らの怪文書ばら撒き行為も「職務専念義務違反」であり、「信用失墜行為」にあたるものとみられる。
怪文書が誰からT氏に渡され、公務員を使ってのばら撒きに至ったのか―ー?裏にいる計画者は誰なのか―ー?命令系統を含む一連の経緯が厳しく問われるべき事態だ。
違法行為を行った会計年度任用職員を採用した大任町の永原町長は、ごみ処理施設の管理責任者でもある。違法行為への関与の有無も含めて、事実関係の解明が望まれる。
問題の怪文書を巡っては、会計年度任用職員のグループとは別に、大任町内に本社を置く建設業者の子息などもポスティングを行っていたことが分かっており、組織的な動きだったことは明らか。ハンターは、計画を進めた複数の政治家、政治家の秘書、首長、業者の存在をつかんでいる。
23日、事実関係の確認を求めたハンターの電話取材に対しT氏は、「そんなことはないんで、お話のしようがない」と否定。しかし、“最後に行ったうどん屋がどこか言いましょうか”との記者の問いかけに、「どこですか?」と聞き返してしまう慌てぶりだった。