鹿児島県警において、野川明輝前本部長が常態化させたとみられている組織的な事件のもみ消しや隠ぺい。その代表事例が、枕崎署の現職警官による盗撮事件だった。一度ウソやごまかしをすれば、つじつま合わせの繰り返しによって疑念が深まるのが常。組織内の腐敗が進んだせいか、県警への情報公開請求で入手した同事件の捜査関連資料も黒塗り非開示ばかりとなった。不必要な黒塗りは、盗撮事件に依然として隠された事実があることを示している。
■隠ぺいされた犯行場所と日時
開示された枕崎盗撮事件に関する捜査関係資料は、署長指揮事件指揮簿が2件分(5枚)、本部長指揮事件指揮簿が8件分(34枚)、犯罪事件処理簿が10件分(10枚)、犯罪事件処理簿が4件分(8枚)。ほとんど黒塗りで、事件に関係する日付や、どうでもよさそうな部分まで非開示となっている。枕崎署員の盗撮事件に至っては、公表された事項まで非開示だ。その中にあってハンターが着目したのは、2件の「犯罪事件処理簿」と添付された『犯罪事実』及び『別表』(*下の画像参照)。わずかに開示された部分の記述から、新たな疑惑が浮上する。まず1件目の事案。
『犯罪事実』にある《もって通常人が衣服等の全部又は一部を付けない状態でいるような場所において、当該状態でいるものに対し、著しく羞恥する様な卑わいな行為をし》という記述については前回の配信記事で述べた。“著しく羞恥する様な卑わいな行為”が、公表されている建造物侵入、性的姿態等撮影、不安防止条例違反といった事案とは別のもので、県警がそれを隠しているのではないかというものだ。
『別紙』も『別表』も黒塗りだらけで詳細不明だが、別表には「1」としてこの件を含む3件の“建造物侵入、不安防止条例違反”事案の日時、場所、内容が、「2」には8件の“建造物侵入、性的姿態等撮影”事案のそれが記されている。注目したのは「発生場所」で、11件すべてが「鹿児島県」内だったことが分かる。
次に2件目。事件名から建造物侵入と不安防止条例違反が省かれている他、性的姿態等撮影の「被害者」については「不詳」となっている。つまり、隠れた被害者がいるということだ。
「別表」の日時、場所、内容を確認してみると、これまたほとんどが黒塗り。犯行のあった場所を公表すれば、新たな被害者が名乗り出ることも可能だろうに、県警はなぜかこれを伏せた。しかも、前掲の別表にはなかった「被害者の着衣等」という項目が加えられている。残された防犯カメラの映像から、被害者の着衣の状態が確認できたということだろう。
最大の問題は、1から10までの事案の内、1,3,4,6の犯行場所が「鹿児島県」であることを開示していながら、2,5,7,8,9,10の犯行場所がすべて黒塗りにされていることだ。杜撰な黒塗りではなく、意図的に隠したとみるのが妥当だろう。つまり、犯人の警察官は、鹿児島県以外の場所=県外で盗撮に及んでいた可能性があるということを示している。
盗撮が行われた日時や犯行場所を周知することは、県民の安心・安全を維持するという崇高な使命を負った警察組織として当然の義務だろう。ましてや犯人は現職警官。失った信頼を回復するためにも卑劣な犯行の詳細を県民に知らせるべきだが、県警は逆の方向に走った。県警の隠ぺいによって、盗撮された大勢の人たちが被害を自覚する機会を奪われている。鹿児島県警の情報開示に対する姿勢が浮き彫りにしたのは、「住民より組織」という警察一家特有の悪しき体質なのである。
(中願寺純則)