永原大任町長、「疑惑のパンフ」に対する田川市議らの質問書を黙殺|問われる巨大公共事業の正当性

 都合の悪い話にはダンマリやでっち上げで対抗し、自説を主張する際には何時間もかけて一方的にしゃべりまくる――多くの人が知るところとなっている永原譲二大任町長の処世術だが、政治家としては最低だ。永原氏は「説明責任」という言葉さえ知らないのか、同町が「編集・発行」したパンフレットに記された文言の根拠を問われながら、黙殺していることが分かった。

■疑惑のパンフ

 問題の発端は、田川市・郡の全世帯に配布された『田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内』。カラーA4版12ページの印刷物だ(*下の画像を参照)。

 このパンフの発行趣旨は、2ページの冒頭に、わざわざ赤いアンダーラインを引いて示されている――《現在、建設事業において新聞やマスコミなどで様々な誤った情報が出ています。そのため、今回改めて、田川地区の住民の皆さまに、一般廃棄物処理施設の概要や、建設の費用などについて正しい情報をお知らせします》――だ(*下の画像参照)。

 報道の中に出てきたという『様々な誤った情報』を正すため、このパンフを編集・発行したというのだが、印刷物の中に『様々な誤った情報』についての具体的な提示は一切ない。“「編集・発行 大任町」ゴミ処理施設パンフに漂う不透明感”で報じた通り、印刷や配布にかかった費用などを確認するため大任町に対して行ったハンターの情報公開請求にも応じていない。

■示されない「誤った情報」の具体例

 大任町は、この怪しげなパンフの印刷・配布費用を、ごみ処理施設建設事業の主体である「田川郡東部環境衛生施設組合」が編集・発行したとして同組合を構成する7市町村に負担させる構えだ。当然のことながら、支払いを求められる自治体の議員には、印刷物の趣旨を確認する義務がある。配布世帯が多い――つまり負担金の割合が最も高くなる田川市の市議らは10月31日付で、「田川市民への説明責任がある」として以下の質問を内容証明郵便の形で永原町長宛てに送付していた。

①貴町発行の「田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内」について、お尋ね致します。
・令和5年9月に大任町が編集・発行した「田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内」の2ページに記載のある『現在、建設事業において新聞やマスコミなどで様々な誤った情報が出ています』及び10ページに記載のある『一部の新聞やマスコミなどで誤った情報が錯綜しています』について、具体的に、どの報道機関の、いかなる報道内容が「誤った情報」であるのか、明確にお示しください。

②田川市内で配布された、令和5年9月吉日付 田東環衛第88号《「田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内」の冊子案内について》についてお尋ね致します。
・同文書は田川郡東部環境衛生施設組合の組合長である永原譲二氏が発出しておられますが、大任町発行の文書である「田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内」を、なぜ田川郡東部環境衛生施設組合が配布されたのか、その根拠を明確にお示し下さい。

③貴町発行の広報誌「おおとう」8月号NO.385についてお尋ね致します。
・同誌4ページに記載の「現在マスコミで誤った情報を発信し、印象操作を行っている7人の市議が・・・」について、具体的に7人の市議とは誰で、どの報道機関に対して、いかなる「誤った情報」を発信し、印象操作を行っているのか具体的かつ明確にお示し下さい。

質問②にある“令和5年9月吉日付 田東環衛第88号《「田川地区広域 一般廃棄物処理施設 概要案内」の冊子案内について》”が下の印刷物で、これだけは田川市内にのみ配布されていた。

下が、③の質問で取り上げられた“広報誌「おおとう」8月号NO.385”の該当ページ(青いラインはハンター編集部)である。

 多額の公費をかけて発行、配布された印刷物である以上、記載内容や配布目的について確認を求めるのは当然だ。500万円を超える法外な負担金を求められているという田川市の議員にとっては、なおさらのこと。しかし大任町は、11月8日とされた期限までに回答せず、その後も連絡さえ寄こしてこないという。黙殺ということだ。

 パンフには、建設費の額や施設の性能が記されているが、根拠となる文書や画像は何も示されていない。社会問題化したごみ処理施設の積算書や施工体系図といった事業の正当性を証明する根拠資料は、非開示のままだ。それが田川市・郡に混迷をもたらした原因なのだが、問題のパンフに疑問や疑惑を打ち消すことのできる記述は皆無で、永原氏の身勝手な主張をそのまま文書化した陳腐な内容となっている。問われているのは、400憶円近くの公費を投入して進められているごみ処理施設建設事業の正当性なのだが……。

 

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