愛知県知事リコール署名偽造問題の闇(上)アルバイト女性が語る“書き写し”の実態

愛知県の大村秀章知事と名古屋市の河村たかし市長の対立が発端となって、行われたリコール署名活動。美容整形外科の「高須クリニック」で有名な高須克弥氏が「お辞め下さい大村秀章愛知県知事愛知100万人リコールの会」を設立して、昨年8月から署名活動を展開したが、法定数に集まらずリコール成立とはならなかった。

一方で、署名簿の提出を受けた愛知県選挙管理委員会は署名の83%、約36万2千筆が同一筆跡などで無効の可能性があると発表。選管は自治法違反容疑で愛知県警に被疑者不詳で刑事告発し、同県警が市町村から署名簿を押収するなど、捜査が進んでいる。

そうした中、西日本新聞と中日新聞が、アルバイトを使いリコール署名を偽造した疑惑を報道。偽造場所が、佐賀県だったことを明らかにしている。アルバイトに参加した女性から話を聞いた。

■名簿書き写しに拇印まで

Q:アルバイトのきっかけは?
――「コロナで暇なので、手軽なアルバイトがないかとスマホを見ていたら佐賀市内でアルバイトがあったので応募しました」

Q:求人広告をみて、申込、採用された?
――そうですね、すぐに応募してバイトが決まりました。

Q:アルバイトの時の様子を教えてください?
――佐賀駅から車なら10分くらいの会議室に、100人弱くらいが座れる長い机がいくつも用意されていました。バイトの内容を外に漏らしませんという誓約書のようなものにサインさせられ、スマートフォンを専用の袋に入れるように求められました」

Q:それから書き写しですか?
――はい。愛知県内の住所や名前が入ったデータとリコール署名の用紙が渡され、データから用紙に書き写してほしいと説明がありました。責任者のような人の話し方は九州弁ではありませんでした。名古屋方面の独特な話し方に近かったです。『書き写しはまったく問題はない、許可を得ている』という話もしていましたね。それから、書き写しがはじまったんです。

Q:どれくらの数を書き写したのですか?
――1時間で100人から120人くらいは書き写せたかと思います。6時間やりましたから、600人から700人かな。

Q:どういう人が参加していましたか?
――地元の大学生など若い人、それから福岡県から来ていたような人もいました。全体の3、4割が年配の方。人気のバイトだったのか、会場はいっぱいで密でしたよ。

Q:大村愛知県知事のリコール署名といつわかりましたか?
――高須さんと河村さんの写真があって、どこかで見た記憶があった。昼休みにSNSで調べると署名簿と同じデザインの紙であることがわかり、リコール署名のものなのかとは思いました。なぜ、佐賀でやっているだろうと不思議には思っていました。

Q:他に何か、印象的なことはありましたか?
――責任者らしい人は『大村知事は悪い』『とんでもない男』と悪口を言っていましたね。それと書き写しがほぼ終わりかけの時に、責任者らしき人から『ちょっとここに』と拇印を押すように言われました。20人分くらい押したかな。あまりいい気分ではありませんでしたね。別の日に友達がバイトに行ったのですが、『100人くらいの拇印を押した。変だな』と話していました。

取材に答えた女性のいうネット上アルバイト募集広告は、<交通費500円支給 未経験者大歓迎! 佐賀市での名簿書き換え作業!!>というタイトル。10月23日、24日、25日の3日間、午前10時から午後5時(昼休み45分)までの仕事で、交通費500円込みの日給6,125円という内容でアルバイトを求めていた。

前代未聞の「署名簿偽造」について、名古屋市の河村市長は「偽造するなんて想定外だ。あってはならない。ただうちにあるリストが漏れていることはありません。警察には早く調べてこちらの潔白を証明してほしい」と話す。また、記者会見した高須氏は「不正の指示や黙認などしていません。私が署名を発注したこともない」と全面的に関与を否定している。

だが、すでに「署名簿偽造」が名古屋市のG社が関連のポスティングのS社を経由して、大手人材派遣F社がアルバイトを集めた流れがわかっており、ある捜査関係者がこう話す。
「すでにG社の経営者などの関係者から話を聞きとっている。リコール署名の事務局から470万円ほどで発注があっており、発注書などの提出は受けている」

さらに取材を続けると、深い闇のいったんが見えてきた。(つづく)

(山本吉文)

 

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