聞いて呆れる「身を切る改革」|日本維新の会の言行不一致

自民党と連立与党を組んだ日本維新の会。「身を切る改革」は言葉だけで、公金の不適切支出が疑われる事例が相次いで報じられる状況だ。企業・団体献金の廃止という懸案事項から目を逸らすため衆議院の定数削減を持ち出したが、野党はもちろん世論も反発。自党の「政治とカネ」で支持率も下落傾向となっている。

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相次ぐ疑惑の発端となったのは、藤田文武共同代表の「公金還流疑惑」。同氏の秘書が経営している会社に、チラシ印刷の名目で約2,000万円分を発注していたことが共産党の機関紙「新聞赤旗」のスクープで表面化。原資が公金だったため、「公金還流」の疑いがかけられている。

藤田氏を巡る疑惑が次々と報じられる中、同党の高木かおり政調会長も、自身の秘書が経営する不動産会社から事務所を借り資材を購入していたことが報じられる。

こうなると報道は止まらない。次には、同党の奥下剛光衆議院議員が2023年、政治資金から東京のキャバクラや大阪のラウンジなどに合計12万6,500円を支出していたことが判明。青島健太衆議院議員は、24年にキャバクラやガールズバーに合計11万7,400円を、やはり政治資金から支出していた。

自民党と「閣外協力」の道を選んだ維新の中で、唯一首相補佐官として首相官邸に入った遠藤敬衆議院議員にも疑惑が浮上した。週刊ポストは、12月19日号に「秘書給与ピンハネ」というタイトルで疑惑の詳細を掲載。遠藤氏側が、公設秘書として雇った人物から約800万円を政治団体に寄附させる形で“キックバック”させていた可能性があることを報じている。

維新は「スキャンダルのデパート」だが、与党になってメディアやSNS上での追及が厳しくなり、改めてそれが「立証」された格好だ。12月のある日、筆者は維新の衆議院議員A氏から話を聞いた。

彼は、「キャバクラ、ガールズバーに行きたかったら自腹でしょう。秘書の会社に発注したら公金の還流と叩かれるのは当然。秘書給与のキックバックで有罪になった議員もいる。我が党の議員たちも、選挙のたびに国民のために働くと演説してきたじゃないですか。それが、なぜこんなスキャンダルまみれになるのか」と肩を落とした。

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奥下議員側の政治資金収支報告書を見てみると、東京のキャバクラには36,300円、大阪のラウンジには57,200円を支払っている。釈明会見で奥下氏は、キャバクラやラウンジは「企業の方から陳情・相談を受け、意見交換を行った場所」「店側からの従業員の接待は受けず、私はすぐに退席」と発言したが、信じがたい言い訳だ。

東京のキャバクラと赤坂のラウンジのホームページやSNSを確認してみたが、いずれもセット料金が6,000円から8,000円。短時間で意見交換が終わってすぐに退席したのであれば、報告書にあるような高額な支払いにはならなかっただろう。

奥下氏は、「当方から場所を選ぶことができなかった」とも述べているが、ネットを開いて調べれば、どのような店であるのか簡単に確認できる。女性の接待があるような店は反社会的勢力が経営に関与していることもゼロではない。同氏には、政治家としての危機管理能力がなかったということだ。

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青島議員側の政治資金収支報告書は、問題となっているキャバクラやガールズバーでの飲食が「打ち合わせ・会議費」として計上されていた。キャバクラやガールズバーでどのような会議をしていたのか――?報告書には「打ち合わせ・会議費」が6ページにわたってずらりと並ぶ。24年9月23日には、ゴルフ場に15,500円、2つの飲食店に約2万円を支出しており、ゴルフ場と飲み屋2軒をはしごしたことになる。

9月23日は秋分の日。前出のA氏は、自身のスマートフォンを見ながら「その日の予定を確認すると、運動会やお祭り、地元行事と維新関連の会合など、朝から夜までずっと動き回っていました。私には、ゴルフ場や飲み屋をハシゴするような余裕はまったくなかった」と振り返る。当時は石破茂氏が自民党総裁選で勝利し、解散総選挙の可能性が報じられる状況。そうした中でのゴルフとはしご酒は、同僚議員でさえも呆れる話なのだ。

さらに青島氏は同年9月18日「霞が関カンツリー倶楽部」で27,060円を2回、合計54,120円を計上している。おそらく青島氏自身に加えて、誰か別人のプレー代も負担したということだ。同倶楽部は東京五輪のゴルフ競技が開催された場所でもあり、日本屈指の有名なゴルフ場。いったいどんな会議だったのか聞いてみたい。

ちなみに、青島氏はキャバクラなどの疑惑が報じられた後に5件の支出を取り消している。いずれも、キャバクラなど女性接待を伴う店だとみられる。

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遠藤氏を巡るキャッシュバック疑惑は、政治資金収支報告書の訂正で済むような問題ではない。週刊ポストによれば、2019年から22年、24年と、公設秘書3人から796万円あまりの寄附を自身の政党支部に受けていたというもの。うち一人は公設秘書で、221万円という高額を寄附していた。

公設秘書の給与は年間600万円から800万円ほど。その中から200万円以上も寄附するというのは確かに異常だ。法律で寄附の「強要」「強制」は禁じられているが、「自発的」であるならセーフになるという。

遠藤氏の支援者に話を聞いた。

「週刊ポストに報じられた秘書は、全員知っている。『寄附を半ば強制』という話は聞いたことがあったので、よくないと思っていた。記事で金額を知ってさらに驚いた。維新の“身を切る改革”というフレーズが好きで遠藤氏を支援してきたが、秘書というのは議員が雇用主という形で弱い立場。議員が秘書の身を切ってどうするのか。地元では『刑事事件になりかねない、これはやばい』との声しきり。残念だがもう支持できない」

A議員と会った際、スマートフォンで彼の政治資金収支報告書を見てみた。飲食費などの支出はあるが、高額なものはなく、支出先にも見る限り問題はなかった。A議員はこう嘆いた。

「議員をやっていれば高額な飲食が避けられないこともある。私は秘書任せにはせず、自分でもスマートフォンで店を検索して、どんな店かチェック。事前に『食事はなし』と秘書に交渉させることもある。年間、国民の税金から3,600万円の報酬がある国会議員は、問題になりかねないなと感じるセンサーが働いたときは自腹が当たり前。奥下さんや青島さんは、なぜそれができなかったのか。キャバクラなんて完全アウト」

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