全国裁判所不祥事・2024年速報|1年間で懲戒18件、監督措置3件

全国の裁判所で昨年1年間に処分などがあった不祥事が計21件に上ることが、最高裁判所への公文書開示請求でわかった。全体の半数強にあたる11事案の概要が一定程度開示された傍ら、監督上の措置全件を含む残る10件の記録はいわゆる「海苔弁当」状態に墨塗り処理され、事実関係がほぼまったく確認できない状態となっていた。

◆   ◆   ◆

筆者が最高裁への公文書開示請求(司法行政文書開示開示申出)を行なったのは、年明け間もない本年1月15日。同17日付でこれを受理した最高裁は「文書の精査に時間を要する」として2月17日と4月17日の2度にわたって開示期限の延長を決定、最終的に文書の一部開示が決まったのは請求5カ月後の6月19日だった。決定を受けた筆者は対象文書の写し(コピー)の交付を申請、7月4日に最高裁からの郵便で計55枚の文書を入手した。

開示された文書は、職員の懲戒処分に伴って作成される『処分説明書』16組と、処分などを決める際に作成されたと思われる『決裁票』5組。これらの数字から、昨年1年間に各地の裁判所で処分があった不祥事が計21件に上ることがわかった。なお、筆者はこうした処分等の記録に併せて「各件の報道発表の有無がわかる文書」の開示を求めていた。こちらについては1枚も開示されなかったが、裁判所が記者クラブへ交付する広報文は公文書扱いされていない可能性があるため、報道発表の文書が存在しないこと即ち報道発表事案がゼロだったとは必ずしも言えないようだ(実際、報道の事実が確認できた事案が複数あった)。

開示各文書を確認したところ、5件分あった『決裁票』のうち2件には『処分説明書』が含まれていることがわかり、同2件が懲戒処分の記録であると読み取れた。残る3件分には「事後措置」の記述があり、このことから同3件が懲戒よりも軽い「監督上の措置」(訓戒、注意など)だったことがわかる。そして、それらと同時に開示された『処分説明書』は、先述の通り16件分。以上を整理すると、先の21件の内訳は懲戒処分18件・監督上の措置3件ということになる。前者の18件のうち文書の形式が異なる2件は最高裁による処分で、残る16件は下級裁判所(各高裁や地裁など)による処分だった可能性が窺える。のり弁当状態の記録も含め、それぞれの文書から読み取れる事案の概要を記すと、以下のようになる。

【懲戒処分(最高裁による処分とみられる)2件】

・2月27日付「戒告」=部下の不適切行為の監督責任…官職不明

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明

【懲戒処分(最高裁以外の処分とみられる)16件】

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(松山家裁)

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(福岡地裁)

・2月27日付「免職」=虚偽公文書作成・同行使など…裁判所事務官(山口地裁)

・2月27日付「戒告」=部下の不適切行為の監督責任…官職不明(処分庁不明)

・2月27日付「戒告」=部下の不適切行為の監督責任…官職不明(処分庁不明)

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(福岡地裁)

・5月7日付「減給1/10×3カ月」=部下の不祥事を隠蔽、不正報告など…主任書記官(大阪高裁)

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(新潟地裁)

・5月29日付「戒告」=同僚への暴行、傷害…裁判所書記官(東京家裁)

・6月27日付「免職」=食料品など窃盗…官職不明(名古屋地裁)

・10月11日付「停職1カ月」=女子トイレで盗撮未遂…裁判所事務官(千葉地裁)

・10月31日付「停職12カ月」=商業施設内で盗撮未遂…裁判所書記官(福島地裁)

・11月8日付「戒告」=文書偽造など…裁判所事務官(鳥取地裁)

・11月8日付「戒告」=事件記録の紛失など…裁判所書記官(東京家裁)

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(前橋家裁)

・処分日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明(松山地裁)

【監督上の措置 3件】

・措置日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明

・措置日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明

・措置日不明「量定不明」=事案概要不明…官職不明

懲戒18件のうち7件で処分日を含む事実関係がことごとく非開示となり、監督上の措置に到っては“開示”された3件すべてが完全に藪の中。こうした情報開示のあり方が適切と言えるかどうかは、読者諸氏の評価に任せたい。

なお筆者はほぼ毎年、最高裁へこれらの記録の開示を求めているが、各事案で処分等を受けた職員の氏名が一律不開示となる扱いが長く続いていたところ、今回の開示請求では1件のみ被処分者の実名が開示された。盗撮未遂で10月31日に停職処分を受けた福島地裁書記官の事案がそれだが、その少し前の10月11日にやはり盗撮未遂で停職となった千葉地裁書記官については、同種事案にもかかわらず氏名の開示を免がれている。この扱いの違いは、前者が警察発表により氏名が大きく報道されたのに対し、後者は匿名報道に終わったためと思われる。

(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 

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