8月27日、東京地検特捜部が日本維新の会に所属する石井章参議院議員の議員会館や地元茨城県の事務所などを急襲した。勤務実態のない公設秘書の給与をだまし取ったとする詐欺容疑だ。同じ日、読売新聞が《公設秘書給与不正受給か 維新衆院議員雇用》と1面トップでスクープ。てっきり石井氏のことかと思いきや、疑惑を指摘されたのは同党の池下昇衆議院議員(大阪10区)だった。まさにダブルパンチの維新。一体何が起きたのか?
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朝刊を確認してすぐ、ある維新の国会議員に電話をすると「石井と池下、2人が揃って秘書給与の詐欺で特捜部にやられるなんて、うちはどうなってんだ」と困惑気味。だが、池下氏に関する報道は昼前になって急展開をみせた。読売新聞が石井氏と池下氏を取り違えて報じたというのだ。
同党の中司宏幹事長は、記者会見で「読売新聞の記事は誤報と認識している」と述べ池下氏の疑惑を否定した。
池下氏は、初当選した2021年の衆議院選挙直後、大阪府議と高槻市議の2人を公設秘書として雇用していたことが問題になった。つまり、公設秘書と地方議員の給与を「二重取り」していたというわけだ。また、衆議院に「兼職届」を提出していなかったことで批判を浴びた過去がある。
さらに池下氏が父親から事務所を借り「池下後援会」に又貸ししていたことも発覚。賃料が池下氏側に入っていたため、迂回献金ではないかと疑われ、政治資金規正法違反で刑事告発を受けた(その後不起訴)。
池下氏にはグレーな背景があるものの、すでに問題になった公設秘書のことで給与をだまし取るようなマネはやっていなかった。
前出の維新議員は、「池下氏は家業もあって、お金には不自由していない。秘書給与をだまし取るなんてことはしないですよ。(読売新聞の記者が)ちょっと調べればわかることなのに……」と首をかしげる。
誤報をやらかした読売は、昼前に電子版の記事を削除。池下氏もSNSで「事実無根」と反論したため、午後になって同紙の幹部が池下氏の事務所を訪れ謝罪したという。
さすがにまずいと解ったのか、読売は28日朝刊で誤報を認める。《27日1面「公設秘書給与不正受給か」 記事は誤報 おわびします》として、石井氏の秘書給与事件を報じる記事の下に「お詫び」が掲載された。誤報の理由は、《取材の過程で、池下議員と石井議員を取り違えてしまいました》というお粗末なものだ。
事件取材、とりわけ特捜部が手掛ける事案では、誰がどのような容疑で立件されるのかが、最も大事なファクト。「被疑者」となる人物を間違えて掲載したというのだから、信じ難い失敗だ。読売新聞で検察担当の経験がある記者は、「特捜部の事件には、現場に複数の記者を配置して情報をとり、サブキャップ、キャップ、デスクとあがっていく。さらに、社会部の幹部が吟味、チェックしてようやく記事になる。池下氏はスキャンダルはあったがすでに不起訴になっている。それに地盤が大阪なので東京の特捜部が乗り出すのは違和感がある。普通に考えれば『ない』です。この誤報は、記事にかかわった全員の責任」と話す。
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最近の読売は誤報続きだ。7月23日には参議院選挙で敗北した石破茂首相が「退陣へ」と号外まで出すはしゃぎよう。《月内にも退陣を表明する方向》とまで踏み込んでいた。
8月19日に週刊文春電子版が《石破首相強気のウラに読売の“謝罪”があった!「まだまだやるべき仕事がある」》として、読売新聞側が石破首相に「謝罪」したという内容を報じた。すると読売新聞は《事実無根の記事で名誉が著しく毀損されたとして、抗議書を発行元の文芸春秋に送付した。謝罪と記事の取り消しを求めている》と反論。しかし、7月末で辞めるとしていた石破茂首相は9月になろうとしている現在も、首相の座にとどまったままだ。号外の記事は誤報だったということになる。
読売の劣化はこれだけではない。ネットフリックスが、2026年3月に開催される「WORLD BASEBALL CLASSIC 」(WBC)を日本で独占放映すると発表した。過去のWBCでは、日本での試合を読売新聞が主催、運営してきた。同紙は、ネットフリックスに放映権をさらわれると、一転して不満を公表している。別の読売新聞記者がこう話す。
「間違えればすぐに訂正、謝罪するのが当たり前。石破首相の号外は誤報もいいところだ。読売新聞は政治部至上主義みたいなところがあって謝罪しないで突っ張る。立場が弱い社会部は、池下氏には実質的に謝罪。一方、WBCの件では、わざわざ不満の意を表明した。これが日本を代表する新聞の現状で、会社にいて恥ずかしい」
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実際に家宅捜索を受けた石井章参議院議員だが、今年7月の参議院選挙では、娘の石井めぐみ氏も当選しており、親子でバッジをつけている。ある石井氏の後援会幹部は、次のように厳しく批判する。
「石井さんは公設秘書を短期間でとっかえひっかえしている。人使いが荒っぽいので、しょうがないなと思っていた。だが、今回の東京地検特捜部の家宅捜索で、ここまでカネに汚いのかと呆れてしまった。石井さんならさもありなんだな。カネにはだらしがないから」
石井氏は茨城県藤代町議時代、選挙で票を得ようとして暴力団関係者に架空転入を依頼。それが露見し、暴力団関係者6人が公職選挙法違反(詐偽投票)などで逮捕、起訴された。石井本人は町議会で辞職勧告決議が可決されたが辞職せずに居座っていた。
「石井が怪しいのは以前からウワサになっていた。池下も今回の報道は間違いだったが、他にスキャンダルはないのか心配する声が党内では少なくない。特捜部が乗り出したということは石井の立件は確実じゃないのか。参議院選挙でぼろ負けしたこともあって、うちもそう長くないという雰囲気がある」(前出の維新議員)
読売新聞の「誤報」でさらに注目されている維新。“消滅”へのカウントダウンが始まったのだろうか?







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