《9月24日、秋葉原での総裁選街頭演説に参加しました。何となく昨年の総裁選と比べると盛り上がりに欠けていた様な気がしました》とポストしたのは、自民党の石原宏高衆議院議員。ニュース映像でも確認してみたが、確かに、大手メディアがバカ騒ぎしている割に総裁選は盛り上がっていない。不人気の総裁選が、自民党の先行きに影を落とす。
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小泉進次郎農相の陣営にいる中堅議員も、「昨年の総裁選は、すごく燃えていた。だけど、今回はうちの陣営が有利との予想が多い中で、淡々とした雰囲気。党内も世間も、盛り上がっていないのは事実だ」と打ち明ける。
総裁選は、小泉氏に加えて林芳正官房長官、小林鷹之元経済安保担当相、茂木敏充前幹事長、高市早苗前経済安保相の5人が競っているが、盛り上がりに欠けるのも無理はない。かつての総裁選は、議員らによる政治生命をかけた派閥の覇権争いだった。しかし、一昨年の旧安倍派などによる裏金事件で麻生派以外の派閥は解散。総裁選の意味合いが大きく変わった。別の観点からみて、裏金事件は国民の信頼を取り戻す絶好の機会だったが、総裁選がはじまったとたん、岸田文雄元首相、菅義偉元首相、麻生太郎党最高顧問といったボスたちのもとに、それぞれの候補者がご機嫌伺いに行くという旧態依然の動きとなった。
「派閥は解散したはずなのに、すっかり元の自民党に戻ってしまった。まだ昨年の総裁選の方がよかった」と、ある自民党の大臣経験者がつぶやく。
石破茂首相が勝利した昨年の総裁選には史上最多の9人が出馬。石破首相と小泉氏、高市氏が競う展開となったことで一定のニュースバリューがあった。今回は、昨年の総裁選に出たメンバーばかりの敗者復活戦。面白いわけがない。
「小泉さんには、昨年の総裁選に出た加藤勝信財務相、河野太郎元デジタル相がついている。推薦人が20人が必要で、2人分なら40人。昨年のことだから、加藤さんや河野さんを支援した議員の意向はそう変わらない。小泉陣営が優勢というのは、加藤、河野の2人を取り込み、40票の議員票を増やした結果だ。林さんについては、旧岸田派が全面的に支援。旧岸田派は昨年、林さんと上川陽子元外相を出しているので、上川氏分の20人が林さんに乗っている」(前出の大臣経験者)
つまり、昨年の総裁選に出馬し、今回は断念した加藤氏、河野氏、上川氏が応援している小泉氏や林氏が議員票を伸ばし、前評判が高くなっているという構図。その背後で、旧派閥がうごめく。実にわかりやすい。
参議院選挙の惨敗を受け、「解党的出直し」と声高に叫んでいる自民党だが、化けの皮が剝がれてしまっているということだ。
そうした中でも小泉氏の優勢と伝えられる総裁選。早くも「猟官運動」が活発だ。茂木氏の陣営である衆院議員はこう話す。
「5人の中でも、うちが最下位の有力候補ですよ。それでも出馬せざるを得なかったのは、茂木さんが旧派閥の結束を最優先にしたからでしょう。総裁選後に何らかのポストが欲しいという欲も透けて見えますが……」
茂木氏は外相、党幹事長など有力ポストを経験しており、残るは総裁か財務相あたりしか見当たらない。前出の大臣経験者は次のように解説する。
「茂木さんという神輿を一生懸命かついでいる議員によれば、1回目は茂木さんで、決選投票になれば勝てそうな候補に票を集めるという。恩を売って、財務相を狙う作戦だ。旧茂木派から、2人は確実に入閣させたいとの思惑もあるらしい。そうなれば、まだ総裁候補として踏み止まれる。70歳手前の茂木さんから見れば、ずっと年下の小泉さんであっても、総裁選で協力してゴマをするしかこの先の道はない」
こうした空気は、小泉氏の陣営も同様のようだ。
「加藤さんや河野さんは小泉が勝ったと思っているようです。早くも『俺は重要閣僚』といわんばかりの言動が目立ちます。加藤さんは党三役、河野さんは財務相あたりを狙っているような感じですね。また、普段は小泉と付き合いはないものの、新たに陣営に加わった議員は、これみよがしにアピールしてポストをもらうために懸命です。うちの陣営のある幹部は、早くも小泉政権の閣僚案を検討しているほどです」(小泉陣営の議員)
取材に応じた議員たちは、「本当にしらけてます。当事者がこう言うのだから、国民はもっとしらけているはず」と口を揃える。物価高が収まらず、新米が出始めたとたんにコメ価格も上昇。民間調査機関によれば、今年の食品の値上げ品目数は2万品目を超えるという。国民生活は危機に陥っているのに、こんなくだらない総裁選を、テレビや新聞は連日無節操に報じるばかり。自民党議員と大手メディアの視界の中に、国民は入っていないのだろう。
衆参で与党が過半数割れしている国会では、野党がまとまりさえすれば政権をとれる。しかし、「まとまるわけない。そんなことより、自公と連立を組めばいくつか大臣がまわってくるなどと、情けない話ばかり聞こえてくる」と話すのは、ある維新の国会議員だ。
総裁選と、その後に続くであろう連立交渉のバカ騒ぎは、まさに国民不在である。















