元信者の「陳述書」が明かす旧統一教会の犯罪行為

旧統一教会(現世界平和統一家庭連合)と自民党のズブズブの関係についての追及が止まらない。自民党が公表したアンケート調査でも、「不十分な対応」という声が圧倒的に多い。

それを証明するかのように、山際大志郎経済再生担当相は旧統一教会との関係で、新たなイベント出席があったことを認め陳謝している。

本サイトで報じてきたように、霊感商法や合同結婚式、さらには巨額な献金が示す「反社会性」が、教団と自民党への不信感につながっている。

◇   ◇   ◇

かつて九州でも、旧統一教会の「反社会性」が垣間見える事件があった。今から、25年ほど前にさかのぼる。福岡と鹿児島で旧統一教会の信者として霊感商法に関わり、ダミー会社で会計責任者まで務めたという女性Xさんが脱会後、ある訴訟の法廷で証言をしたのだ。

裁判所に提出された陳述書によって、旧統一教会がとても宗教団体とは思えない「不法行為」の数々で、一般人からカネを引き出していた実態が明らかになっている。

Xさんは約10年間、旧統一教会の信者としてマイクロと呼ばれる珍味売り、信者の教育などを担当。その後、会計に配属された。福岡にいた時には「都美」、鹿児島では「黎明堂」というダミー会社の社員だったという。

陳述書には『裏金の作り方』と明確に述べた上で、旧統一教会による裏金作りの実態を明かしている。
《統一教会のお金の作り方というのは、直接献金と会社の人件費操作による裏金作りではないかと思います》
《会計にはAの会計とBの会計があります。Aはつまり表の会計、会社会計、名前が世間に出るという会計です。Bは反対に統一教会でしか通用しない世間に出ない会計。私は両方やっていました》

具体的な手口についても言及がある。
《従業員や経費、売り上げを操作していました。給料、賞与等一人年300万円~800万円くらい出したようにしても、本人には月42,000円、年50万円くらいのお小遣い、食費を渡していただけ》
給料を一度も手にしたことない

つまり、残りはすべて旧統一教会が吸い上げていたというのだ。また、旧統一教会にとって「脅威」だったのが、税務署だったという。

Xさんの会社では、社長の机に税務署に届けてある特別回線という電話があり、普段はまったく使われない「税務署専用」となっていた。
販売実績が上がると同時に統一教会の心配の種のひとつ、税務署対策も重要になってきます。(中略)税務署から電話が入ってからが大変です。緊張がみなぎり、代表会計巡回師に連絡。毎日、美都に集合し夜には反省会、祈祷会がなされます》
《(帳簿の)数字が合ってて当たり前ですが、税務署のチェックポイントになってくる(信者が霊感商法で売ったバックマージン)外交員報酬。外交員の領収書が必要。人件費、報酬関係を操作して裏金を作っています。表に出せない名前、住所がありそれをすべて作らねばなりません》

要するに、外交員の信者には小遣い程度しか報酬は支払っておらず、あとは教会がぶんどっているので、領収書が存在しない。そして、信者にとっては当然、売上が収入となり課税対象となる。外交員として稼働している信者はある意味、教会にとってはカネ集めの貴重な戦力だった。旧統一教会の霊感商法に詳しい弁護士が、裏側についてこう話す。
「名前を出して、本当の売上が税務署にわかってしまうと課税の対象にある。カネが集められる信者は大事にしたいので、その名前を出さないようにと他の信者の名前を借りて、外交員だったと虚偽の報告をするのです」

陳述書には、東京の旧統一教会から、全国の教会ごとに「ノルマ」が設定されていることも記されている。その達成には、献金が手っ取り早い。しかし、霊感商法、合同結婚式で社会問題になっている旧統一教会に多額のカネを出す人はそうはいない。そこで、資産がある人から、教会で「HG」と呼ばれる「借金」をするのだ。
最初は資産家から300万円~1,000万円のお金を1~2年の借入期間として借りていた。返済時期になると、現金が必要なのでさらに借入。鹿児島では土地担保に3,000万円~8,000万円くらいの借入を数件やった》

そうやってかき集めたカネは、どうなるのか?Xさんの陳述書には、その答えもあった。
《二通りあり、教会の会計で帳簿上(借入ではなく)信者から献金があったように処理して、統一教会の本部へ振込する方法。振込先が富士銀行の難波支店が統一教会名義だったので、どうして東京じゃないのかと不思議に思っていた。もう一つは、責任会計が福岡での会議の時に手渡すか、個人口座に振り込む》
《一番多い時で裏金3,000万円を運んだ》

宗教法人は税制優遇を受けており、そもそもなぜ裏金が必要なのか?陳述書には「教育」という言葉が何度も出てくる。旧統一教会のデタラメな教え、教義をさも正しいように信じ込ませカネを出させるのが「教育」のようだ。

教育をなされ(信者の一人に)献身まですすめ、借入400万円、着物100万円、祝福献金140万円をしてもらいました、地区が(借入の)返済に四苦八苦していたので助かった》(陳述書より)――まさに自転車操業状態である。会計が苦しいと、小遣いはもちろん、昼食代すらもらえなかったという。それでも、鹿児島でXさんは合同結婚式の際に「祝福献金」として7,000万円を集め、渡したこともあるという。

そしてカネは《文鮮明氏のもとに送られ、地上天国実現のため、世界のため使われていると思っていた》、《地上の楽園のためお金が必要と言われた》

だが、旧統一教会脱会後、実態を知り《組織的な統一教会の(カネ集めは)ほんとうにおそろくなってしまう》、《詐欺としか言いようがありません、《カネ儲け組織》と憤りを語っている。Xさんは陳述書をもとに法廷でも証言。旧統一教会の内幕を暴露した。

もはや旧統一教会の反社会性は、誰もが知り、納得するところだ。被害報告や相談は増える一方となっており、早急な対応が求められる。

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