大阪ダブル選、維新が他候補を圧倒する勢い

今月9日に投開票を迎える大阪府知事と大阪市長を選ぶ「ダブル選挙」。維新VS非維新の構図だが、維新の優位は動きそうにない。

◇   ◇   ◇

大阪維新の会は、府知事に現職の吉村洋文氏、大阪市長には政界引退を表明している松井一郎市長の後継として府議だった横山英幸氏を擁立した。

一方、非維新の枠組みである「アップデートおおさか」は、知事に大学客員教授の谷口真由美氏、市長には元市議だった北野妙子氏を擁立。共産党は、府知事選に元参議院議員の辰巳孝太郎氏を推薦している。

全国注視のダブル選で、主な候補はどう戦っているのか――直近の情勢調査の結果はこうなっている。

【大阪府知事選】
・吉村 65
・谷口 11

【大阪市長選】
・横山 50
・北野 20

まさに維新の圧勝ムード。この数字は2019年の府・市ダブル選とほぼ同じだ。

政治団体「アップデートおおさか」は、非維新を掲げて自民党や立憲民主党などの地方選立候補者や、立候補候予定者に推薦を出した。アップデートおおさかは、経済人や元大阪府副知事、地元首長などが呼びかけ人となっている。呼びかけ人の一人が次のように話す。
「アップデートおおさかは、自民党や立憲民主党など大阪で維新と対立している政党が寄り合いではじめたものです。一昨年の衆議院選挙、昨年の参議院選挙と大阪では維新圧勝が続いてきました。このままでは対立軸がないとして、急きょ結成された団体です。時間のないな中で、谷口氏と北野氏の女性2人を擁立しました」

北野氏は、自民党大阪市議を5期務めたが、離党し無所属での出馬。その点については、「自民党の票だけでは勝てないのが明らか。国政では与野党に分かれても、大阪では政党の垣根をなくしてやっていかないと維新パワーには勝てそうもない。政党色を出さずに、市民目線で戦う」(前出の呼びかけ人)と説明する。

しかし、世論調査の数字からみると、相乗り効果はまったく表れていない。維新の一丁目一番地だった「大阪都構想」の住民投票では、過去2回とも反対票が上回って否決されているにもかかわらず、だ。

◇   ◇   ◇

吉村氏は「自身が任期中、(住民投票に)再挑戦はしません」と表明しているため、都構想には触れていない。その代わりに「府市一体となる成長戦略」や「大阪の私立高校は完全無償化」を訴えているが、やはり大阪都構想のようなパンチはない。

対立するアップデートおおさかは、2025年に開催される大阪・関西万博の跡地で構想が進む「IR(カジノを含む統合リゾート)」の計画見直しと住民投票の実施を公約の第一にあげた。北野元市議は「維新政治は、とにかくインバウンド(海外からの観光客)ばっかりの一本足打法。新型コロナウイルス感染拡大で、まったくダメになりました」と維新批判を強める。

3月24日、吉村氏は大阪府池田市、阪急池田駅前で演説。昼間の時間帯だが、100人を超す聴衆が集まり健在ぶりを見せつけた。ただし、大阪市内の各所でマイクを握る横山氏については、「あの人は誰ですか?」と聞く市民もいるほど知名度に乏しい。府議3期と維新の幹事長という肩書はあるものの、前任者が維新創業者のひとり松井氏、その前は橋下徹氏とあって、迫力に欠ける印象だ。そのことを承知しているようで、吉村氏は、ほとんどの時間を大阪市内での遊説にあてて横山氏の知名度アップに努める。

「大阪市重視」には、別の理由もある。維新は大阪府議会で過半数をとっているが、大阪市議会では過半数に達していない。吉村氏は、大阪市議会で過半数が獲得できない場合、「大阪維新の会代表を辞任する」と公言しており、市長と市議会をおさえるのに必死とならざるを得ないのだ。ある維新の国会議員が、力を込めて語る。
「戦いから見ると、吉村代表の知名度で大阪府知事選は圧勝、夜8時当確が固い。問題は、大阪市長選と市議会議員選。市長選は負けることはないが、夜8時に当確が出るまでの差がつけられるかどうかだ。市議選で過半数をとれば、大阪府と大阪市、どちらも過半数となるので、大阪都構想など維新独自の政策を前に進めやすい」

これに対し、自民党の地方議員はこう反論する。
「IRの当事者である大阪市内は、計画の詳細や不透明さが市民に伝わり始めて関心を持つ人が増えた。カジノを誘致して本当に市のためになるのか?本当に税収が増えるのか?IRに懐疑的な見方をする人が増えている。大阪都構想を引っ込めた維新の目玉は、IR。だが、『ギャンブルであるカジノを止めましょう』という訴えに多くの人がうなづくようになった。ちなみに、IRへの世論調査の数字では賛成45 、反対38となっており数字は拮抗している。大阪市長選、市議選はまだ勝負になる余地がある」

◇   ◇   ◇

同じアップデートおおさかの候補でも、政党とは無縁の谷口氏の演説では、維新批判が次々に飛び出す。かたや自民支持層にもいる維新ファンに遠慮しているのか、北野氏はIR批判オンリーだ。そうした中、自民党が打ち出したのは、IR予定地に「ディズニーリゾート」という突拍子もない主張。そのポスターまで貼り始めたから、呆れるしかない。

苦戦必至の自民党幹部が、苦々しそうに予測を口にした。
「大阪での維新天下は変わらない。近隣の兵庫県、奈良県でも県議を現在の2倍くらいに増やすだろう。そうなると、維新の国政での存在感は、ますますが大きくなる。これまで大阪都構想との関係から大阪と兵庫の衆議院選挙で六つの小選挙区を公明党に譲っていたが、都構想がなくなったので公明党に遠慮なく6小選挙区をとりにいくだろう。そうなると、立憲民主党をはるかに超えて野党第1党になる可能性が出てくる。大阪では自民党の衆議院議員がいなくなるかもしれない。維新の勢いを止めないと、解散総選挙となった場合、国政に大きく影響しかねない」

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