今月21日、支持率低迷に喘ぐ立憲民主党の所属議員らが記者会見し、小沢一郎衆院議員が代表を務める党内グループ「一清会」の旗揚げを表明した。小沢氏は16日に結成された「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を主導しているとみられており、永田町がざわつき始めた。2度の政権交代を実現させてきた「剛腕」は復活するのか――。
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党内で一定の力を誇ってきた小沢氏のグループは、2021年の代表選で泉健太代表を推し当選させた。しかし、昨年の参議院選挙や今年4月の衆参補選で負けが続き、泉氏は「次の衆議院選挙では、小選挙区と比例代表を合わせて150議席獲得を目標にする。とれなければ代表の座を去る」と公言せざるを得ない状況に追い込まれた。
そこに、泉氏を切り捨てるかのような小沢グループによる一連の動き。本当に「泉氏おろし」につながる勢力になるのだろうか。
小沢氏は、「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を立ち上げた際に小川淳也前政調会長らとともに記者会見に出席していた。
泉氏は、日本維新の会や共産党との選挙協力、いわゆる「一本化」には消極的な姿勢を見せてきた。一方小沢氏は、自民党を政権から引きずり下ろすには野党候補の一本化が不可欠として、「予備選」を実施した上で候補者を絞るべきと主張する。賛同者として名前を連ねたのは、阿部知子、稲富修二、小川淳也、鎌田さゆり、菊田真紀子、手塚仁雄、原口一博、松木謙公、谷田川元、柚木道義、湯原俊二の各衆院議員。立憲民主党所属の96人の衆議院議員のうち53人が賛同しているというが、12人以外の名前が公表されなかったことから、「本当にそんなに数がいるのなら発表すればいい」と実態を疑う声もある。
これまで2回も自民党政権をひっくり返してきた小沢氏。「二度あることは三度ある、民主党時代の失敗を糧にして政権交代を果たしたい」――小沢氏は周囲にそう語っているのだが、焦りも見える。
立憲民主の代表は小沢氏が推した泉氏だが、岡田克也幹事長が新たに執行部入りしたことで、党の創業者である枝野幸男氏寄りの流れに戻りつつあるという。ある立憲民主党幹部は、こう語る。
「小沢先生はなんとか流れを元に戻して政権交代を狙いたい。解散総選挙も遠くないとみて二つのグループを立ち上げたのでしょう。しかし、小沢先生は昨年秋頃から2~3か月入院していたと聞いています。国会にも出てこられますが、やつれた感じです。残念ながら影響力はかなり低下していると思います。多くの議員が、今回の動きを冷静に見ています」
前回の衆議院選挙で初めて敗れ、比例復活となった小沢氏。立憲民主党は、岸田文雄首相が解散総選挙をにおわせたタイミングに併せて世論調査を実施したが、その結果について前出の立憲民主党幹部が打ち明ける。
「小沢先生はダブルスコアで自民党現職に負けるという数字でした。小沢王国はもう崩壊してるんじゃないでしょうか。“野党で予備選をやって統一候補を選ぶ”という小沢先生の主張ですが、もし実施して自分が負けたら本当に出馬しないのでしょうか。そこまで覚悟を決めておられるのかどうか……」
党内で流れる冷ややかな空気――しかし、小沢氏に2度も政権交代を許している自民党は茂木敏允幹事長が、次のように述べて警戒感を示した。
「政策の一致がないのに選挙だけを目的にした一本化は単なる野合。国家観やその基本的な政策が合わないが選挙だけは協力するというのは国民に信頼を失う」
別の自民党幹部は辛口だ。
「小沢さんも、寄ってくるメンバーが少なくなり、なにかぶち上げないと仕方なかったのでしょう。自分の選挙すら足元がおぼつかないのに、少数でグループを立ち上げたところで、とても我が党には対抗できないですよ。豪腕復活?あれば見てみたいね」
総選挙ともなれば、日本維新の会に野党第1党をとられかねない状況の立憲民主党。「お家騒動」で議席を減らすことのないよう祈りたい。