「維新政治」が招いた大阪の危機|問われる吉村府知事の政治責任

新型コロナウイルス第4波の感染拡大が広がる中、新規感染者数、死者数が突出して増えたのが大阪府だ。大阪府では4月初旬から、人口比で1.5倍ほどの開きがある東京都と比較して新規感染者の数が2倍ほど多いという日が続いた。例えば4月13日の新規感染者数は大阪府が1,099人、東京都は510人だった。

死者数で見ると、5月7日に大阪府は50人を記録したのに対し東京都は6人。5月12日には大阪府で、死者数55人と過去最高を記録している。第4波における東京都の死者数の最多が5月19日の15人であることからも、大阪府の状況悪化がいかに深刻であるか分かる。こうなった責任が誰にあるのかは明らかだ。

■「維新政治」がもたらした感染爆発と医療崩壊

感染症対策の専門家は、こう話す。
「東京都は病床が大阪府ほどひっ迫していない。中等症、重症者は病院で治療を受けられる。一方、大阪府は新規感染者数が増えると病床を増やし、減るとすぐになくしてゆくという場当たり的な対応で事態を悪化させている」

大阪における医療崩壊はもちろん、コロナ禍にあって府政を担う吉村洋文知事の“手腕”による結果。背景にあるのは「今だけよければ」という維新流の政治姿勢だ。

「維新」の創立者である橋下徹氏と松井一郎氏に仕えたことがある大阪府元幹部は、次のように話す。
「2つ、3つあるものは、考えもせずに1つに統合してしまう。例えば大阪府立大学と大阪市立大学。二つあるが、一つで結構という発想。2校には長い歴史があり、校風も違う。両方で役割を分担したり補完し合ってきたこともあった。確かに1校にすれば、ある程度税金の負担は減らせるが、『教育とは何か』という観点は抜け落ちている。経済を成長させ税収を増やして黒字にするというのではなく、徹底的に減らして表面上だけよく見せかけるという維新政治の手法に、コロナ禍で大きなツケがきた」


 

分かりやすいケースが、まだある。人口270万人の大阪市で保健所は、維新が次々に減らしたために「大阪市保健所」の一か所だけだ。大阪市立住吉市民病院については、近隣に「大阪府立急性期・総合医療センター」があり「二重行政」だとされ、統廃合された。つまり、コロナ禍に対応できる医療体制を維新が崩壊させたということであり、その結果、救われる命が救われずに終わったというわけだ。

前出の大阪府元幹部が、知人から“家族がコロナに感染した。中等症に近い症状だが、空きベッドがなく入院できない。なんとかならないか”と相談を受けた際のことを打ち明ける。
「大阪府の主要なポジションに、以前の部下がいる。だが、とてもちょっと頼むなんて言えないほど、病床はひっ迫している。近畿地区では、和歌山県や滋賀県では中等症ならなんとか治療が受けられる。親戚などのツテをたどって、移動できる体力があるなら、他府県をあたってはどうかと助言するしかなかった。医療崩壊。維新流の政治が、大阪の人間の命を奪っていると言われてもおかしくない」

大阪のコロナ禍を悪化させたのが、目先の組織減らしに血道を上げてきた「維新政治」であることは疑う余地がない。

■不信感

その「維新政治」を、まさに体現していると言えるのが「サウナ市長」こと大阪府池田市の冨田裕樹市長だ。4月末の池田市議会で冨田市長への不信任決議案が提出されたが、維新と公明党が反対して否決。裏で奔走したのが、松井市長だという。

「冨田市長は維新が公認して市長になった。離党したが、維新には製造者責任があり市民、府民の批判が高まっている。コロナ禍で支持が低迷する中、冨田市長の不信任となれば、さらに下落するのは目に見えている。そこで、松井氏は公明党の府議を通じて、否決に回るように頼んだというのが真相です」(池田市議会関係者)

だが、その前に池田市議会は、冨田市長のサウナ問題やパワハラ、偽証などについて百条委員会で調査。その結果「不信任相当」という結論を出し、公明党も賛同している。

大阪維新の会のある地方議員が、次のように解説する。
「公明党が嫌なのは、冨田市長が自ら辞職、市議会も解散というダブル選挙。コロナ禍で支持母体の創価学会も動きづらいし、今年は衆院選、東京都議選もあるので、松井氏の提案を簡単に受け入れてくれたようだ」

そういう「維新政治」が、さらに拡大されようとしている。7月に予定されている、兵庫県知事選挙には大阪府の財政課長だった斎藤元彦氏が立候補を表明。自民党本部も推薦を決め、そこに維新も歩調を合わせている。前出・大阪維新の会の地方議員は「斎藤氏は吉村知事の右腕ですよ。維新内部では『斎藤はうちの候補』と幹部は言っている」と内情を明かす。

だが、さっそく肝心の斎藤氏が“やらかした”。5月3日、斎藤氏はツイッターに<「兵庫県、はずかしい」。こどもたちからそんな声が出ています>などと投稿。兵庫県民から反発が出て炎上し、速攻で削除していた。(*下が削除されたツイッターの画像)

斎藤氏は神戸市長田区の出身であり、自らの生まれ故郷を「恥ずかしい」と貶めた形。自民党の兵庫県議は、憤りを隠そうとしない。
「斎藤氏の勝利が有力視される知事選ですが、そのうち吉村府知事とと連携して、『兵庫県で都構想』なんて言い出しかねない。私は斎藤氏に反発して金沢前副知事を支援しているのですが、多くの県議や市議が同じような警戒感を持っています。維新は
最初はいい顔で、すぐに本性を現す。大阪を見ていればよくわかります。兵庫に維新はいらない」

■「政治は結果責任」

話を大阪府に戻そう。新規感染者数が減少傾向にある大阪府だが、死者数は連日20人前後で推移している。東京都は10人前後なので、やはり2倍だ。今年2月、吉村知事は緊急事態宣言を前倒しで解除するよう、国に求めた。その結果、第4波で病床ひっ迫、多くの患者が適切な治療が受けられない状況に陥った。これは明らかに失政である。「政治は結果責任」――橋下氏や松井大阪市長、吉村知事が言い続けていた言葉だ。吉村知事はいつ、どう責任をとるのだろうか?

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