連立入り?混迷政局で注目される日本維新の会の動き

続投か退陣かを巡り、自民党と石破茂首相周辺が揺れている。読売新聞と毎日新聞が一度は「退陣」と報じたが、首相は「続投」を明言。首相の進退に関する報道が二転三転する事態に混迷の度を深める政局だが、ここに来て日本維新の会の動きに注目が集まり出した。

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石破首相は、当初7月31日に予定されていた両院懇談会を28日に前倒しした。「ガス抜きをはかり、とりあえず秋の臨時国会までは続投できる体制を築く方向性を考えている」とある自民党幹部が打ち明ける。だが「石破おろし」を目論む反石破の議員らは、両院懇談会ではなく議決権がある両院議員総会の開催を求めて署名集めを開始。開催を求めることのできる3分の1の署名が集まったという。

ポスト石破に名乗りをあげた高市早苗氏はすでに署名。茂木敏充元幹事長はYouTubeで「衆議院選挙、過去最低の議席の東京都議選、そして今回(参議院選挙)で3連敗、スリーアウトチェンジ」と石破おろしの狼煙をあげた。

前出の自民党幹部はこう話す。

「石破おろしに一生懸命の議員もけっこういるが、執行部は誰も退陣とは言っていない。逆に世論が『石破辞めるな』と国会議事堂周辺でデモまでやってくれている。石破さんは、やめてなるものかという雰囲気だ」

衆参とも少数与党となっただけに、予算や重要法案などを国会で通過させるには、常にいずれかの野党の協力がないと何もできない。現実的に1つの法案ごとに野党と協議して賛成に回ってもらう手もあるが、実際にはかなり難しい。9月末の臨時国会までに、石破首相が連立を組める野党と話をつけることができるかが焦点だ。ある自民党の大臣経験者が今後の見通しを語る。

「新たな連立相手が登場しない場合、野党がまとまって臨時国会冒頭に内閣不信任案を突き付ける可能性が出てくる。石破さんは、不信任が可決されれば恰好がつかない。やけくそで解散総選挙に打って出るしかない。参議院選挙から2、3か月で支持を回復させるのは至難の業。とうてい勝てる見込みはなく、政権交代が現実味を増す」

これまで、連立相手と候補にあがってきたのは国民民主党と日本維新の会。特に国民民主とは組む寸前まで行きながら、最後でご破算になった経緯がある。しかし、国民民主党の玉木雄一郎代表は「自民党と連立を組むことは考えていない」と一貫しており、同党の連立入りは実現しそうにない。国民民主党の衆議院議員がこう話す。

「落ち目の自民党と一緒に連立に入ると、支持率が落ちてしまう。それなら、野党がまとまって政権交代となったほうが内閣でも主導権を握れるし、閣僚ポストも増える。うち(国民民主)が連立入りするの可能性は極めて少ない。自民党の執行部は、やはり維新に協力を求めるんじゃないか。存在感が薄れた維新の実情を考えれば、できない話ではない」

維新の代表、吉村洋文大阪府知事はこれまで「維新は改革政党だ」と繰り返し、自民党と距離を置いていた。その一方で、参議院選挙では比例票が前回の784万票から今回の437万票にまで落ちた。前回の8議席が今回はたったの4議席だ。比例票の比較では、国民民主党や参政党の半分近くにまで減っている。ある維新の国会議員が次のように打ち明ける。

「維新には、国政選挙など主要な選挙後に代表選をやるかどうか臨時党大会を開催して議決するという党規約があります。このままなら、吉村代表の責任論に発展することが必至。そこで自民党との連立をネタにして、代表選を実施しないように乗り切ろうという動きがあります。もともと馬場伸幸前代表のグループと吉村代表はしっくりいっていない。馬場さんは維新に来る前は自民党。パイプは太い。馬場さんが維新を割り、10人ほど連れて自公連立に入り、大臣ポストを得るんじゃないかという話は以前からくすぶっています。党分裂を回避するために、自民党との連立という流れは十分に考えられるんです」

維新には自民党と連立を進めたい理由が2つある。一つは、参院選で打ち出した「副首都構想」の実現。災害発生時などに首都圏機能を大阪に代替し、東京に次ぐ経済力を持った都市圏をつくるという構想だ。次が、万博終了後に国の後押しが必要となるIR(カジノを含む統合リゾート)。いずれも維新単独では実現できないため、連立入りで公約達成を遂げ、成果を誇るしかなくなっている。

「連立を組んで与党になれば、副首都構想の実現やIR整備がさらに進み、大きな成果につながる。大阪都構想につながる『副首都構想』を目玉にしたいというところもあります。また、党の支持に陰りが見え始め、大阪の府議や市議といった地方議員も2年後の統一地方選に危機感を抱いている。そちらからも『今、自民党と組むべき』と声が上がり始めています」(前出の維新議員)

これまで連立入りに消極的だった吉村代表も、記者会見で「副首都構想は重要だ。東京一極集中の是正、危機管理、経済成長などを考えると、副首都を大阪に持ってきてとの法案を出していきたい」とトーンが変わってきた。維新の創業者である橋下徹氏も連立入りを強く勧める状況だ。

参院選の選挙区で維新が議席を得たのは大阪と京都のみ。極右の参政党は全国で支持を広げたが、新鮮味の薄れた格好の同党はいまだに関西限定から抜け出していない。「延命」を図るため自民党にすり寄るのか、あるいは野党としての矜持を守るのか―ー維新の動きに注目が集まっている。

 

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